上 下
6 / 85
1 出会い

6

しおりを挟む
「あっ……」
 男は、純の下衣を取り去ると、ためらいもなくそれを握りこんできた。巧みに扱き立てられて、純はたまらず喘ぎを漏らした。つい先月、初めての発情期を迎えたばかりの純は、自慰の経験すらない。他人の手で与えられる快感は大きすぎた。
「――あっ、ああっ、――ああっ――……!」
 純は、あっという間に達した。男の手を汚してしまったが、恥ずかしいと思う余裕もない。精を放ったというのに、欲求は少しも消えないのだ。
(――これじゃ、ない……)
 純は、本能で理解していた。求めているのは、こんな刺激ではないと……。
 男が純の脚をつかみ、大きく割り開く。待ち望んでいた瞬間の訪れに、まるで腹の奥がきゅうっと収縮するような感覚を覚える。だが男は言った。
「抱くつもりはないと言ったろうが。辛いだろうが、指で我慢しろ」
 言葉と同時に、指が突き立てられる。すでに濡れそぼった純の蕾は、あっさりと男の指を飲み込んでいった。
「んっ――……!」
 太く硬い指が、ズブズブと純の内部を侵していく。耐えきれず、純は躰をくねらせた。無意識に締め付けていたらしく、男は「きついな」と呟いた。
「あっ、あっ、ああんっ……」
 深く浅く、男はリズミカルに指を抜き差しする。はしたないとわかっていながらも、純は嬌声を止められなかった。股間のものはとっくに再び勃ち上がり、蜜を垂らしている。
「――ああっ――……」
 不意に男の指先が、純の内部にある一点をグリ、と刺激した。その瞬間、純は精を放っていた。
「はぁっ……、はぁっ……」
「……少しは満足したか?」
 ややあって、男が尋ねた。どうにか息を整えながら見上げると、男はふいと目を逸らした。眉間には、深くしわが寄っている。明らかに欲情した表情に、純はまた躰の奥が潤むのを感じた。
(また、こんな……。おかしいだろ……)
「抑制剤を置いておくから、とにかく早く寝ろ。俺はリビングで寝る。話は、明日になったらゆっくり聞くからな」
 純の思いを見透かしたように、男はそう告げると、足早に寝室を出て行った。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

やさぐれオメガは泡沫の夢を見る

BL / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:93

異世界で大切なモノを見つけました【完結】

BL / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:941

【完結】猫魔術師殿は今夜も眠れない

BL / 完結 24h.ポイント:92pt お気に入り:1,219

EDEN ―孕ませ―

BL / 完結 24h.ポイント:198pt お気に入り:214

王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。

BL / 連載中 24h.ポイント:5,951pt お気に入り:2,835

安心快適!監禁生活

BL / 完結 24h.ポイント:85pt お気に入り:878

女神と称された王子は人質として攫われた先で溺愛される

BL / 連載中 24h.ポイント:1,570pt お気に入り:171

処理中です...