53 / 624
連載
119 共同戦線
しおりを挟む「---おお、戻ったか! 無事か?! いや、あんたらなら大丈夫だとは思っていたが、心配をした」
ギルドに入ってすぐにギルマスのケインが開口一番、そういってきた。
「心配ないよ。ノアも強いからな」
「心配ないです」
二人ともケロッとした顔で言った。
「それはそうだが、そう言うんじゃなくてだなぁ・・・まあ、いい。執務室に来てくれ。詳しく話を聞かせて欲しい」
「ああ、今のうちに作戦会議をしよう。ルドヴィカ達も良いな?」
「仰せのままに、従兄弟殿」
ルドヴィカがわざと大袈裟な身振り手振りでアークに頭を下げて言ったので、何も知らない周りの者達がギョッとした。
「竜王国の魔法騎士団の団長が従兄弟って言って頭を下げている・・・?!」
「え? アルカンシエル殿ってもしかしてめちゃくちゃ偉い人?!」
などとザワついている中、アーク達は執務室に移動中も気安い感じでとんでもない事を話している。
「・・・後で覚えてろよ、ルドヴィカ」
アークがこめかみに青筋を立ててルドヴィカを睨んだ。
こんな時に面倒臭くなりそうな事を言いやがって・・・と。
別に隠してる訳では無いが、スタンピードで混乱しているときに余計な情報は控えるべきだ。
「うわ、ヤベえ。マズった?!」
さすがのルドヴィカも地雷だったかとヒョッと背中が寒くなった。
「団長、自業自得っす」
「甘んじて鉄拳制裁を受けて下さい」
部下にも見捨てられている。
もうこうなったらとことん使い倒してやろう、とアークが半目で言った。
「ルドヴィカお前、一個小隊貸せ」
「え、マジ?!」
「俺達が迷宮内の掃除をしている間、外を掃除してろ」
「---はぁ---、了解。サディアナ、本国にいる副団長に緊急通信を繋いで竜王陛下に許可を取ってくれ。取れたら森で待機中の俺のとこの第1部隊を大至急寄越すように。もちろんスタンピードの件を伝えてな。あと、アルカンシエルの要請だとも」
「了解です」
「おい、俺をダシに使うな」
「その方がすんなり通るからな。俺だってやられっぱなしじゃないぜ」
「言ってろ」
などなど、容赦ない口撃をする二人に、ノアとギルマスはポカンと、エルリックとサディアナは見慣れた光景なのか苦笑していた。
さすが、従兄弟で乳兄弟。
そして皆が執務室に入る頃にはすでにこの作戦は決定事項だった。
「初めまして、アルカンシエル殿にノア殿。私はこの要塞都市の領主のカストロだ」
「初めまして、アルカンシエルだ」
「ノアです」
「では早速・・・と言いたい所ですが」
「・・・どうしたんだ、ギルマス?」
カストロが怪訝な顔をした。
「いえ、ここに来るまでに、その・・・」
「ああ、すまない。実は俺とノアで迷宮内の魔物を間引いている間、ここにいる魔法騎士団長のルドヴィカの小隊を借りて、迷宮からあぶれた魔物を討伐して貰うことになった」
「スミマセン、勝手に決めてしまって。でもその方が早く、犠牲者も少ないはずです」
ルドヴィカも援護する。
領主のカストロは戸惑っていた。
「いや、しかし、そこまでして貰うのは・・・何故、竜王国の騎士団が・・・?」
そう言われて、ルドヴィカはいい笑顔で応えた。
「ああ、アルカンシエル殿は私の従兄弟なんです。彼はヴァルハラ大公家子息ですから協力は当然です」
「「・・・・・・え?」」
領主とギルマスがギョッとした。
「・・・・・・祖父が現王の王弟だ。順位はかなり下だが、王位継承権もある。面倒だから公にしないだけで隠している訳じゃ無いが」
「「・・・・・・」」
カストロもケインも唖然としてしまった。
ケインはアークが貴族家だとは気付いていたが、そんな大層な血筋とは思っていなかった。
一方、領主のカストロも普段は冒険者ギルドとは関わらないようにしていたので寝耳に水の話だった。
「そういうわけで、我らが関わることにはきちんと理由がありますので、お気になさらず。とにかく、そう言う話に決まったので、それ以外の話し合いはよろしくお願いします」
「・・・それ以外とは・・・」
「迷宮の存続の有無とか、管理とか、色々あるでしょう? そういうの話し合って下さい」
そうルドヴィカが締めくくって、ものの5分で作戦会議は終わった。
※ここでの小隊とは、一部隊の隊員50人を25人ずつ2班に分けた魔法騎士団員の隊のことです。人数が増えれば中隊、大隊となります。
893
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
植物チートを持つ俺は王子に捨てられたけど、実は食いしん坊な氷の公爵様に拾われ、胃袋を掴んでとことん溺愛されています
水凪しおん
BL
日本の社畜だった俺、ミナトは過労死した末に異世界の貧乏男爵家の三男に転生した。しかも、なぜか傲慢な第二王子エリアスの婚約者にされてしまう。
「地味で男のくせに可愛らしいだけの役立たず」
王子からそう蔑まれ、冷遇される日々にうんざりした俺は、前世の知識とチート能力【植物育成】を使い、実家の領地を豊かにすることだけを生きがいにしていた。
そんなある日、王宮の夜会で王子から公衆の面前で婚約破棄を叩きつけられる。
絶望する俺の前に現れたのは、この国で最も恐れられる『氷の公爵』アレクシス・フォン・ヴァインベルク。
「王子がご不要というのなら、その方を私が貰い受けよう」
冷たく、しかし力強い声。気づけば俺は、彼の腕の中にいた。
連れてこられた公爵邸での生活は、噂とは大違いの甘すぎる日々の始まりだった。
俺の作る料理を「世界一美味い」と幸せそうに食べ、俺の能力を「素晴らしい」と褒めてくれ、「可愛い、愛らしい」と頭を撫でてくれる公爵様。
彼の不器用だけど真っ直ぐな愛情に、俺の心は次第に絆されていく。
これは、婚約破棄から始まった、不遇な俺が世界一の幸せを手に入れるまでの物語。
婚約破棄で追放された悪役令息の俺、実はオメガだと隠していたら辺境で出会った無骨な傭兵が隣国の皇太子で運命の番でした
水凪しおん
BL
「今この時をもって、貴様との婚約を破棄する!」
公爵令息レオンは、王子アルベルトとその寵愛する聖女リリアによって、身に覚えのない罪で断罪され、全てを奪われた。
婚約、地位、家族からの愛――そして、痩せ衰えた最果ての辺境地へと追放される。
しかし、それは新たな人生の始まりだった。
前世の知識というチート能力を秘めたレオンは、絶望の地を希望の楽園へと変えていく。
そんな彼の前に現れたのは、ミステリアスな傭兵カイ。
共に困難を乗り越えるうち、二人の間には強い絆が芽生え始める。
だがレオンには、誰にも言えない秘密があった。
彼は、この世界で蔑まれる存在――「オメガ」なのだ。
一方、レオンを追放した王国は、彼の不在によって崩壊の一途を辿っていた。
これは、どん底から這い上がる悪役令息が、運命の番と出会い、真実の愛と幸福を手に入れるまでの物語。
痛快な逆転劇と、とろけるほど甘い溺愛が織りなす、異世界やり直しロマンス!
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。