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あの方の心が閉ざした瞬間を覚えている。
敬愛と恋情との区別も曖昧な時分のことだ。
「結婚しようとも貴方ほど愛せる人はいまいよ」
冗談めいていながらもまごうかたなき本心だった。それを、あの方の想い人は笑い飛ばしたのだ。
「そういうことは好いた女に言うのだな。男同士で寒気がするわ」
その言葉は、彼の人なりの冗談であったのだろう。表情は柔らかく、しかしどこか呆れたような色を滲ませていた。
気にすることなどない一幕のはずであった。ただの言葉遊びに過ぎぬ、他愛のない遣り取りのはずであ
った。
しかしながらその頃すでに己の性癖――同じ男に性の欲求を抱くということを感じ始めていたあの方にとって、彼の人の言葉は強い拒絶となり、あの方を酷く萎縮させた。あるいは、彼の人は彼の人の想いを感じ取られていあのかもしれない。今となってはもう、確かめようのない話ではあるが。
そのようにして、あの方はそっと心を閉ざされた。誰にも気づかれぬように、美しく気高いヴェールで幾重にも覆い隠してしまわれた。
表面上は何も変わらないまま、誰にも見せぬ心があることさえも気づかれることの無いよう、厳重に、そして自然に。
文字数 126,218
最終更新日 2024.06.04
登録日 2021.07.19
高位貴族と縁続きになることを狙って引き取られ、男爵令嬢として勉学に邁進する女子生徒と、第二王子の婚約者候補として一番に名前が挙がる公爵令嬢のお茶会での一コマ。いわゆる悪役令嬢ものや乙女ゲーム云々の文脈に乗っかった短編です。
文字数 4,372
最終更新日 2023.12.08
登録日 2023.12.08
特殊な能力を持つ子どもたちの学び舎、全寮制の八年制学校ギムナジウム。その寮には自治のため独特のルールが設けられていた。
進級し、寮長を務めることになったのっぽの五年生・キャロは、兎の耳と尻尾を持つ小さな一年生・トピアスの窮地に出くわす。彼はトイレの中で声を奪われ、今まさに襲われようとしていた。
【※登場人物の受攻は非固定です】
文字数 48,087
最終更新日 2023.09.06
登録日 2021.07.19
二年遊んだVRMMORPG『Arkadia』と同じ名前の現実に降り立った巧はヒューイと名乗り、どこかに居るかもしれない友人を探そうとしていた。しかしプレイヤーの存在は一部の現地人には格好の実験体だと聞き、引き籠りに。
そんな折ギルと名乗る手癖の悪い男を助けるが、手癖が悪いばかりかヤらせろと組み敷いてきて……。痛みではなく快感を叩きこまれ、慰められたのは身体か、心か。胸まで疼くのは人恋しいからか、それとも?
ワケアリの二人がかみ合うまでの恋?模様。
文字数 598,344
最終更新日 2023.05.28
登録日 2023.01.14
クィンシーは農夫の家に生まれた。五男であったことや奉公先で可愛がられたこともあり、今は上京して大きな商会に勤めている。男を知った身体を持て余す以外は順調な日々を送っていたが、ある日、自分の部屋に突然、大きくて逞しい陰茎がぴんと突き出していた。
文字数 16,211
最終更新日 2023.05.08
登録日 2023.05.08
規格外すぎてぼっちな魔女(他称)が心機一転、異世界転移(引っ越し)してやりたいことだけやるよ! と言う話……の、はず。
お悩み解決系になりたい。時折R15程度の性描写があります。
文字数 59,382
最終更新日 2021.08.09
登録日 2021.07.19
犬耳尻尾の奴隷が美しい主と恋人になるまでと、それからのお話。
※注意事項はタグを参照ください。
文字数 149,177
最終更新日 2021.07.31
登録日 2021.07.19
男にしかなれない欠陥淫魔の山なし落ちなししっぽり情事……事情。お気楽自堕落に、快楽と悦楽に浸る生活を満喫中! どうかいつまでも平和に暮らせますように。
短編連作風のため一話が長めです。
【本編の大筋は完結しています。今後本編更新の際は話の時系列を合わせるため割り込み投稿を予定しております】
文字数 176,153
最終更新日 2021.07.25
登録日 2021.07.19
ダイブ型VRゲーム『箱庭生活』。そこでまったりと暮らす一人の女性ユーザー(目指せもふもふ)と猫耳尻尾の少年のヒトコマ。
文字数 12,007
最終更新日 2021.07.19
登録日 2021.07.19
ダイブ型VRゲーム『箱庭生活』。女だけど男のアバターでプレイ中のクリスは2年の付き合いになる相棒のラズに押し倒された。……えっ やっちゃうの? 男同士だけど!?【※肉体的には男×男ですが、精神的には男×女になります】
文字数 31,144
最終更新日 2021.07.19
登録日 2021.07.19
「皆殺しにされたくなければ一番見目麗しい人間を寄越せ」という物の怪の言葉により選ばれたのは美少年だった。
てっきり生贄になるものとばかり思っていたが、どうも物の怪の第二王子の嫁探しだったらしく――?
声変わり前の美少年と、見た目人間の人外青年のなんやかんやらぶらぶな話。
文字数 122,146
最終更新日 2021.07.19
登録日 2021.07.19
生き物の魔力を奪う魔王になす術もなく倒れて行く人間に道を示したのは女神の神託だった。たった一人だけ抜くことのできる聖剣を手に、薄紅色の瞳の勇者は魔王の元へと旅立つ。幾度も繰り返された物語をなぞり、今代の勇者は聖剣を抜いて魔王と相見えた。
ここまで来ればやることは決まっている。
文字数 30,477
最終更新日 2021.07.19
登録日 2021.07.19
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