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「ねえ知ってる? 最近でるらしいよ?」
――吸血鬼――。白皮症、血液嫌い、大妄想持ちの女子高校生、出里若菜は克服しきれない朝の眩惑的騒々しさの中で、親友から今更ながらの情報を小耳に入れる。
吸血鬼が現れる。なんでも、ここ最近の夜間に発生する傷害事件は、おとぎ話でしか存在を聞いたことがない、そんな化け物が引き起こしているらしい、という情報である。
噂に種はなかった。ただ、噂になるだけの事象ではあった。同時に面白いがために、そうやって持ち上げられた。出里若菜はそう思う。噂される化け物らは、絵本に厳重に封をされている。加えて串刺し公の異名を持つブラド・ツェペシュも結局人の域を出なかった。
この化け物も結局噂の域を出ない伝説なのだ。出里若菜はそう決め込んでいた。
あの光景をみるまでは。
※流血表現、生生しい描写、という要素が含まれております。
ご注意ください。
※他サイト様にも掲載させていただいてます。
文字数 113,361
最終更新日 2024.05.20
登録日 2022.12.05
「立花麗かは嘆いていた。途方もなく長い一本道を、雁字搦めにされて歩いていくような、そんな運命を」
突如回された許嫁の約。降りしきる浅い雨。栄えある立花家に生まれた立花麗かは、齢14にして生涯を共にする相手を決められた。彼女自身の意志を汲まない定めに、幼い彼女は少しずつ、本当の幸せと言うものを探り始めていく。寒さの中で邂逅する不思議な黒猫。幼い頃に離れた旧知の帰郷。嫁入り前の少女は、透き通るめぐみが世界を潤す中で、純粋に自らの人生を考え始めていた。
(初投稿とさせて頂きます。拙い文章や読みづらい点があると思いますが、よろしくお願いします)
文字数 97,895
最終更新日 2020.09.10
登録日 2020.01.31
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