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4 希望
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『レスポワール』に来るのは、あのガサ入れ以来約一ヶ月ぶりだ。だが店内は、少しも変わっていなかった。椎葉は、純を見て目を見張った。
「シズク……。生きてたんだな」
「はい。椎葉さんもお元気そうで、よかったです」
ミヤビは気を遣ったのか、席を外してくれた。控え室で二人になると、椎葉は感慨深そうな顔をした。
「無事でよかった……。全くミヤビのやつめ、馬鹿をやらかしてくれて。……まあ、あいつの気持ちに気づいてやれなかった俺も、馬鹿だけれど」
そこで椎葉は、じっと純を見すえた。
「ミヤビが情報を漏らした客、石野……いや桐ケ谷か。総理側近の官僚だそうだな。お前、もしかしてそいつのせいで、政治闘争に巻き込まれてないか? なんせお前の、その能力だ」
椎葉の鋭さに、純はドキリとした。少し迷ったが、純は彼に真実を告げることにした。
「はい、詳しいことは話せませんが……。でも、少し違います。桐ケ谷さんは、政治に利用されそうになった僕を、助けてくれたんです」
「本当か?」
椎葉は目を丸くした。
「はい。……僕は今、桐ケ谷さんと一緒に暮らしています。彼は、僕を危険な目には遭わせませんから、安心してください。それより、僕のせいで椎葉さんに迷惑をかけてしまって、すみませんでした」
「お前が謝ることじゃない。未成年を雇ったのは、事実なんだから。むしろ、お前には大感謝だ」
椎葉が、にやりと笑う。純はきょとんとした。
「感謝って?」
「『面接』でお前を抱いた時、俺が何を願ったと思う?」
「……さあ」
「シズク……。生きてたんだな」
「はい。椎葉さんもお元気そうで、よかったです」
ミヤビは気を遣ったのか、席を外してくれた。控え室で二人になると、椎葉は感慨深そうな顔をした。
「無事でよかった……。全くミヤビのやつめ、馬鹿をやらかしてくれて。……まあ、あいつの気持ちに気づいてやれなかった俺も、馬鹿だけれど」
そこで椎葉は、じっと純を見すえた。
「ミヤビが情報を漏らした客、石野……いや桐ケ谷か。総理側近の官僚だそうだな。お前、もしかしてそいつのせいで、政治闘争に巻き込まれてないか? なんせお前の、その能力だ」
椎葉の鋭さに、純はドキリとした。少し迷ったが、純は彼に真実を告げることにした。
「はい、詳しいことは話せませんが……。でも、少し違います。桐ケ谷さんは、政治に利用されそうになった僕を、助けてくれたんです」
「本当か?」
椎葉は目を丸くした。
「はい。……僕は今、桐ケ谷さんと一緒に暮らしています。彼は、僕を危険な目には遭わせませんから、安心してください。それより、僕のせいで椎葉さんに迷惑をかけてしまって、すみませんでした」
「お前が謝ることじゃない。未成年を雇ったのは、事実なんだから。むしろ、お前には大感謝だ」
椎葉が、にやりと笑う。純はきょとんとした。
「感謝って?」
「『面接』でお前を抱いた時、俺が何を願ったと思う?」
「……さあ」
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