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126 終息
しおりを挟む※この終息は『完全に物事が解決する』という事です。
※前半、迷宮の説明文が多いので、スルーしても問題ありません。
ケルベロス討伐依頼から始まった魔物の大量発生は、新たな迷宮の誕生へと発展し、そして無事終息を迎えた。
Sランク冒険者二名と竜王国の魔法騎士団の共同戦線により、大した被害も無く、死人はゼロという奇跡的な終わり方だった。
新たな迷宮はボス部屋の魔物がミドガルズオルムという巨大な毒蛇だったので、その名を取って【ミドガルズの迷宮】と呼ぶことに決まったそうだ。
急ピッチで封印門を設置して迷宮までの道を整備し、冒険者ギルドの職員を配置した。
冒険者数組で何度か検証した結果、やはりPTを組んでいるとPT毎にエリアに飛ばされる事が分かった。
そして足を踏み入れるタイミングが違えば他のPTとは違うエリアになってしまい、迷宮の中で出逢うことは無くなる。
協力関係を築けない。
ただ、PT同士が誰かと手を繋いだり何処か接触していれば同時に入ったと見なされるようで、同じエリアに入れた。
そうやって同時に一度入ってしまえば、どちらかのPTが先の階層に行っても残りのPTも必ず同じエリアに移動できた。
これにより、単独での探索は原則禁止とし、なるべく他のPTと協力しあうように取り決めた。
最下層のボス部屋までの道程とボスの危険性を考えれば当然だったが。
ちなみに10階層毎の転移魔法陣も、PT同士の接触が無いと同じエリアに行けないので、注意が必要である。
このような条件を鑑みて、この迷宮は上の上という判定を受けた。
おそらく踏破出来るのはアークやノアのようなSランクだろう。
---というような事をしていたので、結局要塞都市ライズにはひと月程滞在する事になってしまった。
時は遡り、迷宮を間引きしながら踏破して出て来たところ。
フェンリルのヴァンを連れてルドヴィカの元に戻ったアーク達は、さすがに疲れていた。
「---お帰り、お疲れ様。どうだった?」
苦笑しながらルドヴィカがアーク達に声をかけた。
「100階層でボス部屋、ボスはミドガルズオルムだった」
「---は?! 毒持ちの大蛇?!」
アークが端的に告げると、ルドヴィカは唖然としてから思わずと言った感じで叫んだ。
「それよりも階層が多くて、強行軍だったからとにかく疲れたな」
ノアがいかにも疲れました、という感じでぽそっと言った。
驚いていたルドヴィカだったが、すぐにその苛酷さに思い至った。
「・・・そうだろうな。詳しい話は後日にして、ひとまず休むといいんじゃ無いか?」
「---あー。うん、とりあえずギルマスに声をかけてから少し休もうか。ノア、行こう」
「ん」
アークもどことなく疲労感が漂っている。
そのアークの肩にいるモノに気付くルドヴィカ。
「ちょっと待て。アークの肩の仔狼はなんだ? 俺にはフェンリルに見えるんだが・・・?」
「フェンリルだな」
「フェンリルだね」
『フェンリルだぞ』
立て続けに流れるように言われた。
「---うわ、マジかよ。何なん?!」
ルドヴィカが呆れたような声を出したが・・・。
「心配無い。俺の知幻獣だ」
「うん、俺の親友?だ」
『二人の言うとおりだ』
返答がおかしい二人と他力本願なフェンリルを相手に、ルドヴィカはもう会話を諦めた。
「・・・あー。もう良いわ。さっさとギルドに行って休め」
フェンリルはともかく、二人はテンションがおかしい。
アレだ、戦闘後の異様な昂ぶり。
発散しないとマズいヤツ。
番いだからこれから凄いんだろうなぁ・・・。
ルドヴィカが下世話な事を考えている内にさっさとギルドに向かった二人(と一匹)を見送っていると、あぶれた魔物の討伐が済んだらしい部下達が戻って来た。
「団長、討伐が済みました」
「おう。お疲れ様」
「・・・? 団長、疲れてます?」
カナンとスレインが心配そうに声をかけてきたが、何でもないと話題を変えた。
「俺達もギルドに行って、少し休もうか」
「賛成!」
「さすがにお腹空きました」
「報告はどうするので?」
「ああ、そういうのは俺の役目だ。キチンと説明責任は果たすさ」
そういって第1部隊の皆とギルドに向かった。
---アイツらは先に宿に戻ったかな?
長いような短いような今回の騒動は漸く幕が下りたようだ。
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