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「勇者様が魔王を倒したぞーー!!!」
誰かが叫んだ。それに共鳴し、数万といる兵士の地震のような怒号が雨の空に響く。王国と魔王国の長年続いた戦いに今、ついに終止符が打たれたのだ。
そんな中、白い息を吐く男が一人、喜びに包まれた世界の中でこんな願いを呟いた。
「白と黒が交わることのできないこんな世界なんて、消えてしまえばいいのに」
そんな王国と魔王国の戦争から数年後、魔王が使っていたとされる「魔法」は異端だと廃れ、王国では神から与えられた武器に宿る力「剣力」が主流となっていた。そして王国は再び敵対分子を生まない為、こんな常識を作り上げた。
「剣力が全て」「王国の思想に反する”異端者”と、力を持たない”無剣者”は滅びるべき」
そのような上下関係が確定した常識で固められた国からはありとあらゆる争いが消え、真の平和が訪れた。
そんなハッピーエンドが訪れた世界へ、とある人間が迷い込む。
人間がたどり着いた先は、仮初の幸せの中に佇む王国では無く、それらの思想に反する”異端者たちの街”だった――――――
魔法が廃れた、剣力の蔓延る世界で繰り広げられる革命ファンタジー
文字数 19,774
最終更新日 2024.07.19
登録日 2024.06.25
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