異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス

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第一章 異世界召喚編

第二十一話・最終回 愚か者の末路

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 騎士やミク達は戦いから解放されて俺たちの元に集まると、ミクやユウトやマミはマサギのしている事を睨み付けて言った。

 「マサギ…貴方はサクヤに何をしているの⁉︎」
 「こ…これは………デスブリンガー様、何故皆の戦いを止めたのですか⁉︎ このまま皆が戦いに夢中で意識が逸れている間にサクヤを始末する手筈だったのに‼︎」

 なるほど…それが狙いだったのか。
 マサギは興奮して言いたい事を言い放つと、「しまった!」という様な表情をしながら口を手で押さえた。
 だが…マサギはまだ気付いていなかった。
 マサギの右足はまだ、俺の太腿の傷口に足を置いている事に…

 「マサギ! サクヤの足から離れなさい‼︎」

 ミクがそういうと、マサギは足元を見ながら足を退けて下がった。
 マミは俺の所に駆け寄ってから、回復魔法を掛けてくれた。
 俺は立ち上がると、マサギに向かって言った。

 「マサギ…お前どういうつもりだ?」
 「そ…それは………!」
 「言い難いのなら、皆に言ってやろうか? マサギは、俺の持っている聖剣や魔剣を奪う為にデスブリンガーと結託をして俺を殺して全てを奪うという話をしていた! しかも…マサギの腕では敵わないから、デスブリンガーを使って俺を追い詰めてから始末すると言ってたぞ‼」
 「ち…ち…違うぞ‼ 僕は…そう、勇者だ! 勇者とこんな怪しい奴の話のどっちを信じるんだ! どっちを信じるかは明白だよな⁉」
 
 語るに落ちるというのは、こういう奴の事を言うのだろうか?
 俺がデスブリンガーに倒されてから、マサギが太腿を剣で突きさした所を見た奴はいないが、その後の傷口を踏みつけている所はこの場にいる全員が見ているのに言い逃れが出来ると思っているのか?
 周囲からはマサギを見る目が冷たい目で見られていた。

 「その話は本当なの、マサギ?」
 「いや…ミク、僕の話を信じてくれよ! 僕達は幼馴染だろ? 日の浅い付き合いの奴より僕を信じるよな? な!」
 「でもマサギはさっきまで…サクヤの傷口を踏みつけていたわよね?」
 「あ…あれは…!」
 「マサギ…サクヤ君は、私達の為に色々してくれた上に…皆で一緒に帰ろうとか守ってやるとまで言ってくれたのよ!」
 「マミも…僕の話を疑うのか⁉」
 「マサギ…君には失望したよ!」
 「ユウト…お前まで、サクヤの肩を持つのか? そ…そうか、そうだよな! お前達三人は、サクヤから物を貰って懐柔されたんだな! だから、長い付き合いの僕よりサクヤを庇うんだろ‼」

 俺は手で頭を押さえた。
 煽ったり、蔑んだ言葉を投げかけても跳ね返して成すべく事を成す為に鼓舞して来た筈なのに…それが全く伝わってなかった。
 俺はこんな奴の為に自らを犠牲にして自覚させようとしていたのか…
 なんか全てが馬鹿らしくなってきた。
 俺は左手を挙げると、空に光の球体を打ち上げてから弾けさせた。
 関係者に伝える合図で失敗を意味する物だった。

 「サクヤ…今のはなんだ⁉…って、そんな事は良い! お前等…僕を裏切るんだな? 僕を裏切って…サクヤにつくんだな⁉」
 「マサギ…もう観念して武器を捨てなさい!」

 ミクは最後通告をした。
 ミクを見るマサギの目は、学校時代に惚れていた頃の物とは別な目だった。
 マサギは「ふっ!」っと笑うと、デスブリンガーの背後に隠れて叫んだ。

 「お前等は僕の事を信じない…もうわかった! デスブリンガー様、コイツ等を皆殺しにして下さい‼ 僕の事を信じずに裏切ったコイツ等を…」
 『断る! 自分で仕出かした不始末は自分で始末しろ‼』
 「な!…僕は貴方の忠実な部下になりますので…でないと、僕はこの場で…⁉」
 『知るか! それに貴様の様な口だけ男の話を聞く訳がないだろう。 それに先程、貴様は魔王様を倒すと言っていたのだぞ‼』
 「それは…あの場限りの冗談で…」

 デスブリンガーは、背後にいるマサギを持ち上げて俺達の方に放り投げた。
 するとマサギは俺の顔を見ると、背後に下がりだした。

 「魔人の魔剣よ! 僕の前に姿を現して、僕との約束を今こそ‼」
 「は? 魔人の魔剣?」

 俺は収納魔法から魔人の魔剣を取り出して尋ねてみた。
 
 「おい、魔人の魔剣…マサギと何の約束をしたんだ?」
 〔この男は、我の戯言を成す為に動いたというのか? 主殿から我の力の加護を授かりたければ、我を主から開放しろ! そうすれば、我以外に聖剣も適合出来るように施してやろうと…そんな我の戯言を真に受けていたのか?〕
 「は? 嘘だというのか⁉」
 〔当たり前だ! 主殿は我に戦場を提供し、我を満たす為に振るってくれるという願いを叶えて下さる御方だ! それを貴様の様な未熟の様な奴と契約をする訳なかろう…貴様がまさか我の暇つぶしの余興にものの見事に踊ってくれるとはな‼︎〕

 マサギは地面に手を伏して項垂れていた。
 マサギは信じていた物に裏切られ、友達だと思った者達からも蔑まれ、敵に取り入れようとしても拒絶された。
 もう…全てが何も残ってないマサギが最期に取った手段は…?

 「マサギ…もう、お前には何もない! お前は帰るまで牢獄で暮らせ! 魔王を倒したら迎えに…」
 「うるせぇよ! あーあ、もう優等生ごっこをするのはヤメだヤメ…マミやユウトヤミクが、学校で1人で居るサクヤが可哀想だから声を掛けようとか言わなければ、こんな事はならなかったというのに…オレは言ったよな? コンナ奴に関わるのは辞めろって…」
 「お前は…演技をしていたというのか?」
 「そーだよ、そーだ…オレは最初からお前みたいな奴は気に喰わなかったんだよ! そして異世界に来れば勝手に仕切りだすし、偉そうだし…」

 その言葉を聞いて我慢出来なかったミクは、マサギの頬をぶっ飛ばした。
 するとマサギは吹っ飛んで行った。

 「ちっ…痛ってーな! おいおい、ミクよぉ…オレに惚れていたんじゃなかったのかよ? 何でソイツの肩を持つんだ? 剣や鎧を貰って惚れたのか? ヤったのか? これだからギャルは…股がユるいな‼」
 「な…私は誰ともしてないわよ‼」
 「マサギ…お前少し黙れ!」
 「はぁっ? 何ですかサクヤちゃ~ん!」
 「お前…ミクを泣かす様な真似して心が痛まないのか?」
 「心が痛い? それはオレの心の方が痛いからな、周りを気にしている暇なんかねーよ‼」

 これが本当のマサギなのか?
 イケメンフェイスを崩さずに話し掛けていたアイツが、今では凶悪そうな表情を浮かべて笑っていた。
 牢獄に入れて反省させようかと思ったが…最早手遅れかもしれない。

 「マサギ…この絶望的な状況で開き直ってよぉ…何がしたいんだ?」
 「オレは許されない事をした…それは解っているさ! だが、俺を処刑する事は出来ねぇだろ? だってオレ様は勇者に選ばれたんだから! 勇者は魔王を倒せる唯一の存在…そのオレ様がいなければ魔王は…」
 「倒せるぞ。」
 「はぁ?」
 「勇者じゃなくても魔王は倒せる。 過去の6つの異世界では、勇者もいたが…魔王を倒したのは俺だったからな。 別に勇者じゃなくても魔王は倒せる。」
 「な…なんだと⁉」
 「そして…お前が死んでも何も影響はない! 勇者という力を授かった愚者がいたという事で歴史に残るだろう。」
 「じゃ…じゃあ、オレはどうなるんだ?」
 「ここまでの事を仕出かしておいて…助かると思っているのか?」

 俺はミクとマミとユウトを見ると、3人は頷いた。
 マサギはそれを見て、床に落ちた剣を拾って俺に向かって来た。

 「マサギ…本気か⁉」
 「あぁ…どうせ殺されるなら、サクヤ…お前と刺し違えてやるよ!」
 
 俺は構えを解くと、マサギの剣を体で受け止めた。
 マサギの剣は数センチしか刺さっていなかった。
 マサギは力を込めて押し込もうとするが、それ以上は入って行かなかった。

 「何でだよ⁉ クソッ‼」
 「てっきり冗談だと思っていたんだが…本気なんだな?」
 「だから本気でお前を殺すと言っただろう‼」
 「そうか…」

 俺は体に刺さっている剣を握ると、勢いを付けて引き抜いた。
 そして魔剣ライフイーターを呼ぶと、右手に収まっていた。
 すると、マサギは剣を放して言った。

 「じょ…冗談だよ、冗談! サクヤ…本気にするなよ!」
 「お前は冗談で友達の体に剣を刺すのか?」
 「だからジョークだって言ったろ? 怖い顔するなよ、オレとお前の仲じゃないか!」
 「そうだな…」

 俺がそう言うと、マサギはホッとした表情をした。

 「…とでも言うと思ったか!」

 俺はライフイーターをマサギの心臓目掛けて貫いた。
 マサギは自分の刺された体を見て言った。

 「マジかよ…」
 「死ぬまでの僅かな時間を…後悔しながら悔やんでいろ‼」
 「だ…誰か…た…すけ…てく………」

 魔剣ライフイーターはマサギの命を吸い尽くすと、次はマサギの血液を啜って行き…最期にはマサギは塵となって崩れた。
 俺は魔剣ライフイーターを鞘に納めると、収納魔法に入れた。
 そしてデスブリンガーも解除すると、その場から消したのだった。

 「後の処理は任せる…」

 俺はそう言うと、その場から去った。
 すると、遠くからミクやユウトやマミの泣く声が聞こえていた。
 何とも後味の悪い結末になった。
 
 それから数日間は…3人とは会話をしていない。
 3人は俺を恨もうとも蔑まそうとしなかった。
 ただすれ違う時でも無言だった。
 
 そして1週間程経つと、俺は魔王討伐の為に旅に行く事を決意した。
 今回も…恐らく1人で旅する事になるだろう。
 3人は恐らく…まだ心の整理は付いてはいない。
 俺は3人に何て声を掛ければ良いか解らなかった。
 
 「やはり…召喚は1人の方が気が楽だな。」

 俺の…この世界での旅はこれから始まるのだった。

 ~~~~~第一章・完~~~~~

 ・・・・・第二章に続く・・・・・
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