第23回漫画大賞 秋の陣 募集要項

第23回漫画大賞 秋の陣エントリー募集中
エントリー期間: 2024.9.1(日) 〜 2024.9.30(月)
開催期間(投票期間): 2024.10.1(火) 〜 2024.10.31(木)
結果発表: 2024年11月末日頃
2024年10月の1か月間、第23回漫画大賞 秋の陣を開催いたします。「大賞」「読者賞」の他、「編集長賞」 「ネコ部長賞」などの賞を常設。優秀な作品はテーマごとに賞を受賞する可能性もあります。 また、受賞者には担当編集がつくことを確約!(読者賞、奨励賞には付かない場合がございます) 各賞受賞作品はアルファポリスからの書籍化を検討。投票したユーザにも抽選で賞金をプレゼントいたします。

第22回漫画大賞 春の陣

選考概要

今回、編集部内で大賞候補作としたのは「北欧神話の魔獣、飼います」「薄幸薬師は幸せを掴みたい」「イケメンな幽霊に狙われています」「いじめっ子×いじめられっ子(オメガバース)」「リクエストを聞かせて」「家はなくともハラは減る!」「俺たちだって「恋」をする!!」「りんごと恋」「Shade Black's」「月とがらんどうの街」「事実は小説よりも奇なり」「重箱のスキをつつく」「昼影警備妖怪課」「清算不動産0」「聲の猛虎」「シチメンエッグ」の16作品。

どの候補作も、作品独自の魅力を持っており、最終選考の会議は白熱したものとなった。しかし、いずれの作品も「大賞」にふさわしい絶大な評価を得るにはいたらず、大賞は「該当なし」という結果になった。

続く各賞の選考において、意見が割れた中でも多くの支持を得た「いじめっ子×いじめられっ子(オメガバース)」をBL賞(賞金20万円)に、「月とがらんどうの街」を編集長賞(賞金20万円)に、「昼影警備妖怪課」をネコ部長賞(賞金20万円)に選出した。
さらに、今後の活躍を期待して、「リクエストを聞かせて」と「薄幸薬師は幸せを掴みたい」と「北欧神話の魔獣、飼います」を特別賞(賞金各5万円)に、「イケメンな幽霊に狙われています」と「俺たちだって「恋」をする!!」を新設のBL特別賞(賞金各5万円)に選出した。
また、タテ読み漫画の人気上昇を受け、「家はなくともハラは減る!」をタテ漫画賞(5万円)に選出する結果となった。


「いじめっ子×いじめられっ子(オメガバース)」は、自分がオメガと呼ばれる性別であることを、いじめてきた相手に知られてしまう学園オメガバースBL。繊細で華のある絵柄と、読者の心を掴む叙情的な画面構成が高い評価を得た。キャラクターの内面を掘り下げて描いたり、キャラクターの個性が発揮される展開を用意することで、さらに本作の関係性の魅力を押し出せるだろう。

「月とがらんどうの街」は、廃墟を舞台に少女と吸血鬼の青年たちが出会う、SFファンタジー。高い情景描写力を武器に、独特の世界観を壮大なスケールで描き切っている。その分、ストーリーの方向性が漠然としていて、キャラクターや世界観と比較してディティールの差が惜しい。設定のオリジナリティを展開にも取り入れることで、さらに作品への没入感を深めていってほしい。

「昼影警備妖怪課」は、警備会社の妖怪専門部署で働く主人公が、仕事を通じて周囲の人物や妖怪と関わっていく物語。キャラクター同士のテンポの良いコマ割りと、オチのある展開が楽しい。しかし、オリジナルの事象に対して解説する言葉が足りず、ストーリーの説得力が欠けてしまっている。まずは分かりやすい説明描写を入れて、読者に作品の舞台装置を理解してもらう必要があるだろう。

「リクエストを聞かせて」は、旅先の島で出会った高校生4人の内面を描く青春群像劇。穏やかに進んでいくストーリーの中で、伏線を張りつつキャラクターを深く掘り下げ、高校生の等身大の葛藤を丁寧に描くセンスに注目が集まった。淡白な作画と、セリフ量が多くなりがちな画面にメリハリを付けることで、より作品の持ち味を活かすことが出来るだろう。

「薄幸薬師は幸せを掴みたい」は、雇われ薬師の主人公が、不思議な新人と出会い、運命を変えていく恋愛ファンタジー。緻密な描き込みと美麗な仕上げで、作品の世界観に読み手を引き込む画面作りができている。キャラクターの設定により個性を加えたり、画面上での立ち振る舞いに動きをつけたりすることで、さらに読者の心を動かす作品になるだろう。

「北欧神話の魔獣、飼います」は、ある日魔獣を飼うことになった少年と、神様たちのドタバタ神話コメディ。キーキャラクターである犬をはじめとした動物の描写力が抜群で、可愛らしさが際立っている。キャラクターたちが繰り広げるギャグのテンポはいいものの、見せ方が独りよがりになってしまっているので、読者に伝わる情報量の整理と画面のブラッシュアップが望まれる。

「イケメンな幽霊に狙われています」は、霊媒体質の主人公が、謎のイケメン幽霊に憑りつかれる話。繊細で美麗なビジュアルのキャラクターが高い評価を得た。キャラクターの個性的な関係性にはインパクトがあるものの十分に描き切れていない点や、ストーリーの時系列が飛び飛びで、全体を通じて説明不足になってしまっている点が課題。読者に伝わりやすいストーリー展開、構成を意識していってほしい。

「俺たちだって「恋」をする!!」は、同じ高校に通う幼馴染の男子二人と、友人二人の四人組が織りなす、青春日常コメディ。キャラクターの表情を豊かに描き分けるポップな絵柄と、作品の空気感がうまくマッチしている。ストーリーが場当たり的に展開していってしまっているので、主軸を意識してエピソードを描写していけると、さらに読者に刺さる物語になっていくだろう。

「家はなくともハラは減る!」は、突然ホームレスになってしまった主人公が繰り広げるサバイバルコメディ。タテ読み独自の画面を活かしたレイアウトや、個性的なキャラクターの演出には高い作家性がうかがえる。画力や技術力は高いものの、作品のテーマ性が弱い部分が惜しい。強いヒキのある設定を加えることが出来れば、より話題性のある作品に昇華するはずだ。

惜しくも受賞を逃した7作品もそれぞれに個性があり、高いポテンシャルを秘めた作品だった。

「りんごと恋」は、赤面しがちな女子とクールな男子の恋愛少女漫画。キャラクターの造形が今風で、キュンとするシーンも演出することができている。画力や仕上げにはまだまだ伸びしろがあるので、より繊細さを取り込みながら、読者に求められる画面作りを意識していってほしい。

「Shade Black's」は、冒険者の三兄弟が活躍するファンタジー作品。エネルギッシュな絵柄と描き込みで、骨のある画面作りができている。一方で、序盤から作品内容の説明が不足していて展開が分かりづらく、読者が置いてきぼりになってしまう。読者視点を持ったネームの構成を心がけたい。

「事実は小説よりも奇なり」は、小説好きの少年が異人の少女と出会い交流を深めていく文芸風ファンタジー。怪談を連想させる緻密な画面の作り込みと、独特の空気感に引力がある。ストーリーが小さく収まってしまっているので、より拡張性のあるストーリー作りが期待される。

「重箱のスキをつつく」は、お弁当を交換する秘密を抱えた男女の学園ラブコメディ。見やすい絵柄と安定感のある画面構成だけではなく、ストーリーをブレずにまとめられている点が好印象だった。その反面、キーアイテムの話題から離れられず、展開の変化が乏しいので、さらに話に広がりを作りたいところ。

「清算不動産0」は、不動産経営者の女性が、訳アリの人物に住居を提供するダークなオムニバス作品。ホラーな演出や熱量のあるキャラクターの見せ方は魅力なものの、ストーリーに唐突さが否めない点が勿体ない。説明と見せ場の緩急を意識して、さらに感情を揺さぶることを目指してほしい。

「聲の猛虎」は、陰陽師の男子高校生が式神の虎と共に怪異に立ち向かう現代和風ファンタジー。スタイリッシュな絵柄と独自の世界観が好評を博した。作品の空気感を優先し、セリフやモノローグが回りくどくなる傾向にあるのが課題。説明パートは分かりやすさを意識し、読者と世界観を共有することを重視したい。

「シチメンエッグ」は、映画作りに奔走する高校生たちを描いたドタバタ青春活劇。ボケとツッコミの間合いや、躍動感あふれるキャラクターの描写が面白い。描き込みとコマ数の多さで読者を読み疲れさせてしまう懸念があるので、コマ割りや画面のメリハリを見直すことができると、より作家性が輝くだろう。

「第22回漫画大賞 春の陣」は1,265作品という多くの応募が集まり、幅広いジャンルの粒ぞろいの力作たちは、選考員を唸らせた。残念ながら大賞は出なかったものの、投稿作全体のレベルアップを実感する、非常に充実した選考となった。

また、BL漫画の応募数が回を追うごとに増加している。今回は226作品にものぼり、昨今のBL漫画ブームの拡大が見て取れる結果となった。
そこで、次の第23回「漫画大賞 秋の陣」からはBL作品を除外、今秋開催予定の「BL小説大賞」にBL漫画賞を統合し、

★第23回「漫画大賞 秋の陣」から、BL以外の作品のコンテンツ大賞に変更。
★今秋開催予定の「BL小説大賞」を「BL大賞」とし小説&漫画、両方のBL作品のコンテンツ大賞に変更。

という形にて開催することとした。

※漫画大賞の「春の陣」「秋の陣」両賞参加者への特典付与について……「春の陣」に参加した方は、今秋開催の「漫画大賞 秋の陣」または「BL大賞」いずれかに参加していただくと特典が付与されます。

一般向け作品とBL作品に分けて機会を創出することで、各々のジャンルにおいて、大賞を獲得するような光る作品が読めることを期待している。

開催概要はこちら
応募総数1,265作品 開催期間2024年04月01日〜末日

なし


編集部より

ポイント最上位作品として“読者賞”に決定いたしました。聖女として召喚されたのはおばあちゃんという設定は目新しさがあり、ストーリーの伏線回収も丁寧に描かれていました。似た構図の連続やデフォルメ表現の多用によってイラストの変化が乏しく、セリフに頼りきりの展開になっているので、イラストからも物語が伝わるように試行錯誤していけるとよいでしょう。


編集部より

爽やかで透明感のある絵柄と、多彩な演出表現、キャラクターの内面描写によって、メインカップリングの関係性の変化を繊細に描写することができています。自然なアングルの使い分けとコマ割りも読みやすく、総合的な完成度が高いです。しかし、キャラクターの設定やストーリーにインパクトが欠けていて、やや食い足りない印象を受けました。意外性のある展開や、作品の設定を活かした、オリジナリティのあるシチュエーションを積極的に取り込んでいきましょう。


編集部より

背景の細部まで描き込まれた画面と、ファンタジックな雰囲気の伝わる仕上げによって、読者を作品にのめり込ませる、唯一無二の世界観を確立することができています。小物を用いたドラマチックな演出も目を引きました。その反面、荒廃した街という世界観と、吸血鬼の青年たちと少女の心の交流を描くストーリーの、関連性が弱いことが惜しいです。世界観に沿ったキャラクターの行動理念や葛藤をストーリーに組み込めると、より作品の完成度が高まるでしょう。


編集部より

王道でキャッチ―なストーリーと、個性的なキャラクター同士のコミカルなやり取りが楽しい作品です。しかし、設定の説明不足が目立ちました。設定が初登場した際には分かりやすくセリフやモノローグを入れ込むことで、作者と読者が同じ視点でストーリーを追いかけられるようにしましょう。また、主人公の行動理念が曖昧な印象を受けました。主人公の仕事へのスタンスや動機付けは、読者が感情移入する上で大事な要素のため、じっくり掘り下げていきましょう。


編集部より

キャラクターの作り込みと心情描写が丁寧で、ストーリーに深みをもたらしています。細やかな演出にも個性が行き届いていて、心を揺さぶる描写力があると感じました。線のなめらかさやトーンの明暗の幅を意識したり、フキダシやコマの量を多すぎないようにするなど、読みやすさを重視した画面作りにシフトしていくことができれば、より多くの読者を獲得できるはずです。


編集部より

細部まで丁寧に描き込まれた精巧な画面が印象的なだけではなく、セリフの運び方もスムーズです。その分、キャラクターの設定とカメラワークなどの演出が面白みに欠けていて、どこか淡々とストーリーが進行してしまっている点が残念です。読者の記憶に残るキャラクターの設定や、動きのあるカメラアングルにチャレンジして、さらに作品のエンタメ性を高めていけるとよいでしょう。


編集部より

犬や他の動物の可愛らしさが突き抜けており、動物コメディとして作品の目指す方向性が明確な点が好印象でした。北欧神話という難しい題材をライトに描きこなしている一方で、情報が整理しきれておらず、ギャグが伝わりづらくなってしまっている部分も見受けられました。情報の出し方に客観性を持たせられると、さらに万人受けする作品になっていくでしょう。


編集部より

美しく整ったキャラクターのビジュアルが目を引く作品でした。メインカップリングの関係性も斬新さがあり、面白い一方で、世界観やキャラクターの立ち位置、関係性など、本作のストーリー展開に欠かせない要素が作中で説明されていない点が惜しいです。モノローグやセリフを効果的に用いて、作品独自の設定を読者に分かりやすく伝えることを意識しましょう。


編集部より

活き活きとして動きのある絵柄と、人間味あふれるキャラクター描写が魅力的でした。ただ、ストーリーにおいてはキャラクター達の関係性を描くことを重視するあまり、作品の目的がぼやけてしまっています。ストーリーを通じて何を描きたいのか、主人公のどのような変化をメインに描きたいのか、それらを伝えるためのエピソードを逆算して配置することで、より作品の面白さが伝わるようになるでしょう。


編集部より

キャラクターの掛け合いは小気味よく中毒性があり、軽やかな気持ちで読み進めることができました。ホームレスによるグルメ漫画という題材も興味深いです。しかし、設定以上の意外性が不足しています。作品の目的や、読者が本作に何を求めているのかを絞り込みながら、新たに題材の強みを活かす展開を構築していくことで、より本作ならではの面白みが伝わる作品を目指しましょう。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。