誰しも望む未来があります。しかし、その未来を実現できる人は、ひとにぎりだと考えていませんか? そんなことはありません。未来の自分を変えるヒントは、あなた自身の中にあるのです。過去に「目をつけ」「掘り下げて」「引き出す」。このプロセスの繰り返しが、あなたの未来を大きく変えるのです。ここでは、自分自身を「振り返る」ことで見えてくる、あなたが望む未来の導き出し方を紹介していきます。そう、あなたの過去は宝の山なのです。
私たちは振り返ることによって、己を知ります。いいところも悪いところも。強いところも弱いところも。成功も失敗も。
振り返ることによって、自分のあるがままを把握します。そこから、どうしたいかについての知恵を引き出すのです。
もしも、現実をもっとよくしたいならば、自分の人生をもっとよいものにしたいのならば、改善するための知恵を「過去」から得ることができます。
考え方はシンプルです。
・よい点は、もっと増やす
・悪い点は、もっと減らす
ここで注意しなければならないのは、私たちの行動や心理現象は、注目すると増えるということです。よい点を増やしたいと思うならば、どんどん列挙して注目していくことです。
悪い点については、単に列挙していくと、注目することによって増えてしまいます。減らさなければいけないのであれば、悪い点を見つけたら、それが改善された状態をしっかりと把握しましょう。そして、改善された状態に注目していきましょう。
例えば、仕事上でプレゼン資料をもっとよくするために振り返ってみたとしましょう。
よい点を探します。
レイアウトがよい。フォントの使い方がよい。写真の選択がよい。などの要素が見つかります。
悪い点を探すと、キャッチコピーがいまひとつ。色使いがよくない。アニメーションが下手などが見つかります。
悪い点を見つけたら、その中でもうまくできたキャッチコピーがなかったのか探します。色使いのよかった資料はどれか。また、アニメーションがよかったものを探すのです。
そうして、よい点としてどんどん列挙していきます。そしてそれらを増やすためにできることを始めるのです。
成功や失敗についても同じことです。
・成功は、成功した原因を学び、成功をくりかえせるようにする
・失敗は、失敗した原因を学び、失敗をくりかえさないようにする
仮に、新製品の拡販キャンペーンを実施したら、そこで振り返ってみましょう。成功した地域の成功の原因を調べ、他の地域でも成功するようにノウハウをまとめるのです。
失敗したら、失敗の原因を調べ、次回は失敗を繰り返さないために教訓を引き出し、それを引き継ぎ事項にして報告します。
個人の仕事であっても同じように、気づきや教訓を未来の自分のために書類にまとめておくことです。
これを応用すると、好きなことや嫌いなことも同じことが言えます。
・好きなことは、増やす
・嫌いなことは、減らす
仕事を楽しくするためにも、日々の仕事を振り返ってみましょう。好きな仕事は何でしょうか。嫌いな仕事は何でしょうか。好きな仕事を増やすためにできることを探しましょう。
嫌いな仕事は、何が嫌いなのか、その嫌いな原因を探り出しましょう。
例えば、出張報告書が面倒くさくていつも先延ばししてしまい、締め切りギリギリになってしまうという場合、その作業を振り返ってみましょう。
「商談記録を書くのが面倒くさい」
「商談相手の部署名・肩書きを正確に書くのが面倒くさい」
「交通費の精算が面倒くさい」
「フォームに則って書かなければいけないのが面倒くさい」
など、さまざまな要因があるかもしれません。その中でも一番面倒なことを簡単にする方法を考えれば、面倒な作業も早く片づけることができます。
出張する前に予想できることはデータ入力しておく。また、商談中のメモは商談直後に入力するようにする。あるいは、商談直後にはすぐに他のことをしないで、必ず時間を取って報告書を記録する時間にあてる。などのアイデアを出すことができます。
面倒ならば面倒なことをしっかりと「掘り下げる」のです。それによって改善するためのアイデアを引き出すことができます。
振り返るからこそ、現状がどうであるのかが理解できます。振り返るからこそ、未来がどうなりそうなのかが見えてきます。
そうして初めて、未来の改善に取り組むことができるのです。
「心躍る未来像」を思い描くときに、ついつい私たちは遠慮しがちです。想像するだけなのに、あまり欲張らないのです。心のどこかに、欲張りすぎてはいけないと、自分を制限する気持ちがあるようです。
なかには、何かと引き替えに、これだけは叶えて下さいと祈るように思い描く方もいます。
「お金なんていらないから、とにかく健康でいたい」
「とにかく給料があがればいい」
私たちは、思い描いた未来像に向かって行動をし始めます。お金なんていらないと思いながら行動していけば、そちらの方にどんどん近づいていきます。給料があがればいいとしか思い描かなければ、それ以外のことには気が回りません。
想像するのは、タダです。制限を取り外して思いっきり想像してみましょう。
そうはいってもどうしたらいいかわからないという方は、3つの現実を順番に思い浮かべて下さい。
1つ目は、個人的現実です。自分に起こること。未来像で何を考え、感じているのかという内面もあれば、肉体的な外面もあります。健康で、体調もよく、しかも明るい考えを持ちながら、感謝と悦びを感じている、という風に個人的な世界を思い描きます。
2つ目は、社会的現実です。家族もあれば会社の同僚との人間関係もあります。地域の人とのふれあいや、趣味の人間関係。国内外の政治や経済、社会構造など。すべてが最高に満足のいく未来の姿を思い描きます。
3つ目は、物理的現実です。空気や水、空の景色、またはさまざまな製品や建物、社会の環境や道路や電気、ガス、水道といったインフラなど。あらゆる物理的環境についても、最高の未来を思い描きましょう。
この3つの現実を順番に思い描いていくと、その世界が立体的に浮かびあがってきます。そして、あなた以外の人々の幸せな状況も視野に入ってきます。地球環境についての配慮も含まれます。
これがよいのです。
私たちは、単独で生きているわけではありません。あなたが幸せになるということは、他の人々や環境の助けがあってのことなのです。
周りの人が全員不幸で、あなただけが幸せということはあり得ません。あなたが幸せになるためには、他の人や環境の幸せな状況が不可欠なのです。
想像だけではなく、実現したときの未来像も同じく、3つの現実が幸せな状況でななければ、十分に満足のいく世界とはなりません。
そう、あなたの中には「過去の経験」という宝の山があります。それをいかに活用するかによって「未来はいかようにも変えられる」のです。
肝心なのは、それを知って「意識する」ことです。これを読んだその日から、あなたが望む未来の実現は一歩前進したことを忘れないで下さい。