迷い子の月下美人

エウラ

文字の大きさ
上 下
237 / 538

233 前ヴァルハラ大公夫夫の提案

しおりを挟む

現在隠居して冒険者をしている前ヴァルハラ大公夫夫。

レオニードとシェイラ。

レオニードは銀竜で、シェイラは青竜。
レオニードはアークと同じ色合いで腰までの銀髪を三つ編みにしていて、シェイラは深い翠の瞳に薄い青の長い髪を同じく三つ編みにしている。

共にSランク冒険者である。
さすがは竜人・・・というべきか。
まあそれなりに長い期間冒険者をしていれば当然か。

息子であるウラノスに家督を譲ってからは二人で気ままな冒険者稼業に勤しんでいて、竜王国には滅多に戻らない放蕩ぶり。

良いのかそれで。
仮にも王弟なんだろう?

竜人という長命種のせいか、二人とも齢うん百年(歳を聞くなど無粋な、と怒られるので)というのに見た目は40代に見える。
苦労している分、陛下がずいぶん年上に見えたのでお二人はお祖父様という感じに見えない。

何故そんなことをつらつらと考えているかというと、今、目の前にその二人がいるからだ。


遡ること半月前。

ちょうどノアが発情期に入った頃に、どうやらレオニードとシェイラはウラノスから事前に連絡を貰っていて、帰省したらしい。

何時もあちこち旅をしているせいで中々捕まらず、冒険者ギルドに指名手配をしていたのだとか。

それって何処ぞの一級犯罪者扱いでは・・・。

たまにアークんちの家族への扱いが分からなくなる。
義父様、苦労してるんだな・・・。

それを聞いて、小型のアクセサリータイプの通信魔導具を錬成しようと心で思ったノアだった。

それでせっかく帰ってきたのにノアの発情期でアークと暫く籠もってしまい、更には冒険者ギルドでの手合わせエキシビションマッチでタイミングを逃して今日、漸くお目通りが叶ったというわけで・・・。

「・・・・・・なんか、すみません?」

人見知りを発動中のノアがぴるぴるしながら謝る。
何故か疑問形で。
自分のせいだと思っているのだろうが発情期コレばかりは誰のせいでも無いので誰もツッコまない。

寧ろ、そんなにぴるぴるビクビクしながらも自分達にちゃんと向き合ってくれるノアにイチコロだった。

『こんなに可愛い子がアークよりも凄いんだ?』
『そうだね。後で見せて貰った魔法騎士団の鍛錬場の記録、アレはホンモノだよ』
『この前の手合わせのヤツも凄かったけどね』
『ギャップが堪らない』

こそこそと話す前大公夫夫にキョトンとするノア、若干イラッとするアーク。

「・・・・・・で、顔合わせはもうよろしいですか? お祖父様方」
「おおっと、スマン。いや実はノアちゃんが迷宮ダンジョン大好きって聞いたから、一緒に潜ってみたいなと思ってさ」
「---迷宮?!」
「お、食いつくねぇ。そうそう、俺達これでもあちこち旅をしているから色んな迷宮に潜ってるんだよ。それでオススメの場所があってさ」
「・・・・・・アーク・・・」
「・・・はいはい、とりあえず話を聞いてからな」
「やった!」

思わずにぱっという感じで笑ったノアを見て、アークを始めレオニード、シェイラや邸の使用人達もほわんとしたのだった。






しおりを挟む
感想 1,191

あなたにおすすめの小説

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

誰よりも愛してるあなたのために

R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。  ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。 前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。 だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。 「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」   それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!  すれ違いBLです。 初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。 (誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

公爵家の五男坊はあきらめない

三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。 生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。 冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。 負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。 「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」 都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。 知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。 生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。 あきらめたら待つのは死のみ。

BLR15【完結】ある日指輪を拾ったら、国を救った英雄の強面騎士団長と一緒に暮らすことになりました

厘/りん
BL
 ナルン王国の下町に暮らす ルカ。 この国は一部の人だけに使える魔法が神様から贈られる。ルカはその一人で武器や防具、アクセサリーに『加護』を付けて売って生活をしていた。 ある日、配達の為に下町を歩いていたら指輪が落ちていた。見覚えのある指輪だったので届けに行くと…。 国を救った英雄(強面の可愛い物好き)と出生に秘密ありの痩せた青年のお話。 ☆英雄騎士 現在28歳    ルカ 現在18歳 ☆第11回BL小説大賞 21位   皆様のおかげで、奨励賞をいただきました。ありがとう御座いました。    

将軍の宝玉

なか
BL
国内外に怖れられる将軍が、いよいよ結婚するらしい。 強面の不器用将軍と箱入り息子の結婚生活のはじまり。 一部修正再アップになります

処理中です...