【完結・R18BL】インキュバスくんの自家発電で成り上がり

明和来青

文字の大きさ
34 / 135
第4章 仕官編

(31)※ 離さない

しおりを挟む
 それにしても、これからどうしよう。とりあえず王宮はやめさせてもらって…水曜日にまた王太子殿下に謁見なんだっけか。月曜日と火曜日、ナイジェルに会いたくないな。早く出勤して、あの二人のどちらかに、休むって言えばいいかな…。

 それよりも、この発情っていうヤツだ。自分で満たせないなら、どこかで何とかするしかない。月曜にメレディスとヤってから、水曜にはおかしくなり始めた。昨日、ナイジェルと最後のセックスをしたけど、この後どうしよう。人間界は遠い。陸路で向かって、最短でも二ヶ月はかかる。着く前に発狂してしまう。こういうの、相手はどうやって探せばいいんだろう。

「セフレか…」

 娼館ならばどこにでもある。金はかかるが解決できる。だが問題は、俺が欲しいのは後ろのほうだ。中に欲しくなる。多分女では満たされない。だが、男色があまり一般的ではないこの国で、俺を抱きたい男なんて…そういえばアイツ、何で俺を抱いたんだろう。ああ、始まりはフェラだったか。いくら俺の外見が整ってきたからって、男に「フェラしてください」とか「ヤらないか」って言ってくる男なんて、珍しいだろうなぁ…。

 そういえば、昨夜ゆうべも夕飯を食い損ねた。俺は精を受け取ると空腹を感じない性質たちなんで、平気といえば平気だが、さすがにずっと食べないわけにも行かないだろう。朝もとうに過ぎて、昼になりかけてる。どっか外に行って、食い物でも調達してくるか。

 のろのろと身体を起こし、着替える。髪の手入れも適当でいい。メガネは…畜生。今は見るのも辛い。新しいの買おう。他にも何か、変装できそうなヤツ、見て来ようかな。

 その時。玄関のドアノッカーが、コツコツと音を立てた。誰だろう、この家に用のある者などいないはずだが。世話をしに来たタウンハウスのメイドが、鍵でも忘れたのだろうか。そのうち、コツコツが、ガツガツ、ガツガツガツとうるさくなってきた。押し売りか何かか?無視していようか息を潜めていると、聞き覚えのある声が聞こえて来た。

「メイナード!いるんだろう!」

 ———何でお前がここに来てんの。



「何。うるさいんだけど」

 俺は努めて冷たく言い放った。

「お前、何で勝手にいなくなった」

「お前に許可取る必要なんかないだろ。もう終わったことだし」

「終わったって、何が」

「何でここに来たんだよ。てか、ここの場所教えてないだろ」

 転移で一度、跳んで来たっきりだ。

「家の者に探させた」

「はぁ?」

 確かに侯爵家の諜報員なら、ここから見える時計台や王宮の塔なんかの情報があれば、この場所を割り出すことは難しくないだろうが…

「お前、また俺から逃げる気なのか」

「逃げるったってお前…」

 もう一度ステータスを確認する。魅了はかかっていない。瞳に隷属れいぞく紋も確認できない。

「お前さあ。俺にまんまと魅了されてたんだよ。分かってる?」

「だから何だ」

「もう解けて、正気に戻ったろ。だからもう終わりだって」

「お前は何を言っている?」

 そっちこそ、何を言ってるんだ。

「言っただろう。俺を捨てるなんて許さない。諦めないと!」

「ちょっ…人ん家の玄関先で!ああもう…!」

 仕方ない。俺は急いでドアを閉め、彼を連れて彼の部屋に跳んだ。



「もう、なん…」

 なんで、と言おうとして、乱暴に唇を塞がれた。腕と顎をグイと掴まれ、力尽くで壁に押し付けられる。

「んんっ…はぁっ…」

 窒息しそうな、強くて深いキス。でも、最初の時のような粗暴なヤツじゃない。彼は俺の良いパターンを学習して、身体を重ねるごとに、どんどん俺を的確に追い詰める。彼の膝が、俺の膝を割って入る。昨夜ゆうべあんなにヤったのに、もう腰が砕けそうだ。

「感じているじゃないか」

「やめろ、俺たちはもうそんなじゃ」

「俺は認めない」

「くっ…!」

 耳はやめろ。魔力の乗ったサイレンの声は卑怯だ。至近距離で、レジストが仕事をしない。

「だ、だからもう、魅了…ああ、やめっ…」

 ちゅうっ、ちゅうっと首筋を強く吸われる。今、赤い印をいっぱい付けられている。ああ、そんなとこクリクリするな!

「さっきから何だ。魅了がどうした」

「だから、お前は魅了されて、俺に惚れてると勘違い…」

「お前の魅了は解けたと言ったか?」

 彼はいやらしく下半身を押し付けてくる。布越しでも分かる。俺が切望してやまない、熱く硬くたぎったそれ。

「魅了など関係ない。お前が俺を選んだ。俺も」

「あ、あ…」

「お前は俺のつがいだ。離さない」



「あっ、あっ、あ、待って…!」

 結局玄関で犯され、それからベッドに運ばれて、こうして何度もイかされて。

「欲しいんだろう、俺が」

「あっ、やだっ、イっく…!イっくぅ…!!」

 ああもう、気が狂いそうなほど気持ちがいい。それ、それもっと挿れて…!

「メイナード。お前、発情しているだろう」

「?!何でそれ…」

「匂いは上手く隠しているが、乱れ方が前と違う」

 いや、そういうことじゃなくて、何で…

「俺がお前をつがいと決めた。お前も俺の番になることを了承した。そしたら発情するに決まっているだろう」

「はぁ?!」

 何その獣人ルール。

「俺、オスの淫魔インキュバスだぞ?何で発情なんか」

「さあな。実際に発情してるんだから、そういうことだろう」

「ちょっ、じゃあ発情っていつ終わるんだよ」

「そりゃあ、孕むまで」

「そんなの聞いてない!」

 ナイジェルは、ふふ、と笑いながら、また俺を穿うがち始めた。そしていつかと同じように「お前はずっと、俺の下で鳴いていればいいんだ」と、俺の耳元で甘く囁いた。その言葉の通り、俺はそれから延々とかされた。

 俺の王都脱出計画は、こうしてまた阻まれた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

【完結】抱っこからはじまる恋

  *  ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。 ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら! 完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

クールな義兄の愛が重すぎる ~有能なおにいさまに次期当主の座を譲ったら、求婚されてしまいました~

槿 資紀
BL
イェント公爵令息のリエル・シャイデンは、生まれたときから虚弱体質を抱えていた。 公爵家の当主を継ぐ日まで生きていられるか分からないと、どの医師も口を揃えて言うほどだった。 そのため、リエルの代わりに当主を継ぐべく、分家筋から養子をとることになった。そうしてリエルの前に表れたのがアウレールだった。 アウレールはリエルに献身的に寄り添い、懸命の看病にあたった。 その甲斐あって、リエルは奇跡の回復を果たした。 そして、リエルは、誰よりも自分の生存を諦めなかった義兄の虜になった。 義兄は容姿も能力も完全無欠で、公爵家の次期当主として文句のつけようがない逸材だった。 そんな義兄に憧れ、その後を追って、難関の王立学院に合格を果たしたリエルだったが、入学直前のある日、現公爵の父に「跡継ぎをアウレールからお前に戻す」と告げられ――――。 完璧な義兄×虚弱受け すれ違いラブロマンス

処理中です...