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最終章 運命を創る者
エピローグ2
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「ルースさん。俺が向こうに戻ったら、王女と同化しないといけないですか?」
その日。学校に迎えに来てくれたルースと一緒に帰宅した太陽は、食事中にずっと気になっていた事を尋ねた。
ルースが夕食を食べていた手を止めて、太陽を見た。
「強制じゃないよ。どのみち妖精王は彼女の時を止めたから彼女は死なない」
「そうですか。もし同化しても、もう俺はルースさんの伴侶だから妖精王の求愛を断れますよね?」
「…分からない」
ルースが手にした箸を置いて顔を伏せた。
「君はもちろん僕の伴侶だ。だけど同時に唯一金の力を受け継ぐ者になる」
「どういう事ですか?」
「金の者は存在するだけで周囲を浄化する。つまり、世界で最も高貴な存在になる。それをエルフ族だけで囲うのを納得しない者が現れるかもしれない」
「……」
どういう意味か分からない。いや、分かりたく無かった。
「空や悪男みたいに従属で一緒にいるのは…」
「それは…多分大丈夫だよ。時々、2人の出身の東と西を訪れれば」
ようは1つの種族だけ贔屓するのが良くないという事ー。
「ルースさん。もし…」
「何?」
静かにルースは太陽を見つめた。
「もし俺が戻らない選択をしたら…どうしますか?」
「どうもしないよ。僕は君の側にいる」
ルースが微笑んだ。そこに迷いは無かった。
「向こうに戻らないかもしれない。初めからそのつもりでココに来たんだ」
「…ありがとうございます。これからどうしたいかよく考えて決めます」
それから数ヶ月後。太陽は無事に高校を卒業した。
親戚や友人達には、知り合いと一緒に海外へ行くと伝えてある。アパートの退去手続きも終わった。
今日太陽はルースと共に旅立つ。
それを報告する為、今日はルースと2人。太陽の両親の墓参りにやって来ていた。
ちょっと待ってて、とルースがどこかに行ってしまったので、太陽は先に準備した花を飾って手を合わせていた。
「お待たせ」
戻って来たルースが墓の前に花を添えた。
「この花…」
見覚えのある花々だった。
毎年、両親の墓参りに来るたび添えられていた花だったからだ。
「…毎年、来てくれてたんですか?」
「君の両親だからね」
「…ありがとうございます」
思わず涙が溢れた。
ずっと誰が添えてるのか分からず、知らない誰かに感謝していた。自分以外に唯一、足を運んでくれていたから。
「ルースさん、愛してます~」
えぐえぐと泣き始めた太陽に、ルースが焦り出す。
「どうしたの?」
ルースは太陽を胸に引き寄せた。泣き止む様子の無い伴侶を、ルースがぽんぽんと優しく背中を叩いた。
「また一緒に来よう」
「また…来れますか?」
「きっと」
ザッと風が吹いた。周囲に咲いていた桜が一斉に花吹雪で景色を桃色に染めた。
その美しい光景を、きっと太陽は生涯忘れないだろう。
「行こうか?」
「はい」
ルースが太陽の手を引いて歩き出す。
太陽の心ももう決まっていた。
この世界でも、向こうの世界でも。
きっと2人なら一緒に歩いて行ける。
自分の選んだ未来へ太陽は伴侶と共に歩き出した。
壊された女神の箱庭 ー姫と呼ばれていきなり異世界に連れ去られましたー 完
ーーー
以上で物語は完結です。
2人はこの世界に残ったのか。
それとも異世界トワに帰ったのか。
読んで頂いた方の想像にお任せしたいと思い、あえてこういう形で終わらせました。
もし2人がこの世界に残ったなら。
寿命が尽きるまで、2人は仲良くこの世界を転々とするでしょう。
もし異世界トワに戻ったなら。
みんなで異世界の自然と戦いつつ、ハーレムルート突入かな?
……。
……ハーレムルート!?
作者もその後が気になりますが、続編はまだ未定です。妄想が膨らめば書くかもしれませんが、とりあえずは一旦ここで終わりたいと思います。
ここまでお読み頂き、本当にありがとうございました。
★お知らせ★
① 『銀狼のミるユメ』
銀狼の空が、太陽に会う前のお話です。
番外編で、この次に投稿されてます。
② 『婚約破棄される悪役令嬢ですが実はワタクシ…男なんだわ』
次回作で夏頃に連載開始予定です。
悪役令嬢が実は男のBLもの。
本日プロローグ公開しました。
もし気に入って頂けたら、お気に入り登録してもらえたら嬉しいです。
ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。
その日。学校に迎えに来てくれたルースと一緒に帰宅した太陽は、食事中にずっと気になっていた事を尋ねた。
ルースが夕食を食べていた手を止めて、太陽を見た。
「強制じゃないよ。どのみち妖精王は彼女の時を止めたから彼女は死なない」
「そうですか。もし同化しても、もう俺はルースさんの伴侶だから妖精王の求愛を断れますよね?」
「…分からない」
ルースが手にした箸を置いて顔を伏せた。
「君はもちろん僕の伴侶だ。だけど同時に唯一金の力を受け継ぐ者になる」
「どういう事ですか?」
「金の者は存在するだけで周囲を浄化する。つまり、世界で最も高貴な存在になる。それをエルフ族だけで囲うのを納得しない者が現れるかもしれない」
「……」
どういう意味か分からない。いや、分かりたく無かった。
「空や悪男みたいに従属で一緒にいるのは…」
「それは…多分大丈夫だよ。時々、2人の出身の東と西を訪れれば」
ようは1つの種族だけ贔屓するのが良くないという事ー。
「ルースさん。もし…」
「何?」
静かにルースは太陽を見つめた。
「もし俺が戻らない選択をしたら…どうしますか?」
「どうもしないよ。僕は君の側にいる」
ルースが微笑んだ。そこに迷いは無かった。
「向こうに戻らないかもしれない。初めからそのつもりでココに来たんだ」
「…ありがとうございます。これからどうしたいかよく考えて決めます」
それから数ヶ月後。太陽は無事に高校を卒業した。
親戚や友人達には、知り合いと一緒に海外へ行くと伝えてある。アパートの退去手続きも終わった。
今日太陽はルースと共に旅立つ。
それを報告する為、今日はルースと2人。太陽の両親の墓参りにやって来ていた。
ちょっと待ってて、とルースがどこかに行ってしまったので、太陽は先に準備した花を飾って手を合わせていた。
「お待たせ」
戻って来たルースが墓の前に花を添えた。
「この花…」
見覚えのある花々だった。
毎年、両親の墓参りに来るたび添えられていた花だったからだ。
「…毎年、来てくれてたんですか?」
「君の両親だからね」
「…ありがとうございます」
思わず涙が溢れた。
ずっと誰が添えてるのか分からず、知らない誰かに感謝していた。自分以外に唯一、足を運んでくれていたから。
「ルースさん、愛してます~」
えぐえぐと泣き始めた太陽に、ルースが焦り出す。
「どうしたの?」
ルースは太陽を胸に引き寄せた。泣き止む様子の無い伴侶を、ルースがぽんぽんと優しく背中を叩いた。
「また一緒に来よう」
「また…来れますか?」
「きっと」
ザッと風が吹いた。周囲に咲いていた桜が一斉に花吹雪で景色を桃色に染めた。
その美しい光景を、きっと太陽は生涯忘れないだろう。
「行こうか?」
「はい」
ルースが太陽の手を引いて歩き出す。
太陽の心ももう決まっていた。
この世界でも、向こうの世界でも。
きっと2人なら一緒に歩いて行ける。
自分の選んだ未来へ太陽は伴侶と共に歩き出した。
壊された女神の箱庭 ー姫と呼ばれていきなり異世界に連れ去られましたー 完
ーーー
以上で物語は完結です。
2人はこの世界に残ったのか。
それとも異世界トワに帰ったのか。
読んで頂いた方の想像にお任せしたいと思い、あえてこういう形で終わらせました。
もし2人がこの世界に残ったなら。
寿命が尽きるまで、2人は仲良くこの世界を転々とするでしょう。
もし異世界トワに戻ったなら。
みんなで異世界の自然と戦いつつ、ハーレムルート突入かな?
……。
……ハーレムルート!?
作者もその後が気になりますが、続編はまだ未定です。妄想が膨らめば書くかもしれませんが、とりあえずは一旦ここで終わりたいと思います。
ここまでお読み頂き、本当にありがとうございました。
★お知らせ★
① 『銀狼のミるユメ』
銀狼の空が、太陽に会う前のお話です。
番外編で、この次に投稿されてます。
② 『婚約破棄される悪役令嬢ですが実はワタクシ…男なんだわ』
次回作で夏頃に連載開始予定です。
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ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。
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