「廸子さん、とお呼びください!」
屋上に立ち、今にも飛び降りようとしていた彼女はそこで自らを『廸子さん』と名乗る女子高生と出会う。
ブラックセーラー服を見にまとった女子高生は、彼女に笑って尋ねる。
「お姉さんは、どんな死に方がいいですか?」
とある夜更け。
底無しの闇が地に這うそこで。
彼女は、『廸子さん』に手を引かれて、屋上のふちに立つ──。
***
──その怪異は、自殺者の前に気まぐれに現れる。
お腹を空かせ、『食べ頃』を見極めながら、人間社会にひっそりと溶け込んで、獲物をじいと見守っている──。
文字数 29,017
最終更新日 2020.04.08
登録日 2020.03.26