過去の自分を振り返る人だけが成功する理由

ブレストで守るべき4つのルール

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誰しも望む未来があります。しかし、その未来を実現できる人は、ひとにぎりだと考えていませんか? そんなことはありません。未来の自分を変えるヒントは、あなた自身の中にあるのです。過去に「目をつけ」「掘り下げて」「引き出す」。このプロセスの繰り返しが、あなたの未来を大きく変えるのです。ここでは、自分自身を「振り返る」ことで見えてくる、あなたが望む未来の導き出し方を紹介していきます。そう、あなたの過去は宝の山なのです。 

アイデアを取り出すために段階を区切る

振り返りは「一人ブレストだ」ということもできます。過去の出来事を振り返り、新しいアイデアを引き出すからです。

ブレストとは、ブレイン・ストーミングの略です。脳内に嵐を起こすほどにアイデアを巻き起こすというニュアンスがあります。このブレストという言葉は誰もが口にしますが、そのルールについてきちんと理解し、常に意識している人はきわめて少ないようです。

しかしブレストのルールを守らないと、嵐は起こりません。
ブレストのルールは、4つにまとめられます。私なりの言い方でルールを紹介してみましょう。

1.出てきたアイデアを否定しない
2.突拍子もないものでもOK
3.質よりも量を重視する
4.相乗り、ものまねOK

この4つのルールを見てみると、アイデアに制限を設けない、ということしか言っていません。だから、これらをひと言でまとめるとしたら、

「なんでもあり!」

ということです。とにかく、どんなアイデアでもいいからノンストップでたくさんの量を出すことが大事だということです。
ところが多くのブレストの現場、特に会社の会議などでは、このルールが守られていません。
意見を出したそばから、次のような言葉で否定されてしまいます。

「無理、無理!」
「それは、コスト的に合わないだろう」
「それは、五年前にやってるからダメだ」
「それじゃ他社の二番煎じだよ」

ブレストのルールを守らないと、このような発言によって、いつしかアイデアは出てこなくなります。無理に出そうと努力しないと、出てこなくなってしまうのです。これは、会議の場面でなくても、一人でアイデアを出すときも同じです。自分で自分を否定したら、アイデアは出なくなってしまうのです。

アイデアを出すときには、とにかく否定せずに、質よりも量だと自分に言い聞かせて、ノリノリで出し続けることが大事です。自分にもルールを課して下さい。

アイデア創出の2段階

アイデア創出には、前半と後半の2つの段階があります。

前半……拡散
後半……収束

前半の拡散は、とにかくたくさんの組み合わせを行い、多くのアイデアを出すプロセスです。ブレストの4つのルールは、まさに前半の拡散の段階に必要な原則です。
後半の収束はどうかというと、無数に出てきたアイデアを絞り込むプロセスです。どんなにいいアイデアが出たとしても、限られた資源を有効に使うためには、重要なアイデアから手をつけていかねばなりません。

そのため、後半の収束では、さまざまな要素で絞り込みをしていきます。

ブレストのルールを知らずにアイデア出しをしてしまうと、この拡散と収束を同時にやってしまいます。
一つアイデアが出た段階で収束のプロセスをやってしまうと、一つひとつこなして効率的なように思うかもしれませんが、すぐにアイデアが出なくなってしまうので逆効果なのです。

前半の拡散と後半の収束は、きちんと時間を区切って、取り組むプロセスを分けて意識も切り替えないといけません。

絞り込みのルール

アイデア創出の後半に行う収束のプロセスでは、テーマに沿った絞り込みを行います。これは、振り返りの「引き出し」の段階で、それまでに出てきたアイデアを絞り込むことに役立ちます。
アイデアの絞り込みのルールについて見てみましょう。

無数に出てきたアイデアを、どう活かすのかを考える場合、そもそも何のためのアイデア創出だったのかを確認しなければなりません。

そのためにまず、目的との照合を行います。目的からはずれたものは、除外対象となります。別の目的には使える可能性もあるので、廃棄するというよりも、今回は除外すると考えるといいでしょう。
その他、代表的な絞り込みのための条件を挙げると次のようになります。

・目的的条件(目的、動機、目標、理想など)
・価格的条件(コスト、予算、売価、原価など)
・時間的条件(納期、開発期間、季節、期限など)
・空間的条件(体積、容積、重量など)
・社会的条件(社会的影響、評価、ブランディングなど)
・技術的条件(技術、能力、容量、力量など)
・価値的条件(価値、基準、好悪、善悪、理念など)
・人間的条件(人材、要員、人数、言語、民族など)
・物理的条件(素材、材質、材料など)
・品質的条件(品質基準、水準、種類など)
・数量的条件(個数、台数、質量など)
・感覚的条件(感性、美意識、デザイン、質感など)

その他、テーマによって絞り込むべき条件があるはずです。その都度、条件を洗い出して絞り込みを行います。
これと同じように、振り返りの「引き出し」によって出てきたアイデアは、絞り込みを行うことによって、活用すべきものとそうでないものとに区分けすることができます。


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プロフィール

藤由達藏
藤由達藏

1991年早稲田大学卒業後、文具・オフィス家具メーカーPLUSに入社。営業職、本部企画職、全プラス労働組合中央執行委員長等を経て、2013年9月に独立。コーチングを核に、各種心理技法や武術、ヘミシンク、労働組合、文芸・美術・音楽創作等の経験を統合し、「気分と視座の転換」を重視した夢実現応援対話技法を確立。2016年9月、株式会社Gonmatusを設立。夢実現応援家®を養成し、全国のビジネスパーソンの夢実現を応援している。

著書

過去の自分を振り返る人だけが成功する理由

過去の自分を振り返る人だけが成功する理由

藤由達藏 /
「過去の自分は宝の山である」をキーワードに、自分自身を振り返ることで、未来...
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