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中学に通う月島佑は、完璧こそすべての少年だった。学年1位の成績と抜群の運動神経を誇る優等生。医者である親からも医者になることを期待されてきた。「完璧な仮面」を美学に生きてきた。
ある日、転校生でやってきた柴崎彩夏はいきなり佑から学力1位を奪った。圧倒的な存在に気圧された佑は「どこの高校を目指すんだ?」と彩夏に聞くと、彼女は笑みを浮かべながら「私、高校には行かないんだ」と言った。
彼女が高校進学を選択しない理由には、幼い頃から追い続けている夢があった。その夢を叶えるために彼女もまた完璧であろうとしていた。
その夢を知り、佑は当初は自分と似ている存在と思っていた彩夏に「自分にないもの」を感じ、佑自身もまた新しい自分になるために動き始める
文字数 8,069
最終更新日 2025.04.10
登録日 2025.04.02
中学二年のときに、陸上競技の男子100m走で全国制覇を成し遂げたことのある深田碧斗は、高校になってからは何の実績もなかった。実績どころか、陸上部にすら所属していなかった。碧斗が走ることを辞めてしまったのにはある理由があった。
それは中学三年の大会で出会ったある才能の前に、碧斗は走ることを諦めてしまったからだった。中学を卒業し、祖父母の住む他県の高校を受験し、故郷の富山を離れた碧斗は無気力な日々を過ごす。
ある日、地元で深田碧斗が陸上の大会に出ていたということを知り、「何のことだ」と陸上雑誌を調べたところ、ある高校の深田碧斗が富山の大会に出場していた記録をみつけだした。
これは一体、どういうことなんだ? 碧斗は一路、富山へと帰り、事実を確かめることにした。
文字数 119,883
最終更新日 2024.08.14
登録日 2024.07.17
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