グループ会社内の交流小説一覧
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セッションの余韻……ミュージシャンの恋愛
楓葉電子工業と楓葉商事、両社の傘下関連会社数社を抱える楓葉グループの創設者、楓恭一郎と葉山一郎は、若い頃に夫々が勤務先会社の倒産を経験していた。
ふたりに共通するのは音楽であり、会社を離れるとピアニストとベーシストとしてジャズクラブのステージに上がっていた。
勤務先の倒産から、バンド仲間だったふたりは楓葉電子工業を創業することになる。
楓葉電子工業は順調に成長を遂げ、楓葉商事と共に安定経営を維持していた。
企業理念にノーマライゼーションを謳う楓葉電子グループは、グループ会社内の人事交流と企業内の情報共有を図る一つの手段として、関係会社を含む従業員のために、社外娯楽施設として音楽の生演奏が楽しめるステージを備えた夜の社交場〈楓葉倶楽部〉を繁華街のビル内に所有していた。
研究部門の男性社員から恋愛話が聞かれないのを案じていた総務部は、〈楓葉倶楽部〉を、若いひと達の出会いの場としても活用できればと云う思惑もあった。
〈楓葉倶楽部〉の音楽を通した多様な人的交流は、日常生活にハンディのある者と健常者、男性女性、年齢格差、職業職種など、楓葉グループの周辺に差別のない共生社会の実現をもたらした。
総務部の思惑通り、幾組かの若い恋愛カップルも生まれた。
楓葉グループの社内風土として定着したノーマライゼーションの理念は、音楽を通してグループに関わる外部のひと達にも波及して行く。(01~22話)
文字数 120,152
最終更新日 2024.08.17
登録日 2024.08.17
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