戦国時代に迷子!?

デンデンムシ

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新たな時代の幕開け

亡骸となり戻ってきた

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 「え!?織田殿は帰られたと!?我はどうすれば良いのか!?」

 「えっと・・・信忠様!?お任せしても!?」

 「そ、某がですか!?いやいや若輩者故に徳川様にお任せ致す」

 「なんですとっ!?ここはこの場を仕切る大橋殿に任せた方が無難であると・・・」

 「ゴホンッ・・・ワシもそう思う」

 「異議なし!」 「右に同じく!」 「ワシも・・」

 みんな触らぬ神に祟りなしという感じだ。変な事約束して後程信長さんの逆鱗に触れたくないためか結局は上杉の処遇は俺に回ってきた。

 まあそれでも大まかな事は岐阜に帰ってからになるだろう。それにしても上杉謙信の顔・・・本当に女なんだな。憑き物が晴れたように見える。

 「えっと・・・手は問題ないですか?」

 「問題ない。それより感謝しても仕切れない恩が出来た。モヤモヤした心が嘘のように思う。いつももう1人の自分が頭で囁いていたが綺麗サッパリ聞こえなくなった」

 「あなたの病気の詳細は俺には分かりませんが治って良かったです。小雪?酒の事なんか教えてあげたか?」

 「はい。例のアイテムにて治りましたが今後も同じ生活をするならば肝臓に良くないと。それに酒の肴は塩だったそうで腎臓に悪いという事も言いました」

 「そうか。あっ、小雪?一応これ貼っておいて!鬼石曼子の護符!呪われるのは嫌だろ!?」

 「クスッ!まさかこれを貼るようになるとはですね!」

 「ゴホンッ・・・それで我はどうすれば?」

 「とりあえず・・・隣は本庄さんでしたよね!?」

 「はっ。本庄繁長にございます」

 「まあ、信玄の前に連れて行きたいけどまだ届いてないから少し待機してくます?その後、越後に戻りたいだろうと思うけど・・・いや俺が乗せて行こうかな?どう思う?」

 「クスッ。些細任すと言っていましたし信忠様のお許しがあれば良いかと」

 何故か小雪は終始ご機嫌だ。何かいい事あったのかな?

 「大橋殿にお任せ致します」

 「おう!信忠!俺も暁と一緒に行くけどいいだろう?」

 「叔父上!?野府に戻らなくても良いのですか?」

 「あ?別に構わないだろ!野府は安全でする事がないからな!」

 「はぁ~・・・・」

 気付けば信治さんの後ろに家老の内藤さんだ。いつも急に現れる小雪もビックリする、勘助に負けず劣らずな健脚な方だ。しかも信治さんが野府に見当たらないと徒歩で野府からこの三方ヶ原に来た人だ。

 「じ、爺!?何故ここに!?」

 「そうやっていつもいつも大橋様御夫妻に御迷惑を掛けて・・・爺は・・爺は・・グスン・・・」

 「えっと内藤様?御心配ならば一緒に来られますか?ツェッペリンは相当数乗れますので・・・」

 「いやしかしそう甘えるわけには・・・」

 「えっと・・・上杉謙信様?何人か越後に行ってもよろしいです?」

 「構わないが・・・守り切れるか不安である。恐らく越後では我は死んだ者として見られているであろう」

 「いやそこは構いません。こっちでどうとでも致します。ただ・・・再び越後を纏められますか?」

 「不安ならば私達の隊の黒夜叉隊何人か側に置いておきますが?」

 俺に被せて小雪も謙信に上から目線で言っている。

 「侮るでない!これでも身体は以前より動く!ただ多勢に無勢・・・我の前ならば其方等は守れる。だが・・・」

 それでもやはり、プライドは高い人だな。

 「大丈夫です。なら今後の事も決めていいと言われたし、佐渡の事を越後にて話しましょうか。信忠様?構いませんね?」

 「は、はい!問題なしです!」

 「ありがとうございます。では武田軍の方はお任せ致します。信玄はどうなっていますか?」

 俺が家康さんに聞くとちょうど酒井隊の人達が帰って来た。ただし・・・酒井さんと武田信玄が果ててだ。

 「忠次ッッ!!!なにやっているのじゃ!?何故お主が横たわって居るのだ!?誰ぞ!!仔細(しさい)申せ!!」

 「も、申し訳ございませぬ!!北条軍が武田軍の退路を断ちそのままの勢いで我らも攻勢を仕掛けました!!そのまま北条様が離脱・・・数刻後に新手が現れまして・・・」

 「あ、兄者達か!?」

 「喜兵衛!?お前か!?そこで何をしている!?」

 「大橋殿ぉぉぉ・・・・」

 「と、徳川様!?堪えてください!仔細を聞きます。小雪!?徳川様を少し離して!」

 「はい!徳川様!少しこちらへ・・・」

 「ならぬ!忠次!お主はいつだっていつ如何なる時だってワシの横に居たではないか!人質時代から共にワシと・・・グフッ・・・ウオォォォォン・・・」

 家康さんの本気の男泣きだ。俺だってビックリしている。まさか銃を持ってやられるとは・・・。武藤さんのお兄さんがやったのか!?

 瞬時に状況を把握した武藤さんは俺に向かい刀を差し出した。

 「某をお斬りください。そして某の首を徳川様に」

 「な、なに言ってるんですか!?」

 「少しの間ですが徳川様と大橋様は隣近所だけではなく友好関係の御様子・・・某が大橋様の与力にあれば御二人の友情に亀裂が入るかと・・・某は気にしませぬ故。さぁ!」

 さぁ!じゃねーよ!せっかく武藤さんに色々聞こうとしてたのに斬れるわけねーじゃん!!!それに・・・二つしかないけど持ってるんだよね。寿命じゃなく刀傷や怪我が元で亡くなった人を生き返らせるアイテムを。

 「武藤さんは少し黙ろうか。折角、俺の第一の家臣の望月さんがあなたを見つけて連れて来てくれたのを、いくら兄弟のせいとはいえ即斬首とか俺はそんな非合理的な事はしたくない」

 「え?某は何もしておりませんよ?」

 「え!?」

 「「「「「え!?」」」」」

 いやみんなオウム返しかよ!?なら何であんたが殺ったような雰囲気になってるんだよ!?

 「お主!!そう!お主じゃ!確か忠次の支配内の者だったな!?状況を詳しく言え!」

 家康さんが一喝すると状況を言い出した。まず北条さんは退路を断ち言葉闘いになりかけたところ、酒井さんが間を割って入った。すかさず酒井さんは北条軍を離脱させ、武田信玄の側近や馬廻りの精鋭等を銃で制圧。ここまで一兵の離脱もなくだったそうな。

 そして信玄の旗印、風林火山旗が見える集団が少なくなって来たところに、

 「内藤昌豊、高坂昌信、仁科盛信等が現れ、酒井様は仁科に向かい発砲。相手の肩に命中致しましたがその相手が果てる瞬間に投げ槍にて・・・」

 「最後っ屁にやられてしまったと・・・。それで残りの2人は?」

 「酒井様も気力を振り絞り2人を撃ち殺しました。『残る命短し。殿の事を今後もくれぐれも御守りするよう』と申しまして武田信玄に向かい、愛刀の猪切にて斬りかかりまして・・・」

 不謹慎ながら酒井忠次さんの愛刀の猪切を見て、欲しいと思ってしまった。ゲーム内ではこの猪切という刀はサブミッションの獣狩りの時に重宝する刀だった。名前の通り、獣相手に無類の強さを発揮し、様々な錬成の材料を狩れたのだ。ってか、ゲームと同じで素材さえあれば色々アイテム作れないのか!?

 明らかに無理な月の結晶や青水晶のカケラなんかは手に入らないが作れるアイテムもあるはずだ。まあこれは帰ってから要検証だな。

 「お主は何故忠次をすぐに戻さなんだ!!?深手を負ったならすぐに戻し、お主等だけでも制圧できただろうが!!沙汰を申し付ける!お主等はーー」

 「は~い!徳川様はその辺にしておきましょうか」

 「う、うぐっ!小雪殿!!?何をするッ!?」

 あれは言っちゃいけない言葉だ。確実に斬首と言おうとしてたな。仮にも手柄を持って帰っては来てるのだからあれを言うのは信用をなくすのと同じだ。それにしても、肩を刺されているのによく刀を振れたな。さすが徳川四天王筆頭だ。

 初日に太鼓をした仲だし、俺はこの人の事そこまでは知らないけど嫌いな人ではないからな。貴重な薬の一つ・・・俺の考察が正しければこの薬は作れるはずだ。

 「ゴホンッ・・・・小雪?俺のしようとする事分かってるよな?」

 「えぇ。だから徳川様を止めました」

 「よし。徳川様?この貸しは大きいですよ?」

 「な、なんだ!?何故忠次の召物を脱がすのだ!?如何に大橋殿と故、許さぬぞ!?」

 「まあ見ててください。ちなみに俺ですら二つしか持っていない薬です。一つは保険で残しておきたいので今回だけ特別ですよ」

 そう言うとゲーム内でもかなり貴重なアイテム。【世界樹の涙】を酒井さんにかける。

 この世界樹の涙とは、ファンタジーのような名前だが、効果は戦や怪我、ゲーム内ラックが低く病気で亡くなった事のみに使える物で死の原因となった事象を無くして、記憶や装備そのままに復活できるアイテムだ。

 世界樹の涙の材料は屋久島の杉の葉と蝦夷地・・・まあ北海道だな。その北海道にある、神の子池と未来では呼ばれる場所の泉の水、使用する人の髪の毛で薬が完成するのだ。短刀にて酒井様の寂しくなった髪の毛を拝借して混ぜると完成だ。

 ちなみに、ゲーム内設定で作ったアバターをスキンヘッドにしていたらこの薬は使えない。だいたいこの薬を使うには事前に自分の髪を混ぜて作っておいて、護衛のAIやフレンドなんかにお願いしておかないと使えないのだ。だから、ソロプレイヤーやスキンヘッドを選んだ人からはブーイングが起きていたが運営はそれを一切無視。

 ゲーム内での合戦にて勝利したプレイヤーが、いつまでも倒した相手の前で待機して、この薬を使う事を見越してリスポーン狩りをする者も居るので薬の使い方も考えなくてはいけない。

 ただ、暗黙のルールでゲーム自治厨の奴らがリス狩りはプレイヤーを減す一つだから結託して狩られた相手を守ったりする者も居る。

 そして、屋久島への道のりだがゲームでは課金アイテムの船を所有してる者でしか行けない隠しダンジョン的な所だ。現実では有り得ない守護者まで居て、その守護者がかなり強かったのを覚えている。脱線したが話を戻そう。とにかく復活の薬だ。

 「な、な、なんと!?忠次が光っておる!!?大橋殿!?どういう事だ!?」

 【ア~ヴェマリィ~アァ~♪】

 そう。この世界樹の涙を使うと空から讃美歌のアヴェマリアが聞こえるのだ。まったくこんな演出まで同じの世界とは・・・。こんな演出があるからゲームではリス狩りをされてしまうのだ。

 「な、なんの声だ!?」「祟りじゃ!!」「神が顕現なさるのではないか!?」

 いや1人半兵衛さんだけ神が顕現なさるのかとか言ってるが、んなわけねぇ~だろ!?本当に名軍師か!?

 「うっ・・・ここは・・・」

 「忠次ッッッ!!!!!!!」

 「「「「酒井様!!!!!」」」」

 徳川軍の人達が感動の中俺は渾身のドヤ顔である。そしてドヤ顔しすぎて千代女さんからキツイ一言を貰う。

 「暁様?大変言いにくいのですが・・・ズボンでしたっけ?それに用を足すところ・・・チャックでしたよね!?チャックが開いていますよ」

 しくじった・・・例の島津さんの護符を貼った時着替えたのだがチャック閉め忘れたのか!?恥ずかしい!!!!
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