高校三年生の篠崎美春は、毎晩変わらずやってくる静寂に満ちた夜が好きだった。
肌に触れる空気の温度や辺りに漂う透明な匂い。そんな夜を構成する全てを愛していた美春は、あらゆるものが寝静まった真夜中の街に出て、誰の目にも触れず一人で歩くことを何よりの楽しみにしていた。
そんなある日、美春はいつも訪れる真夜中の公園で、全身を黒色の衣服に包んだ少女〈如月涼香〉と出会う。
──これは、夜を愛する少女たちの、誰も知らない真夜中の話。
文字数 10,395
最終更新日 2019.07.14
登録日 2019.07.14