第5回ほっこり・じんわり大賞
第4回ほっこり・じんわり大賞
選考概要
前回をさらに大きく上回るエントリー数となった第4回ほっこり・じんわり大賞。編集部内で最終的に大賞候補作としたのは、「ゲイの日常」「子と丑の願いごと《十二支擬人化のお話》」「君がいた日の月影【完結】」「佐助さんと夢之工房の人たち」「なんかようかい」「「みえない僕と、きこえない君と」」「もののけ達の居るところ」「猫嫌いの探偵が猫探しをすることになりまして」「俺の部屋はニャンDK」「休日なにしてますか」「尾道海岸通り café leaf へようこそ」「【本編完結】幸せの切り売りいたします」「有涯おわすれもの市」「死神飯に、首ったけ!」「若年性認知症の父親と私」「神様はいつも私に優しい~代理出席人・須藤也耶子の奮闘記~」「【完結】見えない音符を追いかけて」の17作品。
小説、漫画といった表現の違いにくわえ、フィクションとノンフィクション、ストレートな作品から行間(漫画においても)を読ませるものまで、ジャンルや作風を越えて「ほっこり」「じんわり」できる幅広い作品が集まり、最終候補作も多様な顔ぶれになった。
これらの候補作品の中で、他に差をつけ最も評価の高かった「もののけ達の居るところ」を大賞に選出。また、ハンデを持つ者同士のピュアな恋愛に心を揺さぶられた「「みえない僕と、きこえない君と」」を涙じんわり賞、可愛らしい「ようかい」とサラリーマンのちょっぴりおかしな暮らしを描いた漫画作品「なんかようかい」を心ほっこり賞とし、優秀短編賞は残念ながらなしという結果になった。さらに最終選考に残ったものの惜しくも授賞に至らなかった作品を奨励賞とした。
「もののけ達の居るところ」は、好きな仕事を辞めざるを得なくなり、自信を喪失した主人公が、天才画家やもののけたちとの日常を通してもう一度前を向いて人生を歩んでいく物語。主人公と画家、もののけとの交流が柔らかく巧みな筆致で描かれ、読者を優しい世界観へと引き込む表現力が評価された。
「「みえない僕と、きこえない君と」」は、徐々に視野が狭くなっていく主人公と、先天的に耳が聞こえない彼女の、異なるハンデを持った二人の恋愛を描いた作品。ピュアな二人の日常が、丁寧かつ真っ直ぐな言葉で綺麗に紡がれており涙を誘われた。
「なんかようかい」は、とあるサラリーマンと、彼の部屋に住み着いたへんな生き物との交流を描いた日常漫画。愛らしい造形の「ようかい」と、少しぶっきらぼうな主人公との掛け合いが微笑ましく、まさにほっこりさせられる作品に仕上がっていた。
もののけ達の居るところ
鬼いさんと双子ちゃん
ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。鬼と人間の双子の関係が柔らかいタッチで描かれており、ほのぼのとした気持ちで読むことができました。さらに個性豊かな妖怪たちが大変魅力的で、多くの読者が引きつけられたのだと思います。
「みえない僕と、きこえない君と」
それぞれハンデを持った二人の恋愛模様がとても美しく描かれていた作品でした。互いに真摯に向き合いながら愛を育み、家族の理解という壁も最終的に乗り越え、幸せに添い遂げる姿は、読んでいて胸がじんわりと熱くなりました。
なんかようかい
ちょっぴり抜けていて可愛らしい「ようかい」と、それに翻弄される主人公の掛け合いは読者を思わず笑顔にするような魅力があります。ふたりの交流が穏やかに描かれ、心がほっこりとさせられる作品でした。
※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。
主人公の女性とひょんなことから彼女と生活を共にすることになった画家の二人が、お互いの欠けた部分を補っていく様子が丁寧に描かれており、読んでいて心が温かくなります。「もののけ」という流行りの要素もしっかり取り入れられた上で愛嬌たっぷりに描かれており、著者の筆力の高さがうかがえる作品でした。