インディーズ小説一覧

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伝説のバンド『白痴有無』。 彼らのフロントをつとめるのは、 世の中のすべてにツバを吐く男、 〝ヘーリー久都〟だ。 今夜もしずかにギターのノイズから始まり、 そしてアンプから爆音が放たれる。 バスドラの音と空気圧が最前列の心臓を叩き、 重低音のベースは鼓膜を破ろうとする。 セットリストでは2曲暴れたらMCだ。 脳ミソを掻き回すような暴力的な音の洪水のあとの、 突然の静寂。 ライブハウスに充満するガキどもの耳鳴りがおさまる前に、 弦楽器隊はアンプとチューニングを調整しだす。 ドラムは各打楽器の位置の微調整だ。 ステージに、スポットライトがぽつんと降りてくる。 アゴの下から汗をぼたぼたとたらし、 ヴォーカルのヘーリーがマイクを口に寄せる。 さて、オーディエンスからは言災(ことわざ)とも呼ばれる、 糞みたいなMCの始まりだ。
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文字数 93 最終更新日 2022.07.09 登録日 2020.10.05
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