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死ぬ前に、最初で最後の帰省。8年ぶりの故郷。あの頃、僕はまだ15だったーー
近々、隣国との大きな戦争が始まるらしい。
そう聞かされたのは2ヶ月前だった。するする詐欺なんて日常茶飯事で、僕は大して気にしちゃいなかった。
水桶に落とした手拭いに、あっという間に水が浸るように、戦争が始まることはすんなりと確定して、日々着々と準備が進んでいった。
――ずっと、一日を摘むように、日々を淡々と過ごしてきていた。
死ぬことが決まって、頭に浮かんだのは、実家への仕送りは今後どうしようか、ということだけだった。本当かどうかわからないけど、国から保障が出るらしい。
開戦の一週間前になって、上からお達しが出た。早い話が死ぬ前に贅を尽くしてこい、ということだった。特にやりたいこともなかったので、幼馴染みのフィレイと帰省することにした。そんな殊勝な柄でもないのだけど、せっかくだし自分の人生を振り返ってみるのも
いいのかもしれない。
そんな気軽な思いつきだった。本当に、他にやりたいことも、やるべきことも、思い浮かばなかったのだ。
これは、どこにでもいる、なんてことない凡庸な僕の、最期の三日間の物語。
文字数 7,881
最終更新日 2024.05.27
登録日 2024.05.18
ショタ×喪女のハートフルでえっちなラブストーリー。
お金、スペックは関係ない。
駆け引きや計算なんかもない。
ぴゅあにお互いを思い合う恋って、最高でしょ?
文字数 14
最終更新日 2024.01.31
登録日 2024.01.31
今、世界で生きている人達の中で、初恋を引きずっている人ってどれくらいいるんだろうか。
13年前、僕は16歳で、高校生で、まだ恋とか愛とかについて、よく知らなかった。
昨日、夢をみた。あの子と仲睦まじく過ごす、暖かく柔らかい時間。
目が覚めても、そのイメージが鮮烈に焼き付いている。
29歳になった今、あの頃のことを思い出すことはほとんどなくなっている、はずだった。
なんとなく胸騒ぎのようなものがして、それはきっと、燃え尽きる前の、一際眩い線香花火みたいで、僕はいても立ってもいられなかった。
ほとんど衝動的に会社を休んで、もう縁もゆかりもない、昔住んでたあの街に向かう。こんなに行動的なのも久し振りで、ちょっと面白い。
とは言っても、これはあくまでも、気紛れの小旅行みたいなものだ。ちょっとした整理整頓。
行きの新幹線では、そんな風に思っていた。
あの子の影をさらって、過去を振り返ると、止まっていた時間が動き出したーー。
これは僕の、周回遅れの初恋の話だ。
文字数 16
最終更新日 2024.01.31
登録日 2024.01.31
文字数 1,368
最終更新日 2024.01.30
登録日 2024.01.30
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