光と音を失った貴公子が望んだのは、醜いと厭われた私の声でした。

緋田鞠

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 広間は、ユリアスの公開求婚の興奮が冷めやらず、人々はあちらこちらで歓談の輪を作り、盛り上がっていた。
 そっと扉から戻ったランドールの姿に気づいた者は、多くはないだろう。
 玉座の傍に、国王夫妻と王弟夫妻がいるのを見て、ランドールはまず、彼らに報告する事にした。
「陛下、王妃殿下」
「ランドール。今宵の夜会が盛況に進んでおるのは、お前が尽力してくれたからだ。感謝する」
 イアンの言葉に、ランドールは首を垂れる。
「有難いお言葉でございます」
「して、そちらの首尾は?」
 興味津々のイアンの言葉に、ランドールは頭を上げて微笑んだ。
「はい、無事に」
「そうかそうか!良かったなぁ。いやぁ、安心した」
「陛下?何のお話ですの?」
 不思議そうなマグダレナに、イアンがにこにこと答える。
「何、ランディ坊が求婚に成功したのだ。遠目にしか見ておらんが、ランディと似合いのご令嬢のようだな」
「まぁ!ランディ、本当なの?」
「はい、よい答えを受け取る事が出来ました」
「あらあら、では、エイダは失恋してしまったわね」
 言葉はともかく、コロコロと笑うマグダレナは、末娘の気持ちは兄に対する独占欲のようなもので、恋心とは異なると信じている。
 エリクとリリーナも微笑んでランドールを祝福していると、顔を強張らせたエイダが、足早にやってきた。
「ランディお兄様」
「エイダ。どうした、一緒にいた令息達は何処に置いてきた?」
 イアンの言葉にも答えず、エイダはランドールの顔を見つめるばかりだ。
「わたくしは、他の殿方とお話するつもりはございません」
「そうは言ってもなぁ。お前ももう成人したのだし、よい相手を探さねばならんだろう?」
「わたくしは、ランディお兄様以外に嫁ぐつもりはございません…!」
 声を潜めつつも苛立ちの隠せない言葉に、イアンは不快そうに眉を顰める。
「エイダ、その話は終わったであろう?ランドールに嫁ぐ事は出来ないと、そう伝えたな?」
「納得はしておりませんわ。お兄様に相応しいご令嬢など、我が国にいないではありませんか」
 ランドールの気持ちなど、関係ないとばかりに自分の思いを捲し立てるエイダに、マグダレナは唖然として顔を青くし、ランドールは怒りの余り、頭の中がしんと冷えるのを覚えた。
「エイダ」
「お兄様」
 途端に喜色を浮かべるエイダを、ランドールは氷点下まで冷え込んだ視線でじっと見つめる。
「私は、婚約が決まった」
「…嘘……」
 エイダの目が、零れ落ちそうな位に大きく見開かれた。
「お、お兄様は、騙されていらっしゃるのよ」
「私が、どうしてもと望んだ女性だ。陛下にも王弟殿下にも許可を得ている」
「だって…!わたくしはお兄様が…!」
「エイダ。…他のご令嬢にしてきたように彼女を扱ったら、如何にお前でも、私は容赦をしない」
 暗に、これまでエイダがしてきた事を知っている、と匂わせると、エイダの顔が強張る。
「お父様!何故、お父様はわたくしの願いを聞き届けて下さらないのですか…!」
「…エイダ。お前に社交界デビューは早かったようだな。公的な場での振る舞いを身につけておらん」
「お父様っ」
「もうお止めなさい、エイダ。申し訳ございません、陛下。わたくしの指導不足でございます」
 母であるマグダレナが、蒼白な顔で父であるイアンに膝を折るのを見て、エイダが益々激高した。
「どうしてお母様が謝罪なさるの!どうしてお父様もお兄様もわたくしのお願いを聞いて下さらないの…っ!」
「エイダ、それは『お願い』ではない。『手前勝手な我儘』と言うのだ」
 疲れたようにイアンは言うと、厳しい顔で、マグダレナを振り返る。
「エイダを連れて下がれ」
「はい、陛下」
 招待客と離れた場とは言え、王族が何やら揉めている様子は判ってしまう。
 ざわめきの種類が変わってきたように聞こえる広間に目を遣って、ランドールはこちらを探るようなレナルドの視線とぶつかって息を飲んだ。
 問題はまだ、形すら見えていないのだ。エイダの事になど、かかずらわっている暇はない。
 エイダは悔しそうに唇を噛んでいたが、母に肩を抱かれると、キッと一つイアンを睨んで下がっていった。
 イアンは溜息を吐いた後、表情を威厳のあるものに変え、ランドールに目線のみで謝罪する。
 国王たるもの、衆目のある場で頭を下げる事は出来ない。
「娘の躾がなってなくてすまなかった」
「申し訳ございません、折角の式典の場で」
「いや、わしの配慮が足らなんだ。エイダの執着は判っておったと思っていたが…まさか、ここまで周囲が見えなくなるとは」
 先程は口を挟まずに様子を伺っていたエリクとリリーナも、傍に寄って顔だけは穏やかに微笑み、小声で苦言を呈す。
「折角、ランディのヘタレが勇気を出した日に、この騒動か」
「親の欲目と言われればそれまでだが、ここまで話の判らぬ娘とは思っておらんかった。…正直、どこぞの誰かに入れ知恵されたと言われた方が理解出来る」
 エリクが、微笑を浮かべたまま、ゆっくりとイアンの顔を見て、声だけは厳しく答えた。
「入れ知恵、か…最近、何か変えた事はあったか?」
「ふむ…調べてみるか」
 そのまま、双子はにこやかに談笑している振りをしながら打ち合わせると、エリクがおもむろにリリーナに手を差し伸べる。
「さて、そろそろ散会だ。あと一曲、踊っておこうか」
「はい、殿下」
 リリーナは優雅に微笑んで夫の手を取ると、ランドールに片目を閉じて微笑んだ。
「ランディ、紹介して貰える時を楽しみに待っているわ」
「はい、母上」
 エリクとリリーナが広間に降りて来たのを見て、不穏な空気を感じていた招待客達が、ホッと息を吐く。
 ランドールもまた、イアンに挨拶をすると、広間に降りてユリアスを探した。
 広間から一段高い所に作ってある玉座の周囲は、ロイスワルズ王族のみが休憩出来る場所となっており、ユリアスと結婚する前のシェイラはまだ上がる事が出来ない。
 婚約者のエスコートをしているユリアスもまた、今回の夜会ではずっと、広間にいる筈だからだ。
「兄上」
 漸く、ユリアスを見つけ、ランドールはユリアスと歓談していた貴族に目顔で挨拶する。
 心得た貴族が挨拶をして下がると、満面の笑みを浮かべたユリアスが、首尾を尋ねた。
「ランディ、兄の配慮は気に入ってくれたかな?」
「有難うございました、兄上。お陰で、邪魔が入る事もありませんでした」
「それで?」
「その…受けてくれる、と」
「うん、心配はしていなかったが、そう聞くと嬉しいな」
 誰が聞き耳を立てているとも限らないから、はっきりとした言葉は出さないが、お互いに内容については把握している。
「今度また、ゆっくりと紹介しておくれ。シェイラとも、仲良くしてくれると嬉しい」
「えぇ。シェイラ姫、どうぞ、よろしくお願い致します」
「勿論ですわ、ランドール殿下。わたくしも楽しみにしております」
 艶やかに微笑むシェイラに、ランドールも僅かに笑みを返す。
 やらなくてはならない事は山積みだが、今夜だけは、気持ちが通じ合った喜びを抱いて寝ようと思った。

   ***

 ランドールが広間に戻る背を見送った後、ジェイクは改めて叩扉した。
「はい、どうぞ」
 アマリアの許可を得て入室すると、一つ深く、頭を下げる。
「ジェイク様…?」
 改まった礼を取るジェイクに戸惑うアマリアの声に、彼は顔を上げて微笑んだ。
「アマリア様、殿下のお気持ちを受け入れて下さって、有難うございました。…まぁ、傍から見ていると、もどかしい位に相思相愛だったんですが」
「…そんなに、判りやすかったでしょうか…」
 頬を染めるアマリアに、ジェイクは一つ首を振る。
「離宮でのご様子が、でしょうかね。殿下も、王宮と離宮では、気持ちの穏やかさが異なっておりましたから」
「えぇ、それは感じておりました」
 それだけ、王族として職務に責任を感じていると言う事なのだろう。
「ジェイク様、ミーシャさんに、お礼を伝えて頂けますか?」
「ミーシャに、ですか?」
「ミーシャさんに頂いたお言葉で、胸を張ってランドール殿下のお隣に立たせて頂けましたから…」
 アマリアが、服装のせいだけではなく輝いて見えて、ジェイクは目を瞬いた。
 だが、そこには王族に選ばれた己に驕る気配はない。
 ならば、愛する人と想いが通じた事による喜びから来るのだろう。
「それは、良かったです」
 きっと、アマリアは変わらない。
 王族だから、ではなく、誠実にランドール自身を支えて行ってくれる筈だ。
 ジェイクは、何事もなく二人が結ばれる事を、心から望んだ。

   ***

 夜会の翌朝。
 アマリアは、いつも通りの時間に目を覚ました。
 今日からは、王宮の執務室に出仕する事になる。
 補佐官室付き侍女と言う身分ではあるが、職務の内容は殆ど文官と変わらない。
「アマリア」
「お父様」
 ギリアンは昨夜、夜会に最後まで参加した筈だ。
 帰りが遅く顔を合わせていなかったので、ランドールからの求婚を受けた事を、まだ話せていない。
「お父様…ランドール殿下から、結婚のお申し入れがございました」
「…殿下から、伺っている。それで、お前はどうしたいのだ?」
「私は…殿下をお慕いしております。ですので、お許しを頂けるのでしたら、殿下をお支えしたいと思っております」
「そうか」
 ギリアンは、ふ、と軽く詰めていた息を吐いて、目元を和らげた。
「ランドール殿下はお若いが、大変優秀なお方だ。お前の事を、心から思って下さっている事は、私にも伝わっている。幸せになりなさい」
「はい…有難うございます、お父様」
 頬を赤らめるアマリアを見て、元婚約者の話をする時に、顔色を変えた事はなかったな、とぼんやりと思う。
「それで…お父様。殿下が、お母様について、お話を伺いたいと仰っていらしたのですが」
「あぁ、昨夜、ヘイネード殿からも伺った」
「お聞かせ、頂けるのですか?」
 期待と共に不安の浮かんだアマリアの眼差しに、アマリアが生まれてから二十年以上、彼女の前で母の話を避けていた事を思い出した。
「…そうだな」
「承知致しました。では、その時に」
「先に聞かせて欲しいとは、言わないのか?お前の母の事だ」
「お父様が、私に秘しておいた方がよいと思われていた事なのでしょう?」
 父が話したくなかったのであれば、聞かずに済ませたかった。
 だが、チートスの動きが気になる今は、そのような事を言っていられない。
 ランドールの身に危険が及ぶような事があれば、自分を許す事が出来ないだろう。
「…判った」
 久し振りに父と二人で馬車に乗り、王宮まで出仕する。
 正門の前で降り、門衛に身分証を呈示して入城すると、そこで別れた。
 アマリアが、着替えの為に侍女控室に向かう所で、物陰から声を掛ける小柄な姿があった。
「…アマリアと言うのは、貴女だったのね」
「エイダ王女殿下」
 きつい眼差しでアマリアを見遣るエイダは、扇子の先でアマリアを呼び寄せる。
 かつて見掛けた際に連れていた女官は、今日はいなかった。
 王宮の中とは言え、王族が従者や護衛なしで移動する事はありえない。
 アマリアは周囲をさっと確認して、エイダに頭を下げると、
「恐れながら申し上げます」
と、発言を求めた。
「護衛の方は、お連れでしょうか」
「そんな事、貴女に関係ないのではなくて?」
「いいえ、エイダ殿下の御身は国にとって掛け替えのないものでございます」
「…どうかしらね」
 吐き捨てるように言うエイダの様子に不審を感じて、アマリアが顔を上げると、エイダは視線を逸らす。
「お兄様がお呼びよ」
「…ランドール殿下が、ですか?」
「執務の前にお会いになりたいそうなの。中庭の温室でお待ちになっているわ」
「そんな…エイダ殿下に言伝を頼まれたのですか?」
 幾ら親しい従妹とは言え、王族であるエイダに言付けるなど、ランドールらしからぬ振る舞いだ。
 彼は、もし伝言があるとしても、アレクシスかジェイクを寄越すように思う。
「何よ、わたくしを疑うと言うの?アレクもジェイも忙しいの。だから、一番暇なわたくしに言伝を頼まれたのだわ。赤い髪の王宮侍女、貴女の事でしょう?」
「はい、わたくしの事と存じます」
 不機嫌そうなエイダの様子に、アマリアは言葉を飲み込んだ。
 本意でないのは、伝わってくる。
「でしたら、まず、出仕した旨を報告に、」
「先にお兄様の御用でしょう?王族を待たせるつもりなの?」
「いいえ、そのような事は…有難うございました、エイダ殿下。早速、温室にお伺い致します」
「お急ぎなさい」
 頭を下げたアマリアは、エイダの目が仄暗く輝き、頬が歪んだ事に気づかなかった。

   ***

 中庭の温室の場所は、覚えている。
 アンジェリカが滞在していた西の離れの傍に、小さな温室があるのだ。
 夏の今、温室は訪れる人もないから、人目を避けて会うには相応しいと言えるかもしれない。
 アマリアが、温室の硝子扉を開くと、外気とは異なる蒸した空気が漏れ出てくる。
「…殿下…?」
 エイダの事を、完全に信用していたわけではない。
 もしも、これがランドール以外の名での呼び出し、そして王族本人から声を掛けられたのでなければ、一度、補佐官室に顔を出して、状況の確認をしただろう。
 だが、王族の言葉を頭から疑う事は出来なかった。
 王族の名を騙っていると疑われる状況ならともかく、王族であるエイダ本人からの声掛けなのだから。
 恐る恐る声を掛けると、奥の方から人の気配がして、アマリアはホッとして歩を進める。
「お呼びですか…?」
 大きな観葉植物の葉で姿が見えないが、誰かが居るのは判った。
 その時。
 ガサリ、とランドールが立てるとは思えない乱暴な物音と共に、アマリアの肩が背後から無遠慮に掴まれる。
「痛…っ」
 決して逃さないとばかりに力の込められた指先が、細い肩に食い込み、アマリアは思わず、苦鳴を上げた。
「だれ…っ」
 これまで、屋敷から出る事なく、また、守護石に守られているとの安心感のあったアマリアが、初めて抱く恐怖。
 白い顔を青褪めさせて、慄きながら振り返ろうとしたアマリアの肩から、不意に指の感触が消え、続いて、ドサリ、と重いものが地面に落ちる音が聞こえる。
「大丈夫か」
 重々しい壮年の男性の声に、アマリアは恐る恐る背後を振り返った。
「レナルド陛下…?」
 昨夜の夜会で間近に見えた隣国の国王が、温室の柔らかな光の中に立っている。
 その足元には、彼の護衛なのだろう体格のいい男が、ロイスワルズの侍従姿の男の腕を背後にひねり上げ、その背を膝で押さえて、地面に留めつけていた。
「これ、は…」
 声の震えるアマリアに、レナルドがゆっくりと口を開く。
「そなたが温室に入る姿が見えたので、声を掛けようとしたら、辺りを伺いながらコソコソとやってくる侍従がいたのでな。不審に思い、後をつけた所、明らかにそなたを害そうとしていたのに遭遇した。故に、無力化させて貰ったぞ」
 レナルドが護衛に目を遣ると、心得たとばかりに、意識を失っているらしい侍従姿の男を肩に担ぎ上げた。
「一応、確認しておくが、そなたの知り合いか?」
「…いいえ、存じ上げない方です」
 もしも、レナルドが来なければ、自分は何をされたのか。
 青褪めたままのアマリアに、レナルドはスッと視線を険しくする。
「一体、誰に何と言って呼び出された?」
「エイダ王女殿下に…ランドール殿下がお呼びだと…」
 言いながら、これは、エイダに嵌められたと言う事ではないか、と思い至って、アマリアは身を竦ませた。
 これ以上、口を開くと、不要な自国の情報を明かしてしまいそうだ。
「レナルド陛下、助けて頂いて、有難うございました」
 小さく震えながらも、気丈に礼を取るアマリアの顔を見て、レナルドはゆったりと微笑んだ。
「そなたが無事で、良かった。だが、もう少し、自分の身の安全に、気を配る必要があろうな」
 こうして朝の日差しの中で見ると、レナルドは圧倒されるような気配と言うよりも、包み込むような気配を纏わせているのが判る。
 何処かで見たような眼差し…そう、セルバンテスのような。
「昨夜は失礼致しました。わたくしに、御用がおありでしたか…?」
 わざわざ、アマリアの後を追ったと言う事は、やはり何か、話があると言う事なのだろう。
 危機感を募らせながら問うと、レナルドは僅かに目を伏せた。
「漸く、見つけたのだ、そなたを」
「わたくしを…?」
 ランドールの推測は、正しかったと言う事だ。
 レナルドは、アマリアの素性を知った上で、夜会で声を掛けてきたのだ。
「では…陛下はやはり、母を探していらしたのですか」
 レナルドの頬に、苦いものが浮かぶ。
「そうだな。そうとも言える。エミリアが幸せに暮らしてさえいれば、それで良かったのだが…」
 じっとアマリアを見つめる眼差しに滲むのは、切なさだろうか、後悔だろうか。
「この王宮は、そなたの身の安全の為に相応しいとは思えん。チートスに連れ帰る事にしよう。今なら守ってやれる」
「え…?いえ、ですが、わたくしは、この城ですべき事が、」
「仮にも他国の王に、抗い立てするか?」
「滅相もございません、ですが、」
「エイダと言ったか。あの姫は、そなたへの敵意を隠しもせぬ。あの姫だけではない。私が調べさせただけでも、この城の者は、そなたに辛く当たるばかりではないか。それも、そなたの努力や能力が不足しているからではない。外見の事ばかりあげつらうような低俗な者共がぞろぞろと。そのような城に、何故、エミリアの娘がおらねばならぬ」
 憤りの籠った声だが、アマリアに向けられるのは労りだ。
 レナルドから、痛い程の気遣いが伝わってきて、他国の王と二人きりと言う状況ながら、それを怖いとは思わなくなっていた。
「陛下…陛下と母は、どのようなご関係なのですか…?」
 昨夜のランドールの言葉が、耳に蘇る。
 本当に、母はレナルドの想い人だったのか。
 思い切って問うと、レナルドが、切なそうに眼を細め、口の端を小さく上げた。
「エミリアは、私の妹だ」
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