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連載
262 棲み着いたヤツの正体は 1
しおりを挟むストーカーはダンダリアンと名乗った。
金の髪に銀の瞳。
嫋やかな色っぽい美人だが、これも幻覚なんだろう。
夢魔の魔人族で、何の姿にでもなれるし、人の心を操れる力があると言った。
カフカの予想通り、夢や幻覚を見せているのはやはりコイツか。
「アタシはねえ、ずうっと昔からリンデンを愛してるのよ! ずっとずっとあの人一筋。なのにぽっと出のあの兎野郎が横から掻っ攫っていって・・・!!」
掻っ攫うもなにも、聞いた話じゃリンドヴルムが掻っ攫っていったようだが?
コイツ自分に都合の良いように改変していやがる。
「そんなの許せるわけ無いじゃない? だからあの人から引き離してやったのよ! まあ、上手い具合に死んでくれたから良かったけど、それでリンデンが狂っちゃうなんて誤算だったわ」
---そう言うことか。
いくらアリテシアを誘拐するといったって、正体を隠していたとはいえ古竜相手にそんなに簡単に出来ることじゃ無い。
だが実際にアリテシアは攫われ、その時の実行犯は呆気なく死に、真相は闇の中だった・・・。
だがそうか、コイツが手引きしたんだ。
コイツが全ての黒幕。
そのせいでアリテシアは儚くなってリンドヴルムは狂竜となり、ノアは家族を失った。
全部コイツのせいで・・・・・・。
「アレからリンデンの気配が消えてしまって、アタシ、哀しくて苦しくてこの迷宮でずっと眠ってたのよ。ここはアタシの望む夢を見せてくれる、素敵な箱庭・・・ココにいれば永遠にリンデンと一緒にいられるの」
そううっとりと言うダンダリアン。
「---まさしく『箱庭の迷宮』だな」
コイツが棲み着いたせいで正真正銘の『箱庭の迷宮』になってしまっていたんだ。
「でもねえ、そうしてたら、なんかリンデンに似た気配が微かにするモンだから目が覚めてねえ・・・。リンデンって綺麗な銀色の瞳なのよ。アタシその頃は寝惚けてたからココに来るヤツらの中で銀色の瞳のヤツをとりあえず片っ端から引きずり込んだんだけど・・・最近漸くすっきり目覚めたから確認したら、全部ハズレって、酷くない?!」
そう言ってケラケラと笑った。
「そうしたら、今度はアンタらが来た。そこのフェンリルから微かにリンデンの気配がして不思議に思って後ろを見たら、あの憎き兎とリンデンの気配がするじゃないか・・・!!」
おそらく別空間で見ていたのだろう。
忌々しげにそう叫ぶダンダリアン。
「・・・あの時気付いていれば・・・」
そう呟くアークにレオン達が囁く。
「あの時にアイツの存在に気付けなかったのは俺達も同じだ、アーク」
「俺達だって助けられなかった。・・・俺達が護るって約束したのにだ・・・」
アークだけが悪いんじゃ無い。
そもそもの元凶はアイツなんだから。
そのダンダリアンは未だ饒舌に語っている。
「あの兎に瓜二つの容姿で愛するリンデンの銀の瞳と気配を纏って---腹が立つったら無かったわ!! 愛しいリンデンと憎いあの兎野郎の子供だったなんて!!」
どんどん興奮状態になるダンダリアン。
「あんまり腹が立ったから攫った後、殺して目玉だけでも取り戻そうと思ったけど、でもそれよりも良いコト思い付いたの。リンデンの金の髪にして銀の瞳はそのままで、アイツと瓜二つのコイツをアタシの言いなりになる人形にしようってね」
不意にニタリとイヤな笑いを見せた。
「だから幻覚を見せて夢に引きずり込んだの。その後は一番強い幻覚魔法を重ねがけして。ふふ、コイツ、今、目は開けてるけど頭ん中はきっとお花畑よ。何の夢を見ているのかは分からないけどね? でも相当良い夢なんじゃない? 目覚めないんだから」
それを聞いてアークは精霊王の元へと導かれたときにノアが見ていたという夢を思い出した。
『見たことのないたくさんの薬草の花畑の中をアークと手を繋いで歩いてる、幸せな夢』
もしかしたらそんな夢を見ているのかもしれない。
でももしかしたら、記憶にない両親と何気ない日常を過ごしているのかも・・・。
---でもそこに俺がいなかったら・・・・・・?
そんなの、考えただけでも気が狂いそうだ。
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