戦国時代に迷子！？

新たな時代の幕開け

小雪に禁句の言葉。

　「うむ。相変わらず美味い！して、書状の方はなんて書いてあった？」

　「はっ。慌てていまして薬の事しかまだ確認していません。そして父上が倒れられてから少々付近が騒がしく武田と上杉が手を組んだと」

　「うん？いつもの同盟であろう？武田がまた攻めてくるのか？」

　「いえ、同盟ではなく共闘らしき動きを見せていると風魔が掴みました」

　「なんだと！？狙いは！？」「おーい！茶を持って来い！」

　「・・・・・はぁ～・・・・氏政よ。毎日食事をしておきながら、飯にかける汁の量も量れんとは。北条家もわしの代で終わりか・・・」

　「そ、そう言われましてもこの米は粒の大きさが違い汁が吸うのを見誤りーー」

　「言い訳はよい。まあだが氏政が言う事も分かる。料理頭に聞け！この米は初めて見る。誰が作ったのだ？褒賞を出そう。こんなに甘い米は初めてだ」

　「はっ。某も先に握りでいただきましたがどうも姿は老人でしたがかなり足の速い健脚の商人からだったようです。岐阜米と言うそうで織田家で開発したと言っているそうです」

　「織田の米か。城の者が買ったのか？」

　「いえ、それが二俵はしきょうひん？と言って置いていきまして、ただでいただきました」

　「ほう？損得勘定なしにか？その商人がまた見えればワシの前に連れて来い。召し抱えよう。目利きのできるやつだ。ついでに文を見ようか」

　「父上？なんと書かれておりますか？」

　「徳川と織田は武田上杉を屠ると。越後～甲斐～信濃を取ると書いてある。その後、北条家はどうするかとな。全盛期を誇る北条氏康様なら御英断をなさる事を期待していると・・・」

　「父上！それは徳川織田が協力して北条に攻めてくるのではないですか！？」

　「氏政よ？これだけでそう捉えるのはどうかと思うが？それに先の空を飛んでいたものが何かは分からぬが武田と上杉の事は我らがよう分かっておる。無傷で勝つ事はないであろう」

　「ですが使者はその気ならば小田原は簡単に落とせると言っていましたが！？」

　「戦えば負けるやもしれぬ。だがこの文ではそのようには見えぬ。使者殿は他に何か言っていたか？」

　「いえ、兄上が怒らせてしまい二の丸にある蹴鞠石に足を滑らせ転けさせてしまいました」

　「な！？氏規！？でたらめを言うな！俺は風呂に入れと言うただけではないか！？」

　バンッ！！！！

　「氏政！貴様なんていう事を言ったのだ！使者殿にも事情があるやもしれんだろうが！貴様等も戦の折は何日も湯浴みができぬだろうが！臭いがなんだ！死ぬわけではなかろう！この文にも書いてある通り返事は早急にせねばならぬ！敵対行動は取らん！」

　「では援軍を出すと？」

　「あの同盟破りの武田を屠るなら喜んで兵を出そう。ワシ自らが進軍してやる！だが徳川は援軍は要らんと書いてある。余程自信があるのだろう。義息子殿？」

　「はっ！」

　「お主は早川の婿だけではなく実の息子のように思いここ小田原に住まわせておる。返書を浜松に持って行ってはくれぬか？造作をかける」

　「はっ。義父殿のためであればどこへでも参ります」

　「うむ。では早速準備してくれ」

　「父上！私も共に参ります！」

　「早川はならぬ！遊興に行くのではない！今後の北条の行く末がかかっておる！あの松平の坊ちゃんかと思うておったが中々粋な事をしよる！是非礼をせねばならぬ！まさか飲み薬だけでワシの病が治るとは思わなんだ！」

　「父上！某も着いて参ります」

　「うむ。氏規が行くのは構わん！真意を問いただせ！必要な物は北条が出すとも言え！今一度徳川との同盟を厚くする！」




　「ほっ！！これはなんともまあ、美味そうだ！すき焼きと言ったか！？あぁ！ここはワシと酒井と大橋殿だけじゃ！他人行儀は辞めてくれ！」

　「はい。生卵は抵抗があるかもしれませんが味変したければ絡ませて食べてください！飯が進みますよ。酒井様もどうぞ」

　「うむ。平時の時より飯が美味いとはこれ如何に。このような飯が食えるとは、ここは極楽ですな！」

　「俺もこのすき焼きはかなり好きですよ？今色々な肉牛を育てていますのでもう少しすれば下々の民達も肉が食えるようになりますよ。岐阜では既に食べられてるかな？」

　「隣だというのにこんなにも差があるものなのか・・・」

　まあ信長さんが出し惜しみしなければ色々教えてあげたいのだけどね。それにこの味の濃いすき焼きに近い内に試したい事があるのだ。この世界に迷子になる前に一度貰い物で飲んだ事がある凍結酒・・・。すき焼きとあの酒は絶対に合うと思うんだ。

　確か愛媛県で作られた酒だったと思う。あれは美味かったな。甘口でまろやかなすっきりした飲み心地だった。酒だがデザートのような記憶がある。完璧な作り方は分からないが落ち着けば試してみよう。この時代の人はみんな酒好きだから分かってくれる人は居るはずだ！

　「小雪？信忠様も食べてるんだろう？」

　「はい。喜助と一緒に食べてる頃かと。それとバニラアイスもお出ししました」

　「オッケー！じゃあ小雪は例の確認だけしてくれる？」

　「畏まりました」

　確認とは北条家の事だ。虫型カメラにてどうなっているか確認しないとな。

　「美味い！肉がなんとも言えぬ味だ！今まで食べた物で一番美味い！酒も透き通った雑味のない味だ！戦前とは思えないな」

　「戦勝の時は更に美味い飯を考えておきますよ。それで実は北条との事なのですが、実はですね？…………」

　俺は上手いこと言ったと思う。あまり論点をずらしても意味はないため正直に伝えた。だがそれは杞憂だった。

　「なんと！？単騎で乗り込み話をしたとな！？あの空飛ぶ鉄でか！？」

　「え！？あぁまあそうですね。帰りに少し不手際がありましたが大丈夫かと。氏康さんだろうと思う人も居ました。もしかすれば武田上杉の次は戦わなくて済むかと。そうなれば氏規様との親交をやりやすくなるかと思いましてね？」

　「些細わかった。その折は是非このすき焼きの作り方を教えていただきたい。振る舞ってやりたいのだ」

　「いいですよ。それに岐阜に戻ればまだ飲んだ事ない酒も作る予定です。出来上がり次第贈り物としてお渡ししますよ。すき焼きと合うと思いますよ」

　「ほっ！それはそれは！楽しみに待っていようかのう！」

　その後は普通の飲みに代わり戦の事は何も話が出ずに夜中前に終わった。酒井さんが何故居たかは分からない。なんとなくだがお目付け役のような気がする。どうも戦の時も俺に付けてきそうな気はする。

　そして夜には小雪の相手だ。久々な事もあってそれなりに楽しみはしたがいかんせん浜松城。人の城とだけあって気が休まらない。まあ出すもんは出したけど。

　「暁様？今後、側室増やすのは構いませんがちゃんと相手をしてくださいね！？」

　「あ、あぁ。大丈夫だ。側室なんか増やすわけないじゃないか！今日はもう寝よう。明後日くらいには氏真さんが返答をしに来るのだろう？」

　「確認したらおそらくそうなるだろうと思います。早川殿も連れて来るでしょう。いえ、恐らくは隠れて着いて来るような気がします」

　「まあ戦国一のおしどり夫婦と言われてたくらいだからな。それに氏真さんは義元の息子だろう？暗愚と言われてたと思うし彼が出陣した戦は全て負けだったと思うけど明らかに武人じゃないよね？文官向きのような感じだよな？」

　「えぇ。この時代で最先端な蹴鞠や茶道、和歌なんかに精通していますね」

　「まあどんな返事をするか聞いてみないとな。それに徳川さんも氏規さんと旧友みたいだし、明後日はまたすき焼きかな？って、おい！？小雪！？何でまた触ってくるんだ！？」

　「ふふふ。今日はもう一回お願いします！」

　「いや、ちょ！それはさすがに・・・」

　「でもまた元気になっていますよ！？小田原の女を見た罰です！今夜は私だけを見てください！」

　はぁ～・・・そりゃ触られれば大きくはなるよ・・・搾り取られる・・・辛い・・・。