高坂くんは不幸だらけ

甘露煮ざらめ

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プロローグ

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 高坂順平のとある日の日記(小学校一年生編)

 きょうは、おとーさんとおかーさんとデパートへお買いものに行きました。
 おもちゃを買ってくれるおやくそくだったから、おとーさんがおもちゃがいっぱいあるところへつれて行ってくれました。
 ぼくはおともだちが持っていたゲームソフトがほしかったけど、うりきれ、でした。
 でも、くじ引きをして、あかのたまが出ればそのゲームがもらえるみたいでした。
 おとーさん、おかーさんとくじ引きをしました。おとーさんはあおのたまで、五とうのぬいぐるみ。おかーさんはきいろのたまで、四とうのおっきなぬいぐるみでした。
 おもちゃ屋さんのきれいなおねーさんが、ぼくに、このガラガラを回してね、っておしえてくれたので、回してみました。
 でも、たまは出ませんでした。
 なんかい回しても出ませんでした。おとーさんがかわりに回してくれたら出たから、ぼくの時だけこわれてたのかな?

 高坂順平のとある日の日記(中学校三年生編)

 今日は父さんと母さんと久しぶりの家族旅行。普段は仕事が忙しい父さんだけど珍しく休みが取れて、両親は年甲斐もなくはしゃいでいる。
 二週間前から観光の順番、食事の内容に至るまでばっちり計画していただけあって、朝から順調に進んでいく。父さんの運転も軽快だ。
 いよいよ旅のメインである展望台に到着。ここから一望できる景色は綺麗だそう。
 まずはエレベーターで上を目指す。父さん、母さん、俺の順で乗ると、俺が足を踏み入れた途端にビーッと警告音。人が結構乗っていたから重量オーバーらしい。
 幸い隣にもエレベーターがあったから俺だけ降りて乗り換え。すると、嬉しいことに俺以外いないではないか。快適だなと思いながらドアを閉め、一番上のボタンを押した。それを合図にエレベーターはゆっくりと動きだし――
 止まった。
 ついでに灯りまで消えた。見事なまでに真っ暗だった。
 しばらくすれば動くだろうと待っていると……復旧したのは、なんと一時間後。故障の原因は不明だった。
 ちなみにエレベーターが止まらなかったら、俺は1000万人目の入場者となっていて豪華な記念品をもらえていたらしい。


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