おくり提灯LED

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いいえ、無職です
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 ――本当は助けていたんです!  これが言えたらどれだけ楽だったか。  その日、冒険者クラン“龍へと至る道”で5年荷物持ちを勤めていたアレクセイは、あえなく解雇となった。  ずっと家族のように思っていたのに。  クランリーダーのおやっさんに、「役立たずだから出ていけ」と告げられ、仲間達も誰一人としてアレクセイを引き留めなかった。  アレクセイはもって生まれた能力、憑依で幾度となく仲間を救ってきた。でも、魂とは神に祝福されたものであり、そのものをどうこうするような力は教会が定めた禁忌。  そのことは決して言えなかった。  解雇を受け入れるしかなく、借りていた剣を返そうとしたら、役立たずが使っていた剣なんて「ゲンが悪い」と突き返される始末。  アレクセイは涙をこらえ、「皆さんは俺の憧れでしたッ」と最後に言い残して、元仲間達の元を去った。  とはいえ、つらいかなしいとばかりも言ってられない。  いきなりの無職なのだから。  そんなアレクセイが外に出ると、声をかけてくる者がいた。  白鉄騎士団団長ライヤと名乗る女性。更に、その後ろにはフードで顔を隠した長身の女性。 「ぜひ、君を我が白鉄騎士団に迎え入れたい」  まさかの騎士団への勧誘。  心が動く。だが、アレクセイは冷静に考えた。  冒険者をクビになったら、騎士団が勧誘? なんの実績もない平民を?  そんな都合のいい話あるかぁ!  詐欺だ、絶対に詐欺だ。しかも心が弱っているところを狙ってくる最低の詐欺だ。  ちくしょう! と、アレクセイはダッシュした。  二人ともが騎士の勲章をつけていることに気づかずに。  ――アレクセイの明日はどっちだ……!?  というようなはじまりの小さな英雄譚。  決して生まれてきてはならない――そんな風に定められた禁忌の少年が、居場所を見つけ、仲間として受け入れられ、そして英雄へとなってゆく物語。  小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
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文字数 135,681 最終更新日 2021.05.03 登録日 2021.03.28
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