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三人目の元婚約者は、隣国の王弟殿下
第53話
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(まあ、熱い視線ね。夫が傍にいると言うのに)
クリスティーナは微笑んだ表情を保ちながら、ユメノを観察していた。
そんな女同士のやり取りに気が付かない国王が話を続ける。
「殿下、愚弟の不始末により婚約破棄を余儀なくさせてしまったこと、改めてお詫び申し上げます」
「よいのですよ、陛下。あの時、十分に謝罪をいただきました。帝国としてもすでに終わった話ですわ」
「ですが、先ほども愚弟に話しかけられていたようですが」
「陛下がお気づきになられたので、事なきを得ましたわ」
「間に合って良かったですよ。では改めて。この度のご婚約おめでとうございます」
「陛下、ありがとうございます」
「私からも。皇女殿下、おめでとうございます」
「ありがとうございます、王妃陛下」
「もう何度目か存じ上げませんが、引く手あまたで羨ましいですわ」
国王よりも一歩前へ出たユメノは、悩まし気に眉をひそめて、ほぉと息を吐いた。
きたわね、とクリスティーナはあえて計算されつくした美しい笑みを浮かべた。
「皇女という立場がそうさせるだけですわ。お望みであれば、代わって差し上げたいくらい。今回の婚約者は臣下にあたる者ですの。ご挨拶して差し上げて」
クリスティーナが目配せをすると、シキが国王と王妃に向き合い、にっこりと微笑んだ。
「国王陛下、王妃陛下。この度クリスティーナ殿下の婚約者となりました、帝国軍所属シキ・ザートツェントルでございます。以後、お見知りおきを」
端正な顔立ちのシキに微笑まれたユメノが頬を染め、シキに見惚れたのが分かった。
パーティーのために正装したシキは、その男ぶりが上がっている。
シキさま……、とユメノが酔ったようにぽつりと呟いた。
カエデが言っていた通り、彼女は本当に恋情を持っていたのだろう。
「あら、王妃陛下は彼とは遠縁にあたるから十二分にご存知だったかしら? 代わって差し上げたいけど、もう王妃という立場でいらっしゃるから夢物語ですわね」
ふふ、とクリスティーナが口の端を上げれば、ユメノがキッと強く睨みつけてきた。
しかし、すぐに眉根を寄せて悩まし気な表情を作ったユメノは、シキと視線を合わせた。
「シキさまのお立場も大変ですわね。最高位からの打診では断り切れなかったでしょうし」
「いいえ。手の届かない方だと思っていた、長年の想い人である皇女殿下が私のもとへ来てくださったのです。奇跡と言わずなんと言いましょうか」
ぐっと腰を引き寄せられたクリスティーナがふと顔を上げると、シキがにこにこしながらまぶたに口づけを落とした。
ぎょっとしたのは不意打ちだったクリスティーナだけでない。
ユメノも目を見開いている。
「ああ、申し訳ございません。陛下の御前だというのに……」
悪びれもせず、全くもって謝罪の気持ちが含まれていない言葉だ。
ユメノが悔しそうに己の手をぐっと強く握った。
クリスティーナは微笑んだ表情を保ちながら、ユメノを観察していた。
そんな女同士のやり取りに気が付かない国王が話を続ける。
「殿下、愚弟の不始末により婚約破棄を余儀なくさせてしまったこと、改めてお詫び申し上げます」
「よいのですよ、陛下。あの時、十分に謝罪をいただきました。帝国としてもすでに終わった話ですわ」
「ですが、先ほども愚弟に話しかけられていたようですが」
「陛下がお気づきになられたので、事なきを得ましたわ」
「間に合って良かったですよ。では改めて。この度のご婚約おめでとうございます」
「陛下、ありがとうございます」
「私からも。皇女殿下、おめでとうございます」
「ありがとうございます、王妃陛下」
「もう何度目か存じ上げませんが、引く手あまたで羨ましいですわ」
国王よりも一歩前へ出たユメノは、悩まし気に眉をひそめて、ほぉと息を吐いた。
きたわね、とクリスティーナはあえて計算されつくした美しい笑みを浮かべた。
「皇女という立場がそうさせるだけですわ。お望みであれば、代わって差し上げたいくらい。今回の婚約者は臣下にあたる者ですの。ご挨拶して差し上げて」
クリスティーナが目配せをすると、シキが国王と王妃に向き合い、にっこりと微笑んだ。
「国王陛下、王妃陛下。この度クリスティーナ殿下の婚約者となりました、帝国軍所属シキ・ザートツェントルでございます。以後、お見知りおきを」
端正な顔立ちのシキに微笑まれたユメノが頬を染め、シキに見惚れたのが分かった。
パーティーのために正装したシキは、その男ぶりが上がっている。
シキさま……、とユメノが酔ったようにぽつりと呟いた。
カエデが言っていた通り、彼女は本当に恋情を持っていたのだろう。
「あら、王妃陛下は彼とは遠縁にあたるから十二分にご存知だったかしら? 代わって差し上げたいけど、もう王妃という立場でいらっしゃるから夢物語ですわね」
ふふ、とクリスティーナが口の端を上げれば、ユメノがキッと強く睨みつけてきた。
しかし、すぐに眉根を寄せて悩まし気な表情を作ったユメノは、シキと視線を合わせた。
「シキさまのお立場も大変ですわね。最高位からの打診では断り切れなかったでしょうし」
「いいえ。手の届かない方だと思っていた、長年の想い人である皇女殿下が私のもとへ来てくださったのです。奇跡と言わずなんと言いましょうか」
ぐっと腰を引き寄せられたクリスティーナがふと顔を上げると、シキがにこにこしながらまぶたに口づけを落とした。
ぎょっとしたのは不意打ちだったクリスティーナだけでない。
ユメノも目を見開いている。
「ああ、申し訳ございません。陛下の御前だというのに……」
悪びれもせず、全くもって謝罪の気持ちが含まれていない言葉だ。
ユメノが悔しそうに己の手をぐっと強く握った。
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