言いがかり小説一覧

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『さあ、返答や如何に』 勝ち誇る怪物を前に、娘は答えを返せない。 怪物の出した謎掛けの、答えが分からなかったのだ。 『沈黙は回答不能と見做すが、それでよいのだな』 「……答えを、教えて下さい」 悔しそうに顔を歪めて、ついに娘は降参した。それを聞いた怪物は顔を愉悦に歪め、赤く長い舌を出して自らの唇を舐めた。 答えられなかった以上、娘に待っているのは怪物に喰われてしまう悲劇的な末路だけだ。 「…………は?」  だが怪物の示した答えに、娘は唖然として声を漏らした。 『では約束通り、汝を喰ろうて』 「異議あり!」 『……なに?』 「だから異議ありと言っています!」  なんと娘は、怪物の示した正しい答えを認めなかったのである。 ◆どっかで見たことのある謎掛けする怪物のお話。どっかで見たことのある気がするだけです、多分。いや絶対。 ◆例によって固有名詞のほぼ出てこない、ちょっとしたショートショートです。頭カラッポでお楽しみ頂けます。 ◆全5話、合計で15000字ほどで毎日更新します。1話あたりの平均が約3000字、第1話だけちょっと短めです。 ◆作者の投稿作は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいていますが、他作品を読まなくても本作をお楽しみいただく上で特に支障はありません。 ◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうとカクヨムでも公開します。
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文字数 13,326 最終更新日 2024.08.05 登録日 2024.08.01
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