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番外編 インキュバスの能力を得た俺が、現実世界で気持ちいい人生を送る話
(19)※(微)交換留学(1)
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前期の試験も終え、無事単位も取れたみたいだ。ほとんどが優、少しだけ良。一年の間は一般教養ばかり、たまに必修で、時間割はびっちりだが授業内容は緩い。こんなもんだろう。
琉海とは相変わらず、ラブラブな日々だ。俺は浪人時代から自炊に凝っていて、レシピサイトを覗いては好奇心から何でも作っていたが、彼が家族や家庭料理的なものに縁が無かったと知ると、最近はそういうお惣菜みたいなモンばっかり作ってる。いや、俺ん家も共働きだから、別にこういう料理に慣れ親しんでいるわけじゃないんだけど。
そして俺に影響されて、琉海も料理をするようになった。料理って、理系に向いた趣味だと思う。俺はナンチャッテだが、彼は生粋の理系脳。最低限の自炊しかしなかったのが、すぐにコツを覚えて、最近はいろんなジャンルに手を出すようになった。二人ともまだ食べ盛りとはいえ、つい作りすぎてしまう。こないだは知己さん家にこっそりお裾分けを置いて来た。あの人、いかにも煮物なんて食わなさそうだ。あの部屋であんなの食べるの、想像しただけで笑える。悪い笑みが浮かぶ。
琉海は凝り性で、一度ハマるととことんのめり込む。テーブルコーディネイトまで完璧だ。こうしていると、まるで新婚のようじゃないか。鼻の下が伸びっ放しで仕方ない。時々、料理より先に彼を食べようとして、冷めるからと怒られる。彼は最近遠慮を捨てて、段々といろんな感情を見せるようになった。俺は尻に敷かれつつある。琉海可愛いよ琉海。
留学の話は、両親には通しておいたが、改めて向こうに飛ぶ前に、一度帰省することになった。俺はロトや投資で莫大な収入を得てしまったため、彼らの扶養から外れたり、税金の問題もある。一度顔を合わせてクリアにしていた方がいいだろう。
ところが帰省すると、そこには姉貴がいた。普段、夏には帰らないはずでは。
「あんたが留学するとなかなか会えないかもしれないからって、声を掛けたのよ」
母さん。余計なことすんな。案の定、後であの段ボール部屋に呼び出された。
「あんた、動画で話題だけど」
「え…何のこと…」
「すぐ目が泳ぐんだから、隠しても無駄だって」
ですよね。
「あれすっごかったじゃない?何よ、そっちに目覚めたんだったら言いなさいよ」
「姉貴だからこそ言えねぇだろ」
「あの瑞稀ってのが彼氏なの?二人で顔貸しなさいよ」
「どうせ薄い本の材料にするんだろうが」
姉貴はニチャァ…と笑っている。まあでも、瑞稀の方なら姉貴《コイツ》に売り渡しても良いかも知れない。案外良い相棒に…いかん。混ぜるな危険と魔眼が訴えている。
「で?留学の間は彼氏どうすんの?」
「あ、瑞稀なら置いてくけど?」
「はぁ?」
「学部違うし」
「いきなり遠距離?」
「いや、あいつセフレだし」
「ふぅん。じゃあ、本命は別なのね」
「!な、何が」
「あんた、チェーンに指輪なんか付けて。そんなん、セフレとするもんじゃないでしょ」
コイツ…!
「ふふ。白石琉海君。可愛いわよね」
「はぁ?!」
「腐女子のネットワーク舐めんなよ。帝都大にも同志はいるのよ」
ガクガクブルブル。
後は、動画の中の顔と普段の顔が違いすぎるということで、淫魔がどうこうという事情は伏せて、偽装無しの姿を披露させられた。いろんなポーズを取らされ、写真を撮られ…駄目だ。姉貴の方が、黒澤よりもよっぽど悪質だ。そして琉海を紹介しろと。いかん。琉海だけは、絶対に守らなければ。しかし既に、藤川ゼミには彼女らの手先が紛れ込んでいるという。誰だ?!女子、ほとんどいないんだけど?!…ということは、知己さんとの仲も、勘付かれてるってことで…。
「あんた、なかなか楽しい学生生活送ってるじゃない?」
お母さんが泣くよ?という決め台詞と共に、俺の学生生活の安全は、未曾有の危機に立たされることとなった。俺もう、琉海誘って、あっちの大学に転籍しようかな…。
両親との話し合いはあっさりしたもので、親父の会社に届けを出すことでほとんどが終わり。俺の側は、恒成さんが紹介してくれた税理士さんや行政書士さんなんかが良いようにしてくれる。節税のために、いっそ法人化したらどうかとも。ヤバい。なんか俺、社長になっちゃうんだろうか。
出国間近のある日。いつも通りに瑞稀の部屋を訪れて、さあちゃっちゃとヤっちまおうか、という時。
「ちょっと、後期は留学って、どういうこと」
瑞稀に詰められた。
「いや、そのまんまだけど」
「俺聞いてない」
「え、だって。お前学部違うし、誘うわけにも行かないだろ」
「そういう問題じゃない!」
「あーもーアレだよ。一年だけだしさ。帰ったらまた相手してやるって」
あっちで転籍するかもだけども。
「お前が俺のこと、何とも思ってないの、分かってるけどさ」
「ええ…めっちゃ相手してるじゃん…」
週末の琉海を除いて、何時間も相手すんのって、お前だけなんだけど。後は知己さんも恒成さんも、毎回短時間であっさり終わるし。二人とも、時間は短いのに満足度が高いのは、さすがに大人の男って感じだ。
その後は彼に、嫌というほどしつこく抱かれた。瑞稀と関係を持つようになってから、数ヶ月。彼も大分セックスが上達した。自分勝手にガツガツと貪っていたあの頃と違い、ちゃんと俺の反応を見ながら、良い所を見つけて籠絡しようとする。愛撫や視線にも、違う熱が籠もるようになった。
「瑞稀…も…はぁっ…」
キスを繰り返しながら、深く、ゆっくりと。うん。素質はあるんだから、頑張ってくれ。
琉海とは相変わらず、ラブラブな日々だ。俺は浪人時代から自炊に凝っていて、レシピサイトを覗いては好奇心から何でも作っていたが、彼が家族や家庭料理的なものに縁が無かったと知ると、最近はそういうお惣菜みたいなモンばっかり作ってる。いや、俺ん家も共働きだから、別にこういう料理に慣れ親しんでいるわけじゃないんだけど。
そして俺に影響されて、琉海も料理をするようになった。料理って、理系に向いた趣味だと思う。俺はナンチャッテだが、彼は生粋の理系脳。最低限の自炊しかしなかったのが、すぐにコツを覚えて、最近はいろんなジャンルに手を出すようになった。二人ともまだ食べ盛りとはいえ、つい作りすぎてしまう。こないだは知己さん家にこっそりお裾分けを置いて来た。あの人、いかにも煮物なんて食わなさそうだ。あの部屋であんなの食べるの、想像しただけで笑える。悪い笑みが浮かぶ。
琉海は凝り性で、一度ハマるととことんのめり込む。テーブルコーディネイトまで完璧だ。こうしていると、まるで新婚のようじゃないか。鼻の下が伸びっ放しで仕方ない。時々、料理より先に彼を食べようとして、冷めるからと怒られる。彼は最近遠慮を捨てて、段々といろんな感情を見せるようになった。俺は尻に敷かれつつある。琉海可愛いよ琉海。
留学の話は、両親には通しておいたが、改めて向こうに飛ぶ前に、一度帰省することになった。俺はロトや投資で莫大な収入を得てしまったため、彼らの扶養から外れたり、税金の問題もある。一度顔を合わせてクリアにしていた方がいいだろう。
ところが帰省すると、そこには姉貴がいた。普段、夏には帰らないはずでは。
「あんたが留学するとなかなか会えないかもしれないからって、声を掛けたのよ」
母さん。余計なことすんな。案の定、後であの段ボール部屋に呼び出された。
「あんた、動画で話題だけど」
「え…何のこと…」
「すぐ目が泳ぐんだから、隠しても無駄だって」
ですよね。
「あれすっごかったじゃない?何よ、そっちに目覚めたんだったら言いなさいよ」
「姉貴だからこそ言えねぇだろ」
「あの瑞稀ってのが彼氏なの?二人で顔貸しなさいよ」
「どうせ薄い本の材料にするんだろうが」
姉貴はニチャァ…と笑っている。まあでも、瑞稀の方なら姉貴《コイツ》に売り渡しても良いかも知れない。案外良い相棒に…いかん。混ぜるな危険と魔眼が訴えている。
「で?留学の間は彼氏どうすんの?」
「あ、瑞稀なら置いてくけど?」
「はぁ?」
「学部違うし」
「いきなり遠距離?」
「いや、あいつセフレだし」
「ふぅん。じゃあ、本命は別なのね」
「!な、何が」
「あんた、チェーンに指輪なんか付けて。そんなん、セフレとするもんじゃないでしょ」
コイツ…!
「ふふ。白石琉海君。可愛いわよね」
「はぁ?!」
「腐女子のネットワーク舐めんなよ。帝都大にも同志はいるのよ」
ガクガクブルブル。
後は、動画の中の顔と普段の顔が違いすぎるということで、淫魔がどうこうという事情は伏せて、偽装無しの姿を披露させられた。いろんなポーズを取らされ、写真を撮られ…駄目だ。姉貴の方が、黒澤よりもよっぽど悪質だ。そして琉海を紹介しろと。いかん。琉海だけは、絶対に守らなければ。しかし既に、藤川ゼミには彼女らの手先が紛れ込んでいるという。誰だ?!女子、ほとんどいないんだけど?!…ということは、知己さんとの仲も、勘付かれてるってことで…。
「あんた、なかなか楽しい学生生活送ってるじゃない?」
お母さんが泣くよ?という決め台詞と共に、俺の学生生活の安全は、未曾有の危機に立たされることとなった。俺もう、琉海誘って、あっちの大学に転籍しようかな…。
両親との話し合いはあっさりしたもので、親父の会社に届けを出すことでほとんどが終わり。俺の側は、恒成さんが紹介してくれた税理士さんや行政書士さんなんかが良いようにしてくれる。節税のために、いっそ法人化したらどうかとも。ヤバい。なんか俺、社長になっちゃうんだろうか。
出国間近のある日。いつも通りに瑞稀の部屋を訪れて、さあちゃっちゃとヤっちまおうか、という時。
「ちょっと、後期は留学って、どういうこと」
瑞稀に詰められた。
「いや、そのまんまだけど」
「俺聞いてない」
「え、だって。お前学部違うし、誘うわけにも行かないだろ」
「そういう問題じゃない!」
「あーもーアレだよ。一年だけだしさ。帰ったらまた相手してやるって」
あっちで転籍するかもだけども。
「お前が俺のこと、何とも思ってないの、分かってるけどさ」
「ええ…めっちゃ相手してるじゃん…」
週末の琉海を除いて、何時間も相手すんのって、お前だけなんだけど。後は知己さんも恒成さんも、毎回短時間であっさり終わるし。二人とも、時間は短いのに満足度が高いのは、さすがに大人の男って感じだ。
その後は彼に、嫌というほどしつこく抱かれた。瑞稀と関係を持つようになってから、数ヶ月。彼も大分セックスが上達した。自分勝手にガツガツと貪っていたあの頃と違い、ちゃんと俺の反応を見ながら、良い所を見つけて籠絡しようとする。愛撫や視線にも、違う熱が籠もるようになった。
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キスを繰り返しながら、深く、ゆっくりと。うん。素質はあるんだから、頑張ってくれ。
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