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その国には王族の墓守を生業とする一族が居た。
建国よりずっと紡がれる系譜。
そして、その一族にいつの頃からか寄り添う『異形』の存在。
紡がれてきた血脈。紡がれている血統。
美しい『異形』は嗤う。
―あなたには、何を差し出してもらいましょうか?
文字数 5,879
最終更新日 2020.01.04
登録日 2020.01.04
ひとりの女が、ひとり娘を亡くして咽ぶ王妃に言った。
『この花を差し上げましょう』
差し出されたのは、花。
紅い、何処にでもあるような花だった。
しかし、何処にもない花だった。
陽光を浴びて綺羅綺羅と輝く花。
月明かりを浴びて深深と艶めく花。
それは、花ではなく宝石だった。
生花と変わらぬ佇まいで、美しさはより一層。
王妃は問う。
『この花は、一体どうして…』
女は微笑んだ。美しく、虚ろに。
『そちらはわたくしが造りました。美しい王女への餞に』
文字数 6,091
最終更新日 2019.05.19
登録日 2019.05.18
文字数 7,024
最終更新日 2018.11.25
登録日 2018.11.25
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