戦国時代に迷子!?

デンデンムシ

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リアルな世界!?

意外に優しい信長

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 「まずは皆の者!質問はあるだろうが聞け!なんと言おうと大橋と小雪は仕える事を許す。むしろ織田の兵を強くして欲しい。よって、大橋は兵の鍛錬、武器などを一任する!」

 「分かりました。やれる事はやりましょう」

 「して、次は小雪の方じゃ。小雪は兵の鍛錬をお願いしたい。ある程度育っておる兵は構わん。軍に居るならず者を纏めてほしい。補佐は可成!」

 「はっ!」

 「小雪は女子(おなご)じゃから侮る奴もいよう。そんな奴らは可成が面倒見よ!それでも改めぬ奴は要らぬ!」

 「畏まりました。兵の鍛錬承ります。それと兵の運用なども任せていただいても?」

 「ほう?練兵にも精通しておるのか?」

 「軍対軍の対決には飛び道具がある場合でも必ず陣、組み、パーティーと人が並ぶものです。その相手が構えた陣にも苦手な陣があります」

 小雪が言ったのはゲームのイベントでよく行われた陣合戦の事だな。例えば有名な鶴翼の陣を相手が仕掛けてきたならばこちらは側面や後方から攻める事ができる雁行の陣などで敵を欺ける陣を構築する事だ。

 ただ本来、鶴翼の陣を展開するのは敵より味方が多い時に包囲する陣だから一概には言えないが。

 「どのくらいで練兵できる?」

 「そうですね・・・三月(みつき)あれば物にはなるでしょう。ですが、織田様は浅井にそれまで猶予を与えるつもりはないと思います」

 「ふん。ワシは動き出せば神速の如く動く。一月でどうにか致せ!」

 「辞める兵が出てくるやもしれませんが?」

 「構わん!お前に任す!尾張の弱兵にと呼ばれぬようにせい!」

 「畏まりました」

 「明智!貴様は鉄砲隊の練度をあげい!羽柴!お前は浅井と織田両軍が対峙できる場所を探せ!佐久間!佐々!お前達はタヌキに援軍を伝えて来い!」

 「「「「はっ!!!」」」」

 伝える事を伝えみんな退出していった。俺は早く自分の家が欲しいためどこか空いてる場所がないか聞いてみた。

 「織田様?すいません。ずっと城は申し訳ないので自分の家を建てようと思います。場所だけいただけませんか?」

 「城下の空いておる所にでもしろ。岡部を使え!」

 「いえ、実はすぐに家を出せる技があるのです」

 「なんだと!?ワシも確認する!行くぞ!」

 いや信長が来たらまたみんなも来てしまうじゃん!?俺早く狩りも行きたいんだけど!?

 そのまま、俺、信長、小雪で城下を歩いたが思ってた以上に栄えている。俺のイメージはもっとジメジメしたような雰囲気だと思ったが往来の人は京の人と違い笑顔も見られる。

 「殿様だ!」「織田の殿様だぞ!!」「あの怖い人が殿様?」

 みんながガヤガヤ言いながら道を開け色々な声が聞こえる。すると一人の子供がこちらに走ってきた。

 ドンッ

 「痛ッ!!!」

 「す、す、すいません!!!私の子供が不注意でぶつかってしまいました!!罰は私が受けますのでどうか・・・どうか・・・子供に罰だけは・・・」

 いやめっちゃ眉を細めてるんだが?これだけで手討ちとかしないよな!?笑って終わらせばいいだろ!?まさか本当にぶつかっただけで手討ちとかテレビみたいな事するのか!?

 「坊主!すまんな!ワシがぶつかってしまったようじゃ!じゃが人によってはぶつかっただけで怒る奴も居るから気をつけるのだぞ?ご婦人!ワシはこんな事では怒らん!」

 え!?許したの?いや普通は許すけどあの信長が!?さっきのは怒る寸前みたいな感じだったぞ!?

 「あ、ありがとうございます!ありがとうございます!こら!お前もちゃんと言いな!」

 「おっちゃん!悪かったよ!」

 「ぉぉぉぉーーー!!!織田様すいませんすいません!ちゃんと子供には織田様の事伝えおきますのでーー」

 「クハハハハハ!愉快愉快!大橋!民は誰が治めようとこんな者だ!ワシは皆から慕われる者になりたい!岐阜を日の本一豊かな場所にしたい!」

 「・・・・・・・」

 「ご婦人!気にする事なかれ。よし。大橋!小雪!行くぞ。往来の者も織田だと騒ぐな!いつも通りに過ごせ!」

 俺は間違っていたようだ。暴虐無人のイメージだったがちゃんと民目線にもなれ、たまに理不尽な事は言うが考えて行動する凄い人だな。少し憧れがでてくるな。


 「ここら辺はどうじゃ?少しばかり離れておるがこれより東は何もない場所だ」

 「はい!ありがとうございます!ここで大丈夫です!では・・・少し離れてください」

 俺はイベントリーからジオラマ家を取り出した。ゲームでは好きな場所に拠点を作れるアイテムでゲーム中では大きさはあまり気にした事なかったが定住する家なのでジオラマ家でも二番目に大きな家にした。8SLDKの洋風な豪邸だ。

 ドォォォォォーーーーーーン!!!

 土煙りと共に現れた家に俺は感慨深いものがある。そう。この家・・・。ゲームの時に襲撃された事があるのだ。基本俺がやってたゲームは歴史ゲームだが自由度が高くAIが優秀でオリジナルイベントが多数あるのが売りのゲームだった。

 そのイベントの一つにバトルロワイヤル的な要素が加わり他プレイヤーの拠点に襲撃を仕掛ける事もできるようになったのだ。

 俺はこの家を当てた時は既に中級プレイヤーだったと自負しているがメインアカウントでは俺は出身地の愛媛に因んで河野通直に仕え伊予国にこのジオラマ家を出して四国で遊んでいたんだが、わざわざ織田家でプレイしている奴らが四国に戦艦で出張ってきて木っ端微塵にされたのを覚えている。

 壊れても12時間後に自動で修復され、同じプレイヤーからは二度と攻撃を受けない仕様だったが俺は泣くほど辛く更に課金をして家には色々防御手段を施している。屋上には全方位イージスシステム、レーダー、地下には防空壕としばらく襲撃されても巣篭もりできる人工太陽や人工畑、水耕栽培システム、武器庫などモリモリだ。

 「暁様はこのジオラマ家を出しましたか・・・。課金額1万円、調度品、装備などの課金が4万円の無敵要塞に近い家を・・・。この気持ちの入れよう・・・本気ですね?」

 いやいや何が本気なの!?普通に快適に過ごすにはこの家が一番金掛けたから出しただけだよ!?それに今後戦にも行くだろうと思い武器庫がある家はこれだけだから出しただけだよ!?

 「おぉぉぉ!!なんだこれは!!見た事ない家ではないか!!!ワシの城より小さいが良いではないか!!入るぞ!・・・・素晴らしい!!外観もさる事ながら中は明るくて良いぞ!どうやって光っておるのだ!?」

 うん。電気やなんやらは分からないが何故点灯してるのかは俺も分からん!!!

 「暁様?せっかくなので私が一人で狩りに行き、夜は皆様を招待し晩餐会でもいかがですか?仲良くなる事は大事ですよ?」

 「そうだね。なら小雪にお願いしていいかな?くれぐれも怪我がないようにね?アンドロイドだから大丈夫だと思うけど」

 「・・・・・・分かりました」

 うん?なんか含みがある感じだな?まっ、いっか。よろしくね!織田様!それは課金額2000円の必ず花が咲く壺で……





 『アンドロイドだから』私はこの言葉が嫌いだ。私は暁様の正妻。そりゃ、本当はアンドロイドだけどそれでも人間に近付けるようにこの世界の人間のような動き、喋り、考え方を勉強中です。まだまだ程遠いかもしれませんが何故か寂しく思う。暁様と一緒に居たい。暁様に喜ばれたい。ずっとこの世界に一緒に居たい。
もっともっと私頑張る!!!!
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