高尾山で立ち寄ったカフェにはつくも神のぬいぐるみとムササビやもふもふがいました

なかじまあゆこ

文字の大きさ
上 下
40 / 198
高尾山のムササビカフェ食堂でお仕事ですよ

仲良くなりたい

しおりを挟む

  わたしは高男さんから「ヘタの周りについた土もしっかり洗い流してくださいね」と言われたので真っ赤なトマトを丁寧に水で洗った。

  ムササビはバナナをキッチンの台に置き皮を剥いている。と思いきや……。

「こら!  ムササビ誰が食べろと言ったんだよ」
「ん?  このバナナ美味しいよ。味見してるんだよ~」

  ムササビはバナナを美味しそうに食べご満悦顔だ。

「誰が味見をしろって言ったんだよ。っておいおい、どうしてミケちゃんもバナナを食べているのかな?」

「にゃは、このバナナ甘くて最高だね。お客さんもきっと喜ぶにゃん」

  先ほどまでウトウトしていたミケもご満悦顔だ。なんて子達なんだ。

「まったくなんて奴らなんだよ……食べてないでムササビ、バナナを輪切りにカットしてくれよ」

  高男さんは眉間に皺を寄せながら言った。

「は~い、了解しました」とムササビは元気よく返事をしたのだけど、「あ、でもモモコが食べる料理だと思うとやる気なくすな……」とブツブツ呟く。

「トマトとキノコのスープとフルーツが盛り沢山なフルーツデザートを食べてモモコちゃんは癒されたいんだよ。そしてムササビお前とも仲良くしたいと思っているはずだよ。ムササビも本当はモモコちゃんと仲良くしたいと思っているよね?」

「……それは、そ、そうかもしれないけど……」


  ムササビはぼそぼそとした声で返事をした。これは、きっとムササビも心のどこかでモモコと仲良くしたいと思っているのだろう。

  そんなムササビのことがなんだか可愛いなとわたしは思った。

「ムササビちゃん楽しみながら高男さんのお手伝いをしようよ」

  わたしは、洗ったトマトをザルに置きムササビに視線を向けて言った。

「楽しみながらね……まあ、真歌ちゃんがそう言うならね……」

  ムササビはわたしの顔を見て答えそして、バナナに向き直り包丁を手に取りバナナをカットした。

「ありがとう真歌さん」

  椎茸の石づきを取っていた高男さんがわたしのほうを見て言った。

「あ、いえモモコちゃんが喜んでくれるといいですね」

  わたしはにっこりと微笑みを浮かべた。

「そうですね。さあ、みんなで楽しく料理をしよう」

  高男さんは熱した鍋に油を引き椎茸、しめじに豚肉を炒めた。それから水とトマトを入れ煮た。その様子を見ているだけで食べたくなってくる。

  やっぱりわたしは食いしん坊だ。ああ、もうお客さんのモモコちゃんのために作っているのにね。

  それはそうとやっぱり高男さんはお客さんの食べたいものを感じ取る能力があるのかな。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。 ※アルファポリスのみの公開です。

元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を謳歌する!

楠ノ木雫
恋愛
 貧乏な実家を救うための結婚だった……はずなのに!?  貧乏貴族に生まれたテトラは実は転生者。毎日身を粉にして領民達と一緒に働いてきた。だけど、この家には借金があり、借金取りである商会の商会長から結婚の話を出されてしまっている。彼らはこの貴族の爵位が欲しいらしいけれど、結婚なんてしたくない。  けれどとある日、奴らのせいで仕事を潰された。これでは生活が出来ない。絶体絶命だったその時、とあるお偉いさんが手紙を持ってきた。その中に書いてあったのは……この国の大公様との結婚話ですって!?  ※他サイトにも投稿しています。

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

公主の嫁入り

マチバリ
キャラ文芸
 宗国の公主である雪花は、後宮の最奥にある月花宮で息をひそめて生きていた。母の身分が低かったことを理由に他の妃たちから冷遇されていたからだ。  17歳になったある日、皇帝となった兄の命により龍の血を継ぐという道士の元へ降嫁する事が決まる。政略結婚の道具として役に立ちたいと願いつつも怯えていた雪花だったが、顔を合わせた道士の焔蓮は優しい人で……ぎこちなくも心を通わせ、夫婦となっていく二人の物語。  中華習作かつ色々ふんわりなファンタジー設定です。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

飯屋の娘は魔法を使いたくない?

秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。 魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。 それを見ていた貴族の青年が…。 異世界転生の話です。 のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。 ※ 表紙は星影さんの作品です。 ※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

処理中です...