誰しも望む未来があります。しかし、その未来を実現できる人は、ひとにぎりだと考えていませんか? そんなことはありません。未来の自分を変えるヒントは、あなた自身の中にあるのです。過去に「目をつけ」「掘り下げて」「引き出す」。このプロセスの繰り返しが、あなたの未来を大きく変えるのです。ここでは、自分自身を「振り返る」ことで見えてくる、あなたが望む未来の導き出し方を紹介していきます。そう、あなたの過去は宝の山なのです。
振り返りを実践するとどのような効果がもたらされるでしょうか。
振り返りは、少なくとも次の3つの効果をもたらします。
「視野の拡大」
「他力(たりき)の活用」
「知識の創造」
以下、順番に見ていきましょう。
――「視野の拡大」――
私たちは、日々目の前の仕事に取り組んで生きています。ともすれば、木を見て森を見ずのたとえのとおり、部分的な仕事に集中するあまり、仕事の全体像が見えなくなってしまうことがあります。
そこで「振り返り」を行います。
振り返りによって、まず視野に変化が起きます。進行中の仕事に意識を向けていた状況から、過去に成し遂げた仕事を俯瞰(ふかん)してみることで、仕事の全体像を見ることができます。
また、過去の出来事を振り返ると、現在の感覚とは違う当時の感情や思考を再度体験することになります。ここで、現在と過去とを比べることによって、自分の感情や思考の幅が広がります。
さらに、振り返りの過程で他人の視座を意識することで、自分の思考や感情の幅も広がります。
振り返ることによって、世界の見え方やものごとのとらえ方が拡大するのです。これが視野の拡大です。これによって、現在の視座へのとらわれから自由になり、木だけに注目していた状態を抜け出し、森全体を見渡すことができるようになるのです。
――「他力の活用」――
視野の拡大は同時に、私たちを取り巻く、さまざまな「手助け」に気づかせてくれます。私たちの役に立つ手助けのことを「他力」と呼んでいます。
他力には、6つの分野があると覚えておくと便利です。
1.ヒト
2.モノ
3.カネ
4.知識・情報
5.スキル・ノウハウ
6.その他
視野が拡大することによって、これら6つの他力に気づくことができます。気づくことができれば利用したり、活用したりすることができます。
たとえば、職場で孤立無援だと感じながら必死に作業しているときに、現在の状況を振り返ると、必要な情報を持っている同僚の存在や、そもそも指示を出した上司に相談することもできるということに気づきます。
視野が狭くなっていると、猪突猛進してしまい、自爆してしまいかねないところを、振り返りによって回避できるのです。
例えば、何百件もの宛先にDMを送らなければならないというときに、必死になって手書きで宛名書きをしていたとします。そこで、現状の自分やその時点までの過去を振り返り、視野を拡大し、6つの他力の一つひとつの可能性に思いを巡らせてみるのです。
仕事を手伝ってくれる「ヒト」はいないだろうか。もっと速く処理するための「モノ」はないだろうか、と考えていきます。
すると、「パソコン」や「インターネット」という「モノ」があることに気づくかもしれません。
「もっと楽にできないか、ネットで調べてみよう」
そう考えて調べてみれば、現状を打開できる「知識・情報」を検索することができます。宅配業者さんにデータを渡せば送り状に印刷してくれるとか、送り状は一つで、あとはラベル印刷で対応可能だという情報をつかめるかもしれません。
その他、問題解決するための「スキル・ノウハウ」は何だろうかと考えることもできます。さらに、「その他」なんでもいいから利用できることはないか、助けになることはないかと探していくのです。
探そうとし始めれば、答えは見つかります。しかし、探そうとしなければ、偶然に期待するしかなくなります。探そうとしないということは、主体的に問題を解決することを自ら放棄するようなものです。
実は、こうしたさまざまな手助けは、私たちの身の回りには満ち溢れています。ところが目の前のことをやろうとするうちに、6つの他力の存在を忘れてしまうのです。
よって「振り返り」をすることで現状を冷静に認識でき、6つの他力を確認する余裕も生まれるのです。
――知識の創造――
夢実現応援の対話(コーチング)をしていると言うと、こんな風に問い返されることがあります。
「夢なんてないんですけど。必要ですか?」
あってもなくても構いません。
しかし、夢があると行動に方向性が生まれます。行動が加速します。
夢とは「希望を具体的にしたもの」なのです。
たとえば、「能力を高めたい」という希望は、具体性に欠けています。もっと詳細な情報を加えましょう。どんな分野の、どのような能力を高めたいのでしょうか。
仕事上の能力であっても、計数管理能力もあれば、商談のコミュニケーション能力もあります。そもそも何のために「能力を高めたい」と感じているのか、その目的もあるはずです。それらを具体化していく必要があるのです。
仮に、貿易関係の仕事をしている方がいるとします。
「海外の取引先と、深い繋がりを築きたい。もしも密接なコミュニケーションをとることができたなら、もっと満足度の高い仕事ができるだろう」
そのように考えて、未来の仕事の仕方を具体的に思い描くならば、今から何をしたらいいかが見えてきます。
そうすると、貿易全般の知識を身につけようだとか、英語でメールのやり取りが必要になるから、英語のライティングを学ぼうなどという風に、具体的な対策が見えてきます。
これも、振り返りによって自分の欲求や希望を確認し、具体的な夢として描くことによって可能になります。
もしもあなたが未来をもっと楽なものにしたいと思うのであれば、まさに、振り返りを通じて夢を創造することができます。
そう、創造なのです。
私たちは、振り返ることによって、課題に対する答えを引き出します。夢実現応援の対話においても、「お客さまの中から答えを引き出す」という言い方をします。
答えを引き出すというと、どこかに答えがあるかのように思う人もいます。しかし、あらかじめ答えなどありません。私たちが探そうとするから、出現します。
それはまさに創造なのです。探すから答えが姿を現すのです。
よって、今、夢なんてなくても構いません。自分の気持ちを振り返って、その気持ちに従って夢を思い描いていけばいいのです。
振り返りは、知恵と答えを創造するプロセスでもあるのです。そうすれば、今よりもっと「楽に生きる」ことができるようになるのです。