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「あなたの寿命は1日です。」 その言葉で私は知った。明日、私は死ぬのだと。 まだ何も心の準備ができていない。 まだ先生が言っていることが嘘なのではないかとすら思っている。 この短すぎる命のためにも、この日だけは外出の許可が出された。 ジリジリと地面から感じる熱い陽炎、ミンミンとうるさい蝉の鳴き声、公園でキャーキャーと奇声を上げながら走り回る子供たち、なんでもない日常が私の周りに飛び交っている。 でもこの景色が私にとっては久しぶりの光景だった。 まだ明日死ぬという実感が湧いてこない私は、帰り道にある松崎神社に寄ることにした。 病院から10分ほど歩いてやっとその神社に着いた。 この空気、日差し、匂い、音、全てが私にとって懐かしい思いをさせてくれる。      子供の頃、一番仲の深かった友達の町山くんとよくこの神社に遊びに来ていたことを思い出す。  そういえば、町山くんは今どこで何をしているのだろうか。高校受験に失敗した僕は中学卒業以来、町山くんとは一回も会っていない。会っていないどころか共通の友達との会話の話題にすらならなかった。  でも、今となってはただただ会いたい。あんなことやこんなことを一日中話したい。でも、私にはそんなことすらできない。なぜなら、明日私は死んでしまうから。  そんなことを考えていると、死ぬのが少し嫌になってきた。
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文字数 567 最終更新日 2022.05.20 登録日 2022.05.20
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