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最終章
第二話 新たな弟子?
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「伝承の魔族…まぁ、間違ってはいないさね。 ウルディラーンは魔皇国ヴァングランドの出身だからね、」
「魔皇国ヴァングランドって…魔王の時代に魔王城があった場所よね?」
「当時は…な、現在の魔皇国も魔族が多数いるが当時の様な好戦的ではない。 まだ一部の国のみだが、ディスガルディア共和国と少数国では友好国として貿易を行っているさね。」
私はウルディラーンを見ると、目を閉じて頷いていた。
「歴史書によると、魔族って好戦的って聞いていたけど?」
「あぁ、確かに魔王の威光を復活する為に魔皇国では行動を起こそうとした事があったさね。」
「僕が生まれる前ですが…グランマリー様がその事を察知して、空を覆いつくす程の飛空艇で我が国を圧倒したと聞いております。 たった1隻の飛空艇でドラゴンを葬る砲台を目の前で見せつけられた当時の王は、圧倒的な戦力の差に白旗を振ったそうです。」
「まぁ…そんな事になれば確かに降伏するでしょうね。」
「それ以降はグランマリー様が協定を結ばせて友好国として今日に至ります。 我が国はマナが豊富な土地なので、グランマリー様から教わった農耕法を元に発展して行きましたね。」
「当時の魔王国も飢饉による飢餓が幾ばくかあったんさね。 魔族は基本的に攻撃的な本能が強くて、物を作り出す技術がてんでダメだったから…生産系の技術や農業を教えて少しずつ発展して行ったんだよ。」
「魔王国ヴァングランドでは魔鉄鉱が豊富に採れる採掘場所がありますので、それらを加工して今では大国には及びませんが、それなりに発展した国になっております。」
グランマはウルディラーンに合図をすると、ウルディラーンは鞄から数種類の薬草を取り出した。
「グランマ、これは?」
「魔皇国産の薬草さね、他にも魔力草や麻薬もあるよ。」
「この薬草…グランマの薬草畑にあるのと同じくらいの品質がある。」
「わたしゃ一切緑園の加護を使ってはいないよ、そうじゃなくてもここまでの品質の物がその土地では入手出来るんさね。」
薬草は良いとして…魔力草は魔法使いには必需品だし、麻薬はポーションや治療薬では治らない病気での麻酔薬に使える。
一部では娯楽として麻薬を悪い方向で使用する者達もいるけど。
「それにしてもレオナリアや、わたしゃでも思い付かなかったポーションを作り出すとは恐れ入ったよ。」
「グランマだったら作り出せるでしょ?」
「現物を見れば…の話だがね。 わたしゃ薬草の品質向上や効能を上昇させる事しかやって来なかったからね。」
私がポーションを作り出す前は、薬草を磨り潰して汁を出して瓶に詰めるという形で使用していた。
だけど保存方法が難しくて、もっても4日くらいで腐るという物だった。
魔導冷蔵庫で保存出来れば長く保存で来たらしいけど、建物内ならともかく冒険者が運ぶというのには無理があったし、氷魔法を使用すると中身まで凍り付いてしまい、肝心な時に使用することが出来なかったという話だ。
だからポーションが世に出回った時は、本当に画期的な物だった。
「レオナリアよ、お前は弟子を取る気はないか?」
「弟子?」
「ベルシュナーデ王国だけでポーションを販売するのではなく、他の国でも販売出来るルートを確保すれば…」
「…といっても、ポーション作りは魔力を使用しないと完成しないよ? それに例え魔力持ちでも、作り出す為には相当時間が掛かるしね。 ルーナリアも魔力を保有していてポーション作りをさせた事があったけど、全く完成しなかったし…化粧品に関してだけは私より上手かったけど。」
「そりゃそうさね、ルーナリアにはポーションを作る為の適正する属性がないからね。 お前の様にわたしゃと同じ全属性持ち出ないと完成はしないさね。 ポーションを完成させる為の魔力って何の属性なのか分かっているんだろう?」
「え?」
「お前はポーションが何の属性で完成するかを知らなかったのかい? 呆れたものさね…」
私は今までポーションを作る時に普通に魔力を注いで作っていたから、何の属性を使っていたなんて全く知らなかった。
「光属性や聖属性とか?」
「回復魔法ならそうだろうけど、ポーション作成には闇属性が必要さね。 それで弟子を取るという話だけど、このウルディラーンを弟子にとってポーション作りを教えてやって欲しい。 魔族はほとんどの者が闇属性の魔力を持っているからね。」
そっか、そういえば闇属性って溶解や熟成の効果があるものがあったもんね。
「でも、何でウルディラーンさんを弟子に?」
「魔皇国はマナが豊富で品質の良い薬草の類は育ちやすいが、それ以外に目玉になる物が無くてね。 お前の技術をウルディラーンに教え、その技術を魔皇国で開発すれば販売出来る国も増えるだろうからね。 ベルシュナーデ王国だけで販売をしていると、良からぬ考えを持つ者達が結構訪れたのではないか?」
「確かに…権力を振りかざした貴族が何回か来たわね。」
「今はこの国の貴族だけで済んではいるが、その内に他の国からも有無を言わさずに訪れる者達も来るだろう?」
「この国と近い国は隣国のテルシェリア王国くらいで、それ以外の大陸はかなり離れているから…魔皇国で販売出来る様になれば向こうに行くか…」
「それに魔皇国にはベルシュナーデ王国以上にダンジョンもあるし、冒険者も在中しているからね。 そこでポーション販売を行えば…」
「う~ん…?」
「何か問題が…あ、ちゃんと技術料の支払いとかは安心…」
「いやぁ、ウルディラーンさんは男の人ですよね? 私は男の人にあまり免疫が無くて…」
「襲われる心配でもしているのかい?」
「僕はそんな事はしません! ましてや…グランマリー様のお孫様にそんな事をしたら命は無いので…」
本当は孫ではないんだけどね。
まぁ、ややこしくなるから孫でも別に良いけど。
「なら、これから宜しくね。」
「はい、しっかり勉強させて戴きます!」
「それでグランマはこれで帰っちゃうの?」
「せっかくベルシュナーデ王国に来ているからね、周辺国にも挨拶をしたりしようと思っている。」
「ならそれが終わったらまた来てくれる? 昔の様に色々話したい事もあるから…」
「全ての要件が終わればまた来るさね。」
そういってグランマは、パテットを連れて店から出て行った。
次はいつ会えるか…の前に、ウルディラーンさんは店に出しても良いのだろうか?
この国やテルシェリア王国でも魔族って見た事ないし、騒ぎにならないと良いんだけど?
「魔皇国ヴァングランドって…魔王の時代に魔王城があった場所よね?」
「当時は…な、現在の魔皇国も魔族が多数いるが当時の様な好戦的ではない。 まだ一部の国のみだが、ディスガルディア共和国と少数国では友好国として貿易を行っているさね。」
私はウルディラーンを見ると、目を閉じて頷いていた。
「歴史書によると、魔族って好戦的って聞いていたけど?」
「あぁ、確かに魔王の威光を復活する為に魔皇国では行動を起こそうとした事があったさね。」
「僕が生まれる前ですが…グランマリー様がその事を察知して、空を覆いつくす程の飛空艇で我が国を圧倒したと聞いております。 たった1隻の飛空艇でドラゴンを葬る砲台を目の前で見せつけられた当時の王は、圧倒的な戦力の差に白旗を振ったそうです。」
「まぁ…そんな事になれば確かに降伏するでしょうね。」
「それ以降はグランマリー様が協定を結ばせて友好国として今日に至ります。 我が国はマナが豊富な土地なので、グランマリー様から教わった農耕法を元に発展して行きましたね。」
「当時の魔王国も飢饉による飢餓が幾ばくかあったんさね。 魔族は基本的に攻撃的な本能が強くて、物を作り出す技術がてんでダメだったから…生産系の技術や農業を教えて少しずつ発展して行ったんだよ。」
「魔王国ヴァングランドでは魔鉄鉱が豊富に採れる採掘場所がありますので、それらを加工して今では大国には及びませんが、それなりに発展した国になっております。」
グランマはウルディラーンに合図をすると、ウルディラーンは鞄から数種類の薬草を取り出した。
「グランマ、これは?」
「魔皇国産の薬草さね、他にも魔力草や麻薬もあるよ。」
「この薬草…グランマの薬草畑にあるのと同じくらいの品質がある。」
「わたしゃ一切緑園の加護を使ってはいないよ、そうじゃなくてもここまでの品質の物がその土地では入手出来るんさね。」
薬草は良いとして…魔力草は魔法使いには必需品だし、麻薬はポーションや治療薬では治らない病気での麻酔薬に使える。
一部では娯楽として麻薬を悪い方向で使用する者達もいるけど。
「それにしてもレオナリアや、わたしゃでも思い付かなかったポーションを作り出すとは恐れ入ったよ。」
「グランマだったら作り出せるでしょ?」
「現物を見れば…の話だがね。 わたしゃ薬草の品質向上や効能を上昇させる事しかやって来なかったからね。」
私がポーションを作り出す前は、薬草を磨り潰して汁を出して瓶に詰めるという形で使用していた。
だけど保存方法が難しくて、もっても4日くらいで腐るという物だった。
魔導冷蔵庫で保存出来れば長く保存で来たらしいけど、建物内ならともかく冒険者が運ぶというのには無理があったし、氷魔法を使用すると中身まで凍り付いてしまい、肝心な時に使用することが出来なかったという話だ。
だからポーションが世に出回った時は、本当に画期的な物だった。
「レオナリアよ、お前は弟子を取る気はないか?」
「弟子?」
「ベルシュナーデ王国だけでポーションを販売するのではなく、他の国でも販売出来るルートを確保すれば…」
「…といっても、ポーション作りは魔力を使用しないと完成しないよ? それに例え魔力持ちでも、作り出す為には相当時間が掛かるしね。 ルーナリアも魔力を保有していてポーション作りをさせた事があったけど、全く完成しなかったし…化粧品に関してだけは私より上手かったけど。」
「そりゃそうさね、ルーナリアにはポーションを作る為の適正する属性がないからね。 お前の様にわたしゃと同じ全属性持ち出ないと完成はしないさね。 ポーションを完成させる為の魔力って何の属性なのか分かっているんだろう?」
「え?」
「お前はポーションが何の属性で完成するかを知らなかったのかい? 呆れたものさね…」
私は今までポーションを作る時に普通に魔力を注いで作っていたから、何の属性を使っていたなんて全く知らなかった。
「光属性や聖属性とか?」
「回復魔法ならそうだろうけど、ポーション作成には闇属性が必要さね。 それで弟子を取るという話だけど、このウルディラーンを弟子にとってポーション作りを教えてやって欲しい。 魔族はほとんどの者が闇属性の魔力を持っているからね。」
そっか、そういえば闇属性って溶解や熟成の効果があるものがあったもんね。
「でも、何でウルディラーンさんを弟子に?」
「魔皇国はマナが豊富で品質の良い薬草の類は育ちやすいが、それ以外に目玉になる物が無くてね。 お前の技術をウルディラーンに教え、その技術を魔皇国で開発すれば販売出来る国も増えるだろうからね。 ベルシュナーデ王国だけで販売をしていると、良からぬ考えを持つ者達が結構訪れたのではないか?」
「確かに…権力を振りかざした貴族が何回か来たわね。」
「今はこの国の貴族だけで済んではいるが、その内に他の国からも有無を言わさずに訪れる者達も来るだろう?」
「この国と近い国は隣国のテルシェリア王国くらいで、それ以外の大陸はかなり離れているから…魔皇国で販売出来る様になれば向こうに行くか…」
「それに魔皇国にはベルシュナーデ王国以上にダンジョンもあるし、冒険者も在中しているからね。 そこでポーション販売を行えば…」
「う~ん…?」
「何か問題が…あ、ちゃんと技術料の支払いとかは安心…」
「いやぁ、ウルディラーンさんは男の人ですよね? 私は男の人にあまり免疫が無くて…」
「襲われる心配でもしているのかい?」
「僕はそんな事はしません! ましてや…グランマリー様のお孫様にそんな事をしたら命は無いので…」
本当は孫ではないんだけどね。
まぁ、ややこしくなるから孫でも別に良いけど。
「なら、これから宜しくね。」
「はい、しっかり勉強させて戴きます!」
「それでグランマはこれで帰っちゃうの?」
「せっかくベルシュナーデ王国に来ているからね、周辺国にも挨拶をしたりしようと思っている。」
「ならそれが終わったらまた来てくれる? 昔の様に色々話したい事もあるから…」
「全ての要件が終わればまた来るさね。」
そういってグランマは、パテットを連れて店から出て行った。
次はいつ会えるか…の前に、ウルディラーンさんは店に出しても良いのだろうか?
この国やテルシェリア王国でも魔族って見た事ないし、騒ぎにならないと良いんだけど?
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