考えすぎない

心が疲れている時こそ身体を動かさなくてはならない理由

2019.02.13 公式 考えすぎない 第39回
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仕事でもプライベートでも、私たち日本人はその勤勉さゆえなのかつい考えすぎてしまうことが多いように思います。しかしそうした日々の悩みは、ほとんどが“考えすぎ”を原因としています。この“考えすぎるクセ”を改善すれば、もっとラクに生きることができるはず……この連載では、「考えすぎずに生き、もっと幸せになる」ための方法を紹介していきます。 

心身の健康をキープする

考えすぎで心身の健康に悪影響が及んでしまうこともあります。

心身の調子が悪いと気分が悪くなり、否定的な考え方をしやすくなります。それによって問題を大きくし、解決を遅らせることにもなってしまいます。

悩みを抱えている時にこそ、心身の健康をいい状態にキープすることが大切です。そのためには、健康に悪いことをしないようにすることと、できれば健康にいいことをするように心がけることが大事です。

体の健康をキープする

体調が悪くなる原因はいろいろあります。

カゼなどの病気、疲労、睡眠不足、寝過ぎ、食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足、不規則な生活……。

不用意に健康を損なわないように注意することと、調子が悪くなったら早めに対処する習慣をつけることが大事です。

健康のためにいいのは、「休養」「栄養」「運動」の三つです。

まずは、「こういう時には、休養が大事」と考えることです。

考えすぎないように、「これ以上このことを考え続けるのはやめよう」「少し休んでまた考えよう」「ちょっと気分転換をしよう」などと悩むのを途中でストップすることです。

また、睡眠をしっかりとるように心がけることが大事です。何か悩みや不安があるのなら、その悩みや不安から頭を解放することです。解決できそうなら、解決するように努力する。もし解決できなければ、「明日、考えればいい」と決める。そして、その日にあったいいことやよくできたことを一つでも思い出せるといいでしょう。さらに、(寝床についてから)横になっている身体の安楽さや心のくつろぎやふとんの気もちよい感触などを感じ、「気もちいいなぁ」「幸せだなぁ」と思うことができると、なおいいでしょう。

次に、「こういう時には、栄養が大事」と考えられるといいでしょう。悩みがあって食欲がなくても、食事をちゃんと摂るように工夫・努力する。たとえば、好きなものを食べるようにしたり、疲れている時には特に栄養のあるものを食べるように心がける。ただし、逆にストレスから食べすぎないように気をつけることです。

そして、「こういう時には、運動が大事」と考えられるようになれるといいでしょう。

運動不足は徐々に体調を低下させていきます。反対に、自分に合った適度の運動をすることで体調がよくなれば、気分よく過ごしやすくなります。

悩みを抱えている時に、「運動不足ではないか?」と自問すれば、気づけることがあるはずです。そこで自分に合った運動をすることができればいいのです。たとえば、ストレッチや体操のように軽いものから、歩くことやジョギング、筋力トレーニング、様々なスポーツ……。それを少しでも楽しんでできれば、なおいいでしょう。

心の健康をキープする

悩みを抱えた時には、心の健康をキープすることも大事です。心の問題が体調を悪くする原因の一つでもあります。

身体の健康のためには、「休養」「栄養」「運動」の三つが大切です。心の健康のためにも、「心の休養」「心の栄養」「心の運動」の三つが大切です。

まずは、「こういう時には、心の休養が大事」と考えられるといいでしょう。

心の休養には、やすらげる時間や心静かな時間をもつのがいいのです。たとえば、自分なりのやすらげる場所/やすらげる人/やすらげる音楽/やすらげることなどがあるといいでしょう。

その際に大事なのは、悩みや問題から心が解放されることです。余計なことは考えないように、今感じるものに意識を集中できるといいでしょう。やすらげる時間を意識してもって、心に休養を与えることを考えてみてはどうでしょうか。

次に、「こういう時には、心の栄養が大事」と考えられるといいでしょう。

心地よい感じが得られることは、心の栄養になると考えればいいのです。

生活の中で楽しめることや幸せを感じられることを大切にしましょう。そのためには、自分の身の回りにある小さな幸せを感じられるようになることが肝心です。

悩みを抱えていたり心が疲れている時ほど、幸せを感じられる時間と回数をいつもより増やせるように心がけたほうがいいのです。

そして、「こういう時には、心の運動が大事」と考えられるようになるといいでしょう。

「心が動く」ということがあります。たとえば、感動したり、ワクワク・ドキドキしたりすることです。そういうことが、心の運動になるのです。

たとえば、感動できる映画を見たり、本を読んだり、芸術を鑑賞したり、好きなスポーツを観戦したり、自然と親しんだり……。また、将来の夢や愛する人のことを考えて少しでもワクワク・ドキドキできたら、それもいいでしょう。

心の調子が好くない、心が疲れた、心が傷ついたなどと感じた時には、「心の休養」「心の栄養」「心の運動」の三つをヒントに何か具体的な方法を考えてみてはどうでしょうか。

歩く

悩みを抱えている時に心身の健康をキープするために、おすすめするのは「歩く」ことです。歩くことは体の健康にもいいし、心の健康にもいいのです。

悩みが深刻になると、外出する気になれず室内に閉じこもりがちになります。そのために、さらに気分が憂うつになり、体調も低下してしまいます。

外に出て歩くことで、気分も体調も少なからず回復させることができます。それが悩みを克服する力にもなるのです。

歩くことによる適度な疲労が心地よい睡眠につながるというメリットもあります。

悩ましい時間が続く場合には、三十分でも十分でもいいから外に出て歩くようにしましょう。

歩いている間には、悩み事を考えないように心がけることが大事です。無心になれたら理想的なのでしょうが、それは難しいという人が多いでしょう。そこで、目に映るものや耳に聞こえるものや体に感じることなど、五感を働かせることに集中するように心がけるといいでしょう。その中で、心地よいものに気づき、「いいなぁ」「幸せだなぁ」などと思えると、なおいいでしょう。歩いている最中に何かを楽しめるといいのです。

たとえば、自然を楽しむ。空気を感じる、風を感じる、花を見る、木々の緑を見る、動物(鳥、虫など)を見る、空(雲、星、月など)を見る、季節を感じる……。

たとえば、人を見て楽しむ。「何をしているか?」「どういう人か?」などと考えてみる、人のファッションを見て楽しむ……いろんな人がいることがわかるはずです。

心身の健康をキープできるように心がけるのは当たり前のことではありますが、それをちゃんとできるかできないかによって、自分が感じる生活感が相当に変わるでしょう。問題を抱えていても悩ましい生活を送らないようになれたらいいのではないでしょうか。


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プロフィール

本多時生
本多時生

1956年7月、神奈川県生まれ。電気通信大学卒業。ソフト開発の仕事の傍ら、20代後半より「人の幸せに関する研究」をライフワークとしてはじめ、1996年には「幸せのホームページ」を開設、現在までほぼ毎日更新を続けている。

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