【完結】五度の人生を不幸な出来事で幕を閉じた転生少女は、六度目の転生で幸せを掴みたい！

第四章 あれ？ おかしくないかな？

第一話 ぽつーん！

　「アルマ・バレンシアーナ！　自分の妻になって欲しい！」
　「えぇ⁉」

　鍛冶師の息子グラムは、高身長でイケメン…その男がアルマに対してプロポーズをした。
　あれ？　私じゃないの⁉　
　アルマは私の顔を見て…困った表情を浮かべていた。
　ただたまに…勝ち誇った様にニヤついているのが鼻についた。

　「気持ちは嬉しいが…私はまだ結婚する気はないぞ！」
　「なら、恋人から始めて貰えないだろうか？」
　「え…えーっと…？」

　アルマはまた私を見た。
　私に何をどうして欲しいのよ？
　そして薄っすら笑みを浮かべているのに腹が立った。

　「良かったじゃない、アルマ！　貴女にも貴女の良さを分かってくれる素敵な人が現れたわね！」
　「いや…私はそんな気は今の所ないんだ！」
　「自分は…アルマなしではもう生きてはいられない‼」

　ここ数か月の旅で、アルマとは身の上話を色々してきた。
　私が何度も転生を繰り返している、歴代のノワールだった事も話している。
　そしてアルマも、元は私と同じ伯爵家の令嬢だという話も聞いていた。
　結婚が嫌で騎士の道に進んだことも、騎士を辞める事によって家から追い出された事も…
　アルマは元騎士というだけあって、体格には恵まれている逞しく美しい女性だった。
　鍛冶屋の嫁になるのは、相応しいとも思った。

　「アルマは…自分の事は嫌いか？」
　「別に嫌いではないが…」

　そう言ってアルマは、また私の顔を見た。
　なんなのよ？　自慢したい訳⁉
　嫌いじゃないなら、付き合えばいいでしょ‼

　いきなり唐突に何故こんな話になったかというと？
　話は1週間前に遡る…