第6回ホラー・ミステリー小説大賞終了

第6回ホラー・ミステリー小説大賞

第5回ホラー・ミステリー小説大賞

選考概要

過去最多の応募数を更新した第5回ホラー・ミステリー小説大賞。全1206作品の中から、最終選考に進んだのは20作品。その後さらに検討を進め、「視えるのに祓えない・九条尚久の心霊調査ファイル」「嗜食(ししょく)」「断末魔の視覚」「冥恋アプリ」の4作品を大賞候補作とした。

大賞候補作には、キャラクターに魅力のあるライトホラーや、叙述トリックを用いた本格ミステリーなど、それぞれ個性を打ち出した意欲作が残ったものの、いずれもあと一歩決め手に欠け、残念ながら大賞の該当作をなしとした。
しかしその中でも、他にはないキャラ設定が生きていた「断末魔の視覚」を優秀賞に選出。次点で評価が並んだ「視えるのに祓えない・九条尚久の心霊調査ファイル」「嗜食(ししょく)」「冥恋アプリ」に特別賞を授与することとした。
その他、最終選考に残ったものの、授賞に至らなかった作品を奨励賞とした。

「断末魔の視覚」は、死んだ者が最後に見た光景を見ることができる、という特殊能力を持つ主人公が、同居人と共に難事件を解決するミステリー。独特な設定と、人間関係の描写の繊細さが支持を集めた。

「視えるのに祓えない・九条尚久の心霊調査ファイル」は、霊が見える女性と霊の声が聞こえる男性が心霊現象を調査するライトホラー。謎解きも面白く、ミステリーとしても読み応えがあった。

「嗜食(ししょく)」は、カニバリズムを題材としたミステリー。一見本筋とは関係なく思える要素も最終的に全て繋がり、構成力の高さが窺えた。また、活字ならではのトリックも評価された。

「冥恋アプリ」は、利用者が死ぬというマッチングアプリを活かしたホラー作品。流行を反映した設定がキャッチ―な他、登場人物が怪異に追い立てられる描写がスリリングで、ハラハラさせられた。

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応募総数1,206作品 開催期間2022年03月01日〜末日

なし

芋虫(完結)

1位 / 1,206件

編集部より

ポイント最上位作品として“読者賞”に決定いたしました。主人公を取り囲む愛憎入り乱れる世界観が魅力的でした。また、先の読めない展開と主人公の心情描写が、非常に緻密に書かれており、終盤の衝撃的な展開も相まって読者の心をつかんだのではないでしょうか。

断末魔の視覚

444位 / 1,206件

編集部より

特殊能力を持つ主人公の椋と、彼に寄り添う広斗の、一言では説明できない関係がとても細やかに表現されていました。死んだ人間が最後に見た光景が見える、という能力が発揮される場面も巧みな筆致で表現されていて引き込まれます。守護霊と会話できるもう一人の霊能力者・紫王のキャラクター造形も魅力的でした。


編集部より

心霊と探偵という人気のある組み合わせを、とても丁寧に描いた作品だと感じました。心霊現象の怖さもさることながら、その後に判明する真相にも意外性や納得感がしっかりと存在し、クオリティの高い連作として楽しく読むことができました。光と九条の凸凹コンビも魅力的です。

嗜食(ししょく)

じゃっく
251位 / 1,206件

編集部より

猟奇的な連続殺人を所轄の刑事が追いかけるという、本格派のミステリーでした。遺体の状態をはじめとした細部の描写にこだわりが窺え、重厚な作品に仕上がっていたと思います。また、登場人物の会話の中に、捻りの利いた言い回しが多く見られ、センスの高さも感じました。

冥恋アプリ

472位 / 1,206件

編集部より

マッチングアプリによって人が次々と不審死を遂げるという設定が現代風で、新鮮に感じました。怪異に追われつつも、幼馴染や似た境遇の仲間と協力して事件の真相に迫る展開は、まさにホラー小説の王道だと思います。クライマックスで判明する真実にも、意表をつかれました。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。