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第4章 仕官編
(30)※ 発情
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部屋に帰っても、不安は落ち着くどころか増すばかりだった。だがしかしこの期に及んで、俺に出来ることといえば、自慰しか思い浮かばない。
「あっ…あ、はぁっ…」
相変わらず、自分のものを自分の内側に受け入れるのは、気持ちいい。どちらも自分なのだから、自分の良いところは自分が一番よく分かる。
「ふ、うっ…イっく…!」
身体はちゃんと良いところを愛でてやると、ちゃんと感じて、ちゃんと予定した通りに達する。でも何度抱いても、何かが違う。あの、硬くて少し反った、獣のオスのそれ。強引にグイグイと犯しながら、甘い幻惑の魔力を纏って、内側からトロトロに溶かされて、俺は為す術もなくメスにされる。俺は今、あれが欲しい。
どうしようもなく渇く体をどうにか慰めて、眠れない夜を過ごした。
翌朝、起きて愕然としたのは、俺の身体は昨夜よりもより飢えていたことだ。これまでこんなこと、一度もなかった。朝に起きる生理反応とは違う。身体が芯から疼いて仕方がない。
名前 メイナード
種族 淫魔
称号 マガリッジ伯爵家長子
レベル 508
HP 5,080
MP 25,400
POW 508
INT 2,540
AGI 508
DEX 1,524
属性 闇・水
スキル
魔眼 LvMax
呪詛 LvMax
暗黒の雷 LvMax
ヒール LvMax
キュアー LvMax
ウォーターボール LvMax
転移 LvMax
偽装 Lv—
E 部屋着
スキルポイント 残り 30
状態 発情・中
ステータスを見て、愕然とした。「発情・中」って何だよ…。
魅了がキュアーで治るなら、この異常も何とかなるんじゃないかと思って、試しに掛けてみたら無事に治まった。だが、この発情っていうヤツ、どっから出て来たんだろう。セックスなら、三日前の月曜日にメレディスと愛し合ったばかり。昨日だって散々、自分を慰めたというのに。
だが、一応治まった発情も、まだすっきりと消え去った感じはしない。鏡の中の俺は、目がトロリと潤み、頬がはしたなく上気して、一目で分かるくらいヤバかった。俺はナイジェルの魅了と同じ要領で、自分の状態に偽装を掛けて隠蔽し、仕事に出かけた。
ところが、困ったのはその後だった。同じ執務室にいて、隣にナイジェルの気配を感じるだけで、身体がじんじんと疼き出す。そっと席を立ってステータスを確認すると、また発情していた。しかも、しばらく放っておくと、どんどんエスカレートして、「発情・強」に変わっている。俺は身体が疼き出すたびに、キュアーを掛けてやり過ごした。だが、どれだけ掛けても焼石に水。休憩時間や食事の時間も、わざと彼と距離を置き、一人で過ごしてみたが、あまり効果がなかった。一度意識してしまうと、もうだめだ。
帰宅後も懸命に自分で自分を慰めたが、追いつかなかった。いくら宥めても、すぐに欲しくなる。最後はレイプのように激しく犯して無理やり眠ったが、明け方また目が覚めて、そこからも何度か強く抱いてやらなければならなかった。日中は、前日の繰り返し。表面上は素知らぬ顔で仕事に励み、キュアーで騙し騙し、何とか一日を終えた。だがしかし、今日の本当の仕事はこれからだ。帰り際、ナイジェルに「後で」と小声で伝えて、一旦家で身支度を済ませてから、彼の部屋に向かった。
俺が跳んだ時、彼はちょうど食事の用意をしていた。この官舎は給仕を呼ぶこともできるが、食事だけを運ばせて、自分で摂ることもできる。
「来たか、メイナード。お前は何を飲むんだ?」
ああ、限界だ。ナイジェルを見ただけで、発情が止まらない。
「どうした」
様子のおかしい俺を、ナイジェルが覗き込む。
「抱いてくれ…ナイジェル。頼む…」
「何故ここへ来なかった」
「だってっ、仕事…あっ」
「そんなもの、どうだっていいだろう」
良くないだろ。だけど、こうして突かれていると、本当に他のことなんてどうでも良くなる。ずっとこれが欲しかった。気が狂いそうなほど。
「あ、あ、あ…」
ああ、気持ちいい。自分で満たすのとは全然違う。硬くて逞しいそれが、俺の快いところを容赦なく抉る。ずっと咥え込んでいたい。ずっと繋がっていたい。もっと、ずっと…
「泣いているのか」
見るなよ。こんな俺を、そんな優しい目で見るな。
「っ、気持ちいいから、仕方ないだろ…っ」
そうだ。俺にちょっかい出して、まんまと魅了されて、こうして愛を囁きながら、俺を抱くお前が悪いんだ。
「メイナード」
「はぁっ…!」
彼の甘い声が、耳から入って脳を犯す。背筋からゾクゾクと快感が昇ってきて、俺はまた精を吐く。
ああもう、認める。好きだ。馬鹿みたいにチョロい俺。ちょっとヤっただけでこれだ。俺、コイツのことが大好きで、すっげぇ気持ちよくて、でもこれで終わり。
今だけ。今夜だけ、ナイジェルといっぱいキスして、ナイジェルの匂いをいっぱい嗅いで、いっぱい叩き込まれて、その味を覚えて———。
どれだけ溺れても、情事はあっけなく終わる。深夜、俺を抱き疲れて眠ったナイジェルを起こさないように、そろりとベッドから抜け出す。
あの本に書いてあった通り。魅了の隠蔽を解き、改めて魅了を掛けながら、最大レベルに上がったキュアーでそれをなぞるように、丁寧に解除していく。隷属紋は、綺麗に消えた。状態異常の表示も。さっぱりしたもんだ。
ふふ。可愛い寝顔しやがって。
俺がこの部屋に居たという全ての痕跡を消し、俺は、メレディスの家まで跳んだ。
———なんっにも、やる気が起きない。
この俺が、自慰をする気も起こらないなんて、あの夢の前みたいだ。あの時と同じように、俺は空っぽで、何もなくて。多少レベルが上がったくらいで、俺自身は何も変わらない。相変わらずの、意気地無しのみそっかすだ。
ああ、保留してもらってたけど、早速辞めさせてもらいに行かなきゃな。もう王宮には行きたくない。ナイジェルの面影がするところからは、早く逃げ出してしまいたい。この王都からも。
…失恋って、辛ぇな。
「あっ…あ、はぁっ…」
相変わらず、自分のものを自分の内側に受け入れるのは、気持ちいい。どちらも自分なのだから、自分の良いところは自分が一番よく分かる。
「ふ、うっ…イっく…!」
身体はちゃんと良いところを愛でてやると、ちゃんと感じて、ちゃんと予定した通りに達する。でも何度抱いても、何かが違う。あの、硬くて少し反った、獣のオスのそれ。強引にグイグイと犯しながら、甘い幻惑の魔力を纏って、内側からトロトロに溶かされて、俺は為す術もなくメスにされる。俺は今、あれが欲しい。
どうしようもなく渇く体をどうにか慰めて、眠れない夜を過ごした。
翌朝、起きて愕然としたのは、俺の身体は昨夜よりもより飢えていたことだ。これまでこんなこと、一度もなかった。朝に起きる生理反応とは違う。身体が芯から疼いて仕方がない。
名前 メイナード
種族 淫魔
称号 マガリッジ伯爵家長子
レベル 508
HP 5,080
MP 25,400
POW 508
INT 2,540
AGI 508
DEX 1,524
属性 闇・水
スキル
魔眼 LvMax
呪詛 LvMax
暗黒の雷 LvMax
ヒール LvMax
キュアー LvMax
ウォーターボール LvMax
転移 LvMax
偽装 Lv—
E 部屋着
スキルポイント 残り 30
状態 発情・中
ステータスを見て、愕然とした。「発情・中」って何だよ…。
魅了がキュアーで治るなら、この異常も何とかなるんじゃないかと思って、試しに掛けてみたら無事に治まった。だが、この発情っていうヤツ、どっから出て来たんだろう。セックスなら、三日前の月曜日にメレディスと愛し合ったばかり。昨日だって散々、自分を慰めたというのに。
だが、一応治まった発情も、まだすっきりと消え去った感じはしない。鏡の中の俺は、目がトロリと潤み、頬がはしたなく上気して、一目で分かるくらいヤバかった。俺はナイジェルの魅了と同じ要領で、自分の状態に偽装を掛けて隠蔽し、仕事に出かけた。
ところが、困ったのはその後だった。同じ執務室にいて、隣にナイジェルの気配を感じるだけで、身体がじんじんと疼き出す。そっと席を立ってステータスを確認すると、また発情していた。しかも、しばらく放っておくと、どんどんエスカレートして、「発情・強」に変わっている。俺は身体が疼き出すたびに、キュアーを掛けてやり過ごした。だが、どれだけ掛けても焼石に水。休憩時間や食事の時間も、わざと彼と距離を置き、一人で過ごしてみたが、あまり効果がなかった。一度意識してしまうと、もうだめだ。
帰宅後も懸命に自分で自分を慰めたが、追いつかなかった。いくら宥めても、すぐに欲しくなる。最後はレイプのように激しく犯して無理やり眠ったが、明け方また目が覚めて、そこからも何度か強く抱いてやらなければならなかった。日中は、前日の繰り返し。表面上は素知らぬ顔で仕事に励み、キュアーで騙し騙し、何とか一日を終えた。だがしかし、今日の本当の仕事はこれからだ。帰り際、ナイジェルに「後で」と小声で伝えて、一旦家で身支度を済ませてから、彼の部屋に向かった。
俺が跳んだ時、彼はちょうど食事の用意をしていた。この官舎は給仕を呼ぶこともできるが、食事だけを運ばせて、自分で摂ることもできる。
「来たか、メイナード。お前は何を飲むんだ?」
ああ、限界だ。ナイジェルを見ただけで、発情が止まらない。
「どうした」
様子のおかしい俺を、ナイジェルが覗き込む。
「抱いてくれ…ナイジェル。頼む…」
「何故ここへ来なかった」
「だってっ、仕事…あっ」
「そんなもの、どうだっていいだろう」
良くないだろ。だけど、こうして突かれていると、本当に他のことなんてどうでも良くなる。ずっとこれが欲しかった。気が狂いそうなほど。
「あ、あ、あ…」
ああ、気持ちいい。自分で満たすのとは全然違う。硬くて逞しいそれが、俺の快いところを容赦なく抉る。ずっと咥え込んでいたい。ずっと繋がっていたい。もっと、ずっと…
「泣いているのか」
見るなよ。こんな俺を、そんな優しい目で見るな。
「っ、気持ちいいから、仕方ないだろ…っ」
そうだ。俺にちょっかい出して、まんまと魅了されて、こうして愛を囁きながら、俺を抱くお前が悪いんだ。
「メイナード」
「はぁっ…!」
彼の甘い声が、耳から入って脳を犯す。背筋からゾクゾクと快感が昇ってきて、俺はまた精を吐く。
ああもう、認める。好きだ。馬鹿みたいにチョロい俺。ちょっとヤっただけでこれだ。俺、コイツのことが大好きで、すっげぇ気持ちよくて、でもこれで終わり。
今だけ。今夜だけ、ナイジェルといっぱいキスして、ナイジェルの匂いをいっぱい嗅いで、いっぱい叩き込まれて、その味を覚えて———。
どれだけ溺れても、情事はあっけなく終わる。深夜、俺を抱き疲れて眠ったナイジェルを起こさないように、そろりとベッドから抜け出す。
あの本に書いてあった通り。魅了の隠蔽を解き、改めて魅了を掛けながら、最大レベルに上がったキュアーでそれをなぞるように、丁寧に解除していく。隷属紋は、綺麗に消えた。状態異常の表示も。さっぱりしたもんだ。
ふふ。可愛い寝顔しやがって。
俺がこの部屋に居たという全ての痕跡を消し、俺は、メレディスの家まで跳んだ。
———なんっにも、やる気が起きない。
この俺が、自慰をする気も起こらないなんて、あの夢の前みたいだ。あの時と同じように、俺は空っぽで、何もなくて。多少レベルが上がったくらいで、俺自身は何も変わらない。相変わらずの、意気地無しのみそっかすだ。
ああ、保留してもらってたけど、早速辞めさせてもらいに行かなきゃな。もう王宮には行きたくない。ナイジェルの面影がするところからは、早く逃げ出してしまいたい。この王都からも。
…失恋って、辛ぇな。
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