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番外編
銀狼のミるユメ
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銀狼は夢を見ていた。昔懐かしい夢だ。
「あなたの目は青空の色なのね。古代の言葉でルフトゥと言うらしいわ。だからそう呼んでもいいかしら?」
初対面の幼い少女は、自分を見るなり勝手にあだ名をつけてきた。
当代唯一の王女で、光の聖女になる可能性のある少女。彼女はまだ10歳になったばかりだった。
ルフトゥと呼ばれた銀狼の青年は、そんな小さな少女をジロリと見下ろした。通常、人間以外の種族は許しを受けない限り、名を呼ぶ事は無い。あだ名をつける行為は、下手したら相手を縛る行為。
一言で言って無礼な事だった。
だが、目の前の少女はキラキラした純粋な視線を向けて来ていた。そして、あなたの目はとてもキレイね!と興奮していた。
それがとても…面白かった。
「フッ、好きにしろ」
それが東の銀狼の青年。後に聖獣と呼ばれるルフトゥと光の聖女の出会い。
◇◇◇
グルル
獣の呻き声が聞こえ、銀狼はうっすら目を開けた。
ここは東の銀狼の洞。薄暗い巣の一つで彼は寝ていた。
ヨロヨロと呻き声のした方に、力の入らない四つ足で向かう。
洞の広間にあたる場所で、再びその呻き声が聞こえた。
「ガ…ソ…ル」
うまく声が出ない。銀狼の声に、ガソルと呼ばれた獣はこちらを見た。その目は真っ黒に濁っていた。艶やかな筈の銀の毛並みも、汚れ薄黒くなっている。
あぁ…とうとう、ガソルも闇堕ちしてしまった。
それがまた銀狼の心を蝕む。
聖女と勇者が消え、魔王の支配下になった世界は少しずつ瘴気に蝕まれた。初めに魔王が現れた北の地が。次に女神の加護が消えた人間の土地が。恐らく西ももう駄目だろう。
東の土地は聖獣と呼ばれた彼が、長い間聖気を張り守り続けていたがー。
彼の番が寿命で死んだ頃から、少しずつ、彼の聖気は衰え始めた。正確に言えば、それまでかろうじて保っていた気力が弱まり始めたのだ。
その後は、少しずつ東の森にも瘴気が入り始め、弱い動物が数を減らし、銀狼達の闇堕ちも始まった。
かつて自分を相棒と呼んだ聖女はもういない。
魔王を封印できる者はいない。
だけどー。
もしいつか、再び聖女が現れたら今度こそ守り抜く。今ではその決意だけが彼を支えていた。
ヨロヨロと銀狼は水場に向かった。近頃では水も食事も喉を通らなくなった。生きるにはせめて水だけでも口にしなければ。
水に顔を近づけた銀狼は動きを止めた。
そこには薄黒い毛並みに、目が濁ったケモノが映っていた。
「目ガ…」
トウトウ、オレもヤミ堕ちガー。
◇◇◇
クンクン。
懐かしい匂いにその魔獣は鼻を動かした。
イイ…ニオイ
遥か昔に理性も意識も無くした筈の魔獣は、久しぶり嗅ぐその匂いに反応した。
それは本能だった。闇堕ちした魔獣の魂に刻まれた匂いが彼を呼んでる様だった。
匂いの元は木の下。
魔獣が休んでいた木の下に人影が見えた。
そして、魔獣は運命に巡り合うー。
「あなたの目は青空の色なのね。古代の言葉でルフトゥと言うらしいわ。だからそう呼んでもいいかしら?」
初対面の幼い少女は、自分を見るなり勝手にあだ名をつけてきた。
当代唯一の王女で、光の聖女になる可能性のある少女。彼女はまだ10歳になったばかりだった。
ルフトゥと呼ばれた銀狼の青年は、そんな小さな少女をジロリと見下ろした。通常、人間以外の種族は許しを受けない限り、名を呼ぶ事は無い。あだ名をつける行為は、下手したら相手を縛る行為。
一言で言って無礼な事だった。
だが、目の前の少女はキラキラした純粋な視線を向けて来ていた。そして、あなたの目はとてもキレイね!と興奮していた。
それがとても…面白かった。
「フッ、好きにしろ」
それが東の銀狼の青年。後に聖獣と呼ばれるルフトゥと光の聖女の出会い。
◇◇◇
グルル
獣の呻き声が聞こえ、銀狼はうっすら目を開けた。
ここは東の銀狼の洞。薄暗い巣の一つで彼は寝ていた。
ヨロヨロと呻き声のした方に、力の入らない四つ足で向かう。
洞の広間にあたる場所で、再びその呻き声が聞こえた。
「ガ…ソ…ル」
うまく声が出ない。銀狼の声に、ガソルと呼ばれた獣はこちらを見た。その目は真っ黒に濁っていた。艶やかな筈の銀の毛並みも、汚れ薄黒くなっている。
あぁ…とうとう、ガソルも闇堕ちしてしまった。
それがまた銀狼の心を蝕む。
聖女と勇者が消え、魔王の支配下になった世界は少しずつ瘴気に蝕まれた。初めに魔王が現れた北の地が。次に女神の加護が消えた人間の土地が。恐らく西ももう駄目だろう。
東の土地は聖獣と呼ばれた彼が、長い間聖気を張り守り続けていたがー。
彼の番が寿命で死んだ頃から、少しずつ、彼の聖気は衰え始めた。正確に言えば、それまでかろうじて保っていた気力が弱まり始めたのだ。
その後は、少しずつ東の森にも瘴気が入り始め、弱い動物が数を減らし、銀狼達の闇堕ちも始まった。
かつて自分を相棒と呼んだ聖女はもういない。
魔王を封印できる者はいない。
だけどー。
もしいつか、再び聖女が現れたら今度こそ守り抜く。今ではその決意だけが彼を支えていた。
ヨロヨロと銀狼は水場に向かった。近頃では水も食事も喉を通らなくなった。生きるにはせめて水だけでも口にしなければ。
水に顔を近づけた銀狼は動きを止めた。
そこには薄黒い毛並みに、目が濁ったケモノが映っていた。
「目ガ…」
トウトウ、オレもヤミ堕ちガー。
◇◇◇
クンクン。
懐かしい匂いにその魔獣は鼻を動かした。
イイ…ニオイ
遥か昔に理性も意識も無くした筈の魔獣は、久しぶり嗅ぐその匂いに反応した。
それは本能だった。闇堕ちした魔獣の魂に刻まれた匂いが彼を呼んでる様だった。
匂いの元は木の下。
魔獣が休んでいた木の下に人影が見えた。
そして、魔獣は運命に巡り合うー。
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