第8回ライト文芸大賞

第8回ライト文芸大賞

選考概要

全1,926作品が集まった第8回ライト文芸大賞。10代の繊細な恋愛を描いた青春系から、仕事に疲れた社会人の癒しを描いた物語まで、幅広い年齢・テーマを題材とした作品が集まった。その中から一次選考を通過したのは31作品。

その後、編集部内で最終選考において大賞候補としたのは、「古民家ベーカリー&カフェ とまり木 ~美味しいパンとやすらぎを~」「わたしが死神になった日」「あやかしさんの古民家カフェで、ほっと一息、しませんか」「さくら長屋の回覧ノート」「七色の私と透明な君」「真夏の観測者たち」の6作品となった。

これらの候補作の中で、周囲と関係を築くことを苦手とする繊細な女性の成長を描いた「さくら長屋の回覧ノート」を「大賞」に選出。
次いでテーマ別賞として、生と死の狭間で恋に悩む幼馴染の関係を描いた「わたしが死神になった日」に「切ない別れ賞」、10代特有の学校における複雑な人間関係を丁寧に描写した「七色の私と透明な君」「真夏の観測者たち」の2作品に「青春賞」を授与した。
さらに、パワハラで職場を退職した女性が、田舎のベーカリーで自分を取り戻していく様子を描いた「古民家ベーカリー&カフェ とまり木 ~美味しいパンとやすらぎを~」を「何気ない暮らしの景色賞」、個性豊かなあやかしと料理にほっこりする「あやかしさんの古民家カフェで、ほっと一息、しませんか」を「料理・グルメ賞」とした。
なお、最終選考に残ったものの、惜しくも受賞に至らなかった作品を奨励賞とした。

「さくら長屋の回覧ノート」は、人生にタイパを求め、家賃の安い北鎌倉の長屋に引っ越してきた主人公と、長屋の住民たちとの交流を描いた作品。その繊細さゆえ周囲との関わりに苦手意識を持っていた主人公の心が徐々にほぐされ、考え方が変わっていく様子が丁寧に描写され、温かで前向きな読後感が味わえる物語だった。

「わたしが死神になった日」は、事故で死んでしまった主人公が条件つきで神様となり、ずっと好きだった幼馴染の男の子に会いに行くラブストーリー。お互いを想い合う一途な気持ちに胸を打たれた。

「七色の私と透明な君」は、空気を読んで周りに合わせてしまう主人公と絵の才能を持つ自閉症の少年のボーイ・ミーツ・ガール。高校生特有の悩みや葛藤を通し、自分らしさの表現に向き合っていく様子が巧みに描かれていた。

「真夏の観測者たち」は、それぞれが事故に遭って死んだはずだという食い違う記憶を持つ四人の高校生が死の回避に挑む青春SF。設定の面白さが冒頭から読者を引き込み、真相が明かされる結末まで読ませる力のある作品だった。

「古民家ベーカリー&カフェ とまり木 ~美味しいパンとやすらぎを~」は、職場でのパワハラに疲れた主人公が、失っていた味覚を取り戻すきっかけとなったカフェで働き始める再生の物語。美味しい料理と優しい人間関係が穏やかな筆致で描かれていた。

「あやかしさんの古民家カフェで、ほっと一息、しませんか」は、人ならざる者が見える主人公が猫又に導かれ、あやかしの集まる古民家カフェに就職するキャッチーな設定の一作。あやかしたちとのほっこりするやり取りが評価された。

開催概要はこちら
応募総数 1,926作品 開催期間 2025年05月01日〜末日

編集部より

「タイパ」を重んじるが故に孤独だった主人公の心の変化が、繊細かつ丁寧につむがれた作品です。引っ越し先の長屋に暮らす住人たちがそれぞれ個性的に描かれ、また、その長屋に登場する「回覧ノート」の存在もアイテムとして際立っており、総じて心温まる魅力的な作品に仕上がっていると感じました。


編集部より

ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。都会を離れ、のんびりした田舎暮らしを始める展開に、読者の心が癒されました。何気ない日常に喜びを見出していく物語に、読んだ人を惹きつけるものがありました。


編集部より

主人公たちがそれぞれ自分よりも相手のことを思い合う、十代ならではのピュアな恋愛感情に胸を打たれました。また、後半では主人公の死に関する衝撃的な事実が明かされるなど、最後まで読者に展開を読ませない構成が大変秀逸でした。


編集部より

空気を読んで周囲に合わせてしまう主人公と自閉症の男の子の交流と淡い恋の純粋さが非常に印象的でした。10代の高校生特有の悩みや葛藤、挫折がそれぞれの登場人物を通して見事に描かれ、筆力の高さを感じました。


編集部より

「四人の高校生の間で、事故に遭って死んだはずの人物の記憶が食い違う」という設定が秀逸で、冒頭から引き込まれました。四人それぞれのキャラが立っており、全員で困難を乗り越えていく過程のリアリティ溢れる描写が印象に残りました。


編集部より

仕事のストレスで味覚を失った主人公が、田舎のベーカリー&カフェで再生していく姿が丁寧に描かれたとても温かい作品でした。田舎で出会った優しい人々との交流や、食欲を刺激する料理の描写も巧みで、心地よい読後感に浸ることができました。


編集部より

次々に登場する個性豊かなあやかし達との軽妙な掛け合いが巧みに描かれているため、読者様をラストまで飽きさせずに、引き込む構成が見事です。また、傷心の主人公がカフェでほっこりとした日常を紡いでいく様子に心が温かくなりました。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。

奨励賞