道成寺伝説小説一覧

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自宅の床に灯油が撒かれ、着火と同時に炎が噴き上がる。 その瞬間、安藤伸二が見上げる妻・清子の顔は、それまで見た事も無い恍惚の笑みを浮かべていた。 還暦間際の伸二が十才以上年下の妻と初めて出会ったのは、高齢の男ばかり目立つ婚活パーティの席上だ。 長年介護していた母を亡くし、彼の心には大きな穴が開いていた。 その孤独を清子の優しい笑顔が癒し、幸福を噛み締めたのも束の間、周囲で異変が起き始める。 密かに妻の経歴を調べると、幾つも嘘が含まれていた。 更にインターネット上で「キヨヒメ」と名乗る奔放な顔を併せ持っていた事も判明する。 問い詰めようとした夜、伸二は非合法の薬を飲まされ、体が痺れた状態で「あなたに大量の保険金を掛けた」と清子から告げられる。 焼死寸前、必死で説得を試みるものの、彼女は単なる金への執着や欲望で動いていたのでは無いらしい。 古い御伽噺を基にする極めて異様な幻想に、清子の心は満たされていたのだ…… エブリスタ、小説家になろう、ノベルアップ+にも投稿しております。
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文字数 12,011 最終更新日 2023.09.07 登録日 2023.09.03
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