考えすぎない

悩みをひとまとめにしてしまうクセを治す大切さ

2018.08.22 公式 考えすぎない 第28回
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仕事でもプライベートでも、私たち日本人はその勤勉さゆえなのかつい考えすぎてしまうことが多いように思います。しかしそうした日々の悩みは、ほとんどが“考えすぎ”を原因としています。この“考えすぎるクセ”を改善すれば、もっとラクに生きることができるはず……この連載では、「考えすぎずに生き、もっと幸せになる」ための方法を紹介していきます。 

複数の問題をまとめて考えすぎない

新聞などの人生相談を読んでいると、いろいろな問題を次から次へと書き連ねていることがよくあります。たとえば、次のようなものです。

「仕事の内容と人間関係が合わずに、会社を辞めました。親は昔から、私が傷つくことばかり言います。友達もいません。自信がなく夢も希望ももてません」

これは極端な例ですが、このように問題をどんどんつけ足して考えたら、答えは見つからないし、気分は落ち込むばかりです。

同様に、複数の問題をまとめて考えているために、余計に悩み苦しんでいる場合があります。

そんな時、すべてを完全に解決しなければならないと思い込んでいると、問題が多くてどうしようもなく思えてくるでしょう。

考えが混乱してきた時には、「(まとめて)考えすぎではないか?」と自問すれば、自分のヘタな考え方に気づけることがあるでしょう。

現実的には、一つ一つの問題を別々に考える必要があります。

問題を「一つ一つ考える」のにも、紙に書いて考える方法は有効です。

一つの問題は一枚の紙に書くことで、常に問題全体が見えるようにします。問題が複数ある場合には、別の紙に書くことで、一つ一つ考えればいいのです。

まずは「問題は何か?」をわかりやすく、タイトルのように短く先頭に書きます。

次に、「自分はどうしたいのか?」という目標を書きます。その際、それが現実的な目標であることが肝心です。

あとは、自由に自分の考えを逐次追加していけばいいのです。

紙上が煩雑になったら、新しい紙に整理しながら書き直します。この作業自体もよく考えることになるので、何度でも書き直していいのです。

自分なりの書き方を工夫していくことができるといいでしょう。

抱えている問題がよくわからなくなってしまったり、どうしたらいいかわからなくなってしまった場合には、紙に書き出すことで一度問題を整理してから「一つ一つ考えよう」と心がけてください。問題が多くても一つ一つ対処していくしかないのですから。

複数の問題をいっしょにしないで「一つ一つ考える」際に役立つのが、「それはそれ、これはこれ」という考え方です。

一時のいさかいや一部の意見対立があっただけで、その相手のことをすべて否定的に考えてしまうのはよくありません。「それはそれ、これはこれ」として、その時々に判断したほうがいいのです。

一つの問題があるからといって、やるべきことをやらないのもよくありません。「××だから、○○しない」では、さらに悪い状況にしてしまいます。「それはそれ、これはこれ。やるべきことはやる」というのがいいのです。

「一事が万事」のような考え方も危険です。一つのことが駄目ならすべて駄目、この夢をあきらめたから夢はもうない、この人を失っては生きていけない、これが得られなければ幸せになれない……。たとえそういうことがあったとしても、「それはそれでしかたがない。でも他にもある(はず)」と考えることが大事なのです。

人はともすると悪いことが一つあると、他のことにまで悪い影響を及ぼしてしまうことがあります。それが悩みを増やしたり大きくしたりしてしまう元にもなってしまいます。

「それはそれ。これはこれ」と一つ一つ考えられるようになるといいでしょう。


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プロフィール

本多時生
本多時生

1956年7月、神奈川県生まれ。電気通信大学卒業。ソフト開発の仕事の傍ら、20代後半より「人の幸せに関する研究」をライフワークとしてはじめ、1996年には「幸せのホームページ」を開設、現在までほぼ毎日更新を続けている。

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