相方に冒険者パーティー解消したいと言ったらブチ切れられた

人生1919回血迷った人

文字の大きさ
上 下
10 / 25

第十話

しおりを挟む
 ウィードの言葉にハルサックは、戸惑いを隠せなかった。
 一度腕を離し、ウィードと向き直る。

「え、いや、俺は、お前が……好きっ、好きだ! だ、だ、だからッ! おもちゃとか、そんなことは、思っていない!」

 言葉が尻すぼみになったが、ハルサックは一生懸命弁解をした。
 しかし、ウィードの気持ちは変わらない。

 ────気持ち悪い。

「へぇー、僕のことが好きなんだぁ」
「ウィード……?」

 ハルサックがこちらに手を伸ばしてくるので、ウィードはそれをひらりとかわす。

「それで……?」

 ハルサックを見つめる瞳には、感情が篭っていなかった。

「好きだから、なんだって?」

 ああ、嫌な記憶が蘇る。

 幼少期の……。
 まだ、家にいた頃の……。
 そんな記憶が……。

 ねぇ、君は言ってくれたよね?

『好きだなんだ口では言いながら、お前に酷いことをする奴らの言うことなんて聞かなくていい!』

 ねぇ、言ってたよね?

『あいつらは、好きって言う言葉を使って、自分が正しいことをしてるって思いたいだけなんだよ! そこに、愛なんてねぇ!!!』

 そう言って、僕を外に連れ出したよね?

 なのにさ、なんで君がそっち側にいるの?



 ーーねぇ、なんでなのさ?



 ウィードは、黙るハルサックを見つめた。そしてーー

「好きという言葉を理由にすれば、僕に何やっても許されると思ってたんだ?」

 ああ、言葉が止まらない。
 止められない。

「いつもいつも知らない奴引き連れて、僕を置いていって! 僕が傷つかないとは思ってなかったよね?」

 でも、止まってくれ。
 ハルサックを傷つけたいわけじゃない。
 ただ、穏便に別れたいだけなんだ。

「それでも、傷つけても、僕のこと愛してるから、人間扱いしてやってるって?」

 僕の口、止まってくれ。
 それ以上は言い過ぎだ。

「ハルサックには失望したよ。こんなのーー」

 それだけは、言っちゃダメだ。

『僕の両親と同じじゃないか』
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

いくら気に入っているとしても、人はモノに恋心を抱かない

もにゃじろう
BL
一度オナホ認定されてしまった俺が、恋人に昇進できる可能性はあるか、その答えはノーだ。

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話

屑籠
BL
 サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。  彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。  そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。  さらっと読めるようなそんな感じの短編です。

シャルルは死んだ

ふじの
BL
地方都市で理髪店を営むジルには、秘密がある。実はかつてはシャルルという名前で、傲慢な貴族だったのだ。しかし婚約者であった第二王子のファビアン殿下に嫌われていると知り、身を引いて王都を四年前に去っていた。そんなある日、店の買い出しで出かけた先でファビアン殿下と再会し──。

悪役のはずだった二人の十年間

海野璃音
BL
 第三王子の誕生会に呼ばれた主人公。そこで自分が悪役モブであることに気づく。そして、目の前に居る第三王子がラスボス系な悪役である事も。  破滅はいやだと謙虚に生きる主人公とそんな主人公に執着する第三王子の十年間。  ※ムーンライトノベルズにも投稿しています。

お客様と商品

あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)

【BL】SNSで出会ったイケメンに捕まるまで

久遠院 純
BL
タイトル通りの内容です。 自称平凡モブ顔の主人公が、イケメンに捕まるまでのお話。 他サイトでも公開しています。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

追放系治癒術師は今日も無能

リラックス@ピロー
BL
「エディ、お前もうパーティ抜けろ」ある夜、幼馴染でパーティを組むイーノックは唐突にそう言った。剣術に優れているわけでも、秀でた魔術が使える訳でもない。治癒術師を名乗っているが、それも実力が伴わない半人前。完全にパーティのお荷物。そんな俺では共に旅が出来るわけも無く。 追放されたその日から、俺の生活は一変した。しかし一人街に降りた先で出会ったのは、かつて俺とイーノックがパーティを組むきっかけとなった冒険者、グレアムだった。

処理中です...