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謝肉祭(ティアナside)
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エクレール様にいただいた白いレースの仮面をつける。
仮面に合わせて、衣装は淡いブルーのドレス。
そんな私を見て、エクレール様が満足そうに微笑んでくださったから、私の体はふわりふわりと軽くなる。
「ティアナ、綺麗だよ」
「エクレール様も……素敵です」
「それだけ?」
「え!」
いたずらっ子のような笑顔を見せられて、今度は心音が跳ね上がった。
「え、えっと、カッコよくて、美しくて、優しくて温かくて……」
「ティアナはほんと、素直だな」
クスクスと笑いながら抱きすくめられた。
「ありがとう」
耳元に囁くのは反則です。立っていられなくなっちゃう……
エクレール様もお揃いの白い仮面をつけられて、私に手を差し伸べてくださった。
アイスブルーの瞳が、『行くよ』と誘う。
王族のお出ましと言う感じで、先ぶれでもしながら登場するのかと思っていたら、門からするりと市中へと歩き出す。
以前グラーゼ団長が言っていたように、街中仮面だらけ。
色とりどりの美しい仮面や、ちょっと怖いお化けの仮面。面白い顔の仮面まで、各々が趣向を凝らして演じている。
でも、みんな口元が笑っているの。楽しそう!
人々に紛れるように街中を練り歩いていたら、この国の一員になれたと言う実感が湧いて嬉しかったの。
これもエクレール様の計らいね。
中央広場の噴水の周りでは、大道芸を披露する人。
楽しい音楽が奏でられ、綺麗な歌声が耳に心地よい。
そんな人々を、穏やかな瞳で見つめるエクレール様。
国民と一緒になって、国民の祭りを楽しむ。
エクレール様らしくて、ますます彼を好きになってしまう。
みんなの笑顔は、エクレール様が心を削って守ってきたもの。
そしてこれからも、彼は守り続ける決意を固めているんだと思う。
本当に強くて優しい方―――
そして、私はそんなエクレール様に何度も何度も恋をするの。
じいっと見つめていたら、エクレール様が振り向いた。
「ティアナ、楽しんでいるかい?」
「はい。とっても楽しいです。みんなと一緒に笑ったり歌ったり踊ったり。こんなことができる日がくるなんて思ってもいませんでした。エクレール様、ありがとうございます」
エクレール様がまた、嬉しそうににっこりと微笑まれた。
仮面の下のしがらみは関係ない。今、この瞬間を楽しむ人々。
その輪の中にいられることが、こんなに息がしやすいなんて考えてもみなかったわ。
私も、エクレール様のお手伝いをしたい。
一緒にこの笑顔を守っていきたいと、改めて心に誓った。
とは言っても、仮面だらけのこの状況。敵国のスパイや暗殺者も紛れやすいと言うことでもあって。
警備も何も無くて大丈夫かしら?
と心配になってきょろきょろしていたら、杞憂だったと納得した。
直ぐ周りに、こちらも紛れるように仮面をつけたイオスライト、グラーゼ団長を始めとする一流の騎士団員たちが守ってくれていたから。
「ちょっと移動しようか」
徐に私の腕を取ったエクレール様。急に路地裏に入られたの。
え? 一体何が起こっているのかしら?
仮面に合わせて、衣装は淡いブルーのドレス。
そんな私を見て、エクレール様が満足そうに微笑んでくださったから、私の体はふわりふわりと軽くなる。
「ティアナ、綺麗だよ」
「エクレール様も……素敵です」
「それだけ?」
「え!」
いたずらっ子のような笑顔を見せられて、今度は心音が跳ね上がった。
「え、えっと、カッコよくて、美しくて、優しくて温かくて……」
「ティアナはほんと、素直だな」
クスクスと笑いながら抱きすくめられた。
「ありがとう」
耳元に囁くのは反則です。立っていられなくなっちゃう……
エクレール様もお揃いの白い仮面をつけられて、私に手を差し伸べてくださった。
アイスブルーの瞳が、『行くよ』と誘う。
王族のお出ましと言う感じで、先ぶれでもしながら登場するのかと思っていたら、門からするりと市中へと歩き出す。
以前グラーゼ団長が言っていたように、街中仮面だらけ。
色とりどりの美しい仮面や、ちょっと怖いお化けの仮面。面白い顔の仮面まで、各々が趣向を凝らして演じている。
でも、みんな口元が笑っているの。楽しそう!
人々に紛れるように街中を練り歩いていたら、この国の一員になれたと言う実感が湧いて嬉しかったの。
これもエクレール様の計らいね。
中央広場の噴水の周りでは、大道芸を披露する人。
楽しい音楽が奏でられ、綺麗な歌声が耳に心地よい。
そんな人々を、穏やかな瞳で見つめるエクレール様。
国民と一緒になって、国民の祭りを楽しむ。
エクレール様らしくて、ますます彼を好きになってしまう。
みんなの笑顔は、エクレール様が心を削って守ってきたもの。
そしてこれからも、彼は守り続ける決意を固めているんだと思う。
本当に強くて優しい方―――
そして、私はそんなエクレール様に何度も何度も恋をするの。
じいっと見つめていたら、エクレール様が振り向いた。
「ティアナ、楽しんでいるかい?」
「はい。とっても楽しいです。みんなと一緒に笑ったり歌ったり踊ったり。こんなことができる日がくるなんて思ってもいませんでした。エクレール様、ありがとうございます」
エクレール様がまた、嬉しそうににっこりと微笑まれた。
仮面の下のしがらみは関係ない。今、この瞬間を楽しむ人々。
その輪の中にいられることが、こんなに息がしやすいなんて考えてもみなかったわ。
私も、エクレール様のお手伝いをしたい。
一緒にこの笑顔を守っていきたいと、改めて心に誓った。
とは言っても、仮面だらけのこの状況。敵国のスパイや暗殺者も紛れやすいと言うことでもあって。
警備も何も無くて大丈夫かしら?
と心配になってきょろきょろしていたら、杞憂だったと納得した。
直ぐ周りに、こちらも紛れるように仮面をつけたイオスライト、グラーゼ団長を始めとする一流の騎士団員たちが守ってくれていたから。
「ちょっと移動しようか」
徐に私の腕を取ったエクレール様。急に路地裏に入られたの。
え? 一体何が起こっているのかしら?
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