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ああげっそり真理子

真理子は迷う

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 そして、真理子は迷いに迷って結局はショコラ味もパイン味も両方買ったのだった。

 国際通りは、那覇市の県庁北交差点からずっと真っ直ぐに1.6キロメートルも続いている。賑やかで那覇市最大の繁華街である。

 色々なお店が軒を連ねていて目移りする。

 お土産屋さんに飲食店等々がもうずっと続くのだから、もちろんわたしも楽しい。

 だけど、真理子みたいな優柔不断な人と一緒に行くといつまでも前に進まないし、しかも真理子の奴は一度入ったお店にまた戻りあーでもないこーでもないと言ってわたしをイライラさせるのだった。

 そして今もまた……。

 「ねえねえ、みどりちゃん。さっきのお店で買い忘れたものがあるの。もう一度戻っていい?」

 「え、何を?」

 「可愛いらしいキーホルダーがあったんだけど、さっきは迷ってしまって買わなかったんだけど、やっぱり欲しいから」

 「えー嫌だよ! このお店にも可愛らしいキーホルダーいっぱいあるよ。ここのお店で選べば。戻るの面倒くさいよ~」

 「なんでよ~嫌だよ! あそこのお店のキーホルダーがどうしても欲しいの」

 出た出た、真理子節……。

 「え~面倒くさいよ~」

 「お願いみどりちゃん。あ、あとで肩を揉んであげるから。ねっ」

 は? なんで肩を揉むんだ……。

 「仕方ないな~分かったよ~ でなんで肩を揉むの?」

 「みどりちゃん、お疲れぽいから」

 なんて言って笑ってる真理子。結局はいつも真理子のペースにのせられているのかも……。
 
  真理子は両手いっぱいにお土産の袋を抱えて歩いている。欲しいと騒いだキーホルダーも手に入れてご満悦のようだ。

 昼間は、どうなってしまうんだろかと思えるほど落ち込んでいた真理子。同一人物だとは思えない程の笑顔を今は浮かべている。

 だから、今日は怒らない。

    わたしも真理子が笑顔になってくれたから嬉しい。

 「みどりちゃん? さっきからなんで一人でニヤニヤしているの?」

 真理子はわたしの顔を覗き込みながら聞いてきた。

 「ううん。別になんでもないよ~」

 「え~なんで? 絶対に笑ってるもん! まさか何か企んでいるの?」

 「まさか、人聞き悪いよ!」

 「じゃあなんでよ~教えてよ~」

 「まったくもう! 真理子あんたが笑顔になってくれたから嬉しくて笑ってるんだよ」

 もうなんでこんなことを言わないとならないのよ。

 「みどりちゃん~」

 と言ってわたしに抱きついてくる。

 「やめてよ、真理子。暑苦しいよ」

 「だって嬉しいんだもん!」

 「暑苦しいからやめてくれー」
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