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第十二話
第12話 12
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「ハゲ…いや、サイか。
お前がここにいたのは、見学者だと聞いていたが…。」
「あまり思い返したくなくてさ…。
ベルにはバレたけど、乗り切れるまで…まって欲しいと言ってた。
いつか、俺自身の口から言うために。
…簡単な話さ。
獣に攻め込まれて対処が上手くやれていない時、肉親を失った子供とかも少なくなかった。
俺もそのうちの1人だ。
そうなると、国が保護しようとする。
といっても、それ自体も限界があるのは皆も知っているだろう?
国は…そこで、その孤児院から…健康かつ肉体や身体能力が比較的高い孤児を選別し…“志願”という形で研究員に送った。
別に、漫画とかで行うキメラみたいな明らかな複合実験や明らかにヤバイ実験はせずに…ある実験をしていた。
それが、薬物投与で簡単に実験できた“獣人化”。
数ある仲間たちは死んでいったが…唯一俺だけが生き残ったんだ。」
サイは、そう言いながらキーウェポンを収納する。
すると、今度は研究所の奥の方からパチパチと音がする。
「ふふふ、なるほど。
わかりやすくて助かるわ。」
姿を見せたのは、サイやシオと同じくらいの少女だった。
暗めのピンク髪をした青瞳の少女。
アイクとシオとサイ以外は知っている。
「…確か、ナナだったか?」
「そうだよ。
こうして話すのは初めてだし…一応、ハジメマシテ。」
楽しそうにクスクスと笑う少女“ナナ”。
笑うと心を奪われてしまうような美人の筈だが、何故か…恐ろしかった。
反射的に全員の足がほんの少しだけ下がる。
意識しなければ、気づかないような些細な事を見つけたナナは、満足そうに頷く。
「それで正解だよ人間。
私達は、君達の味方ではないし…獣人の味方でもない。
強いて言うなら、どちらとも敵。」
ナナは、そう言うとキーウェポンを取り出した。
アイクは、それに見覚えがある。
しかも思わず声が出る程に。
「それは、未完のキーウェポン!
カナのキーウェポンと同様に二本を共鳴し合いながら使うのようにした物だ。
ホープは確かに使えるが…一本しか完成してないから、どんなに対価を払おうと出力は雀の涙位にしか出ない筈。」
「…普通の人達は…ね?」
“技の0段”
ナナは、意味深な事を言うとバリバリと赤い雷を両手で握ったキーウェポンから放出する。
赤い雷が静まると、分裂する様にキーウエポンが離れていきナナの両手にはそれぞれ一本ずつキーウェポンが握られていた。
右手には未完と呼ばれたキーウェポン。
左手には、そのキーウェポンと瓜二つの真っ黒なキーウェポン。
驚くアイクの顔を満足そうに見たナナは、右手のキーウエポンを肩にかけて口を開く。
「どう?
かなり無理矢理になっちゃったけど…これで完成でいいわよね?」
“技の1段”
ナナは、二本のキーウエポンを銃形態にすると炎の玉を飛ばす。
右側のキーウエポンはアイク側に、左側のキーウエポンはB.K側に。
二人は、それを簡単に防ぐ。
「加減してるのか?」
「ソの通りだ。」
土煙が晴れると、腕を振り下ろす寸前のベレアスがいた。
既に竜のような姿をしている。
「動け、インフィニティ!」
B.Kは、咄嗟にインフィニティを起動。
“技の1段 カグヅチ”
連続で放たれる火の玉で、B.Kは無理矢理ベレアスを自分たちとは逆の方に飛ばして行く。
お前がここにいたのは、見学者だと聞いていたが…。」
「あまり思い返したくなくてさ…。
ベルにはバレたけど、乗り切れるまで…まって欲しいと言ってた。
いつか、俺自身の口から言うために。
…簡単な話さ。
獣に攻め込まれて対処が上手くやれていない時、肉親を失った子供とかも少なくなかった。
俺もそのうちの1人だ。
そうなると、国が保護しようとする。
といっても、それ自体も限界があるのは皆も知っているだろう?
国は…そこで、その孤児院から…健康かつ肉体や身体能力が比較的高い孤児を選別し…“志願”という形で研究員に送った。
別に、漫画とかで行うキメラみたいな明らかな複合実験や明らかにヤバイ実験はせずに…ある実験をしていた。
それが、薬物投与で簡単に実験できた“獣人化”。
数ある仲間たちは死んでいったが…唯一俺だけが生き残ったんだ。」
サイは、そう言いながらキーウェポンを収納する。
すると、今度は研究所の奥の方からパチパチと音がする。
「ふふふ、なるほど。
わかりやすくて助かるわ。」
姿を見せたのは、サイやシオと同じくらいの少女だった。
暗めのピンク髪をした青瞳の少女。
アイクとシオとサイ以外は知っている。
「…確か、ナナだったか?」
「そうだよ。
こうして話すのは初めてだし…一応、ハジメマシテ。」
楽しそうにクスクスと笑う少女“ナナ”。
笑うと心を奪われてしまうような美人の筈だが、何故か…恐ろしかった。
反射的に全員の足がほんの少しだけ下がる。
意識しなければ、気づかないような些細な事を見つけたナナは、満足そうに頷く。
「それで正解だよ人間。
私達は、君達の味方ではないし…獣人の味方でもない。
強いて言うなら、どちらとも敵。」
ナナは、そう言うとキーウェポンを取り出した。
アイクは、それに見覚えがある。
しかも思わず声が出る程に。
「それは、未完のキーウェポン!
カナのキーウェポンと同様に二本を共鳴し合いながら使うのようにした物だ。
ホープは確かに使えるが…一本しか完成してないから、どんなに対価を払おうと出力は雀の涙位にしか出ない筈。」
「…普通の人達は…ね?」
“技の0段”
ナナは、意味深な事を言うとバリバリと赤い雷を両手で握ったキーウェポンから放出する。
赤い雷が静まると、分裂する様にキーウエポンが離れていきナナの両手にはそれぞれ一本ずつキーウェポンが握られていた。
右手には未完と呼ばれたキーウェポン。
左手には、そのキーウェポンと瓜二つの真っ黒なキーウェポン。
驚くアイクの顔を満足そうに見たナナは、右手のキーウエポンを肩にかけて口を開く。
「どう?
かなり無理矢理になっちゃったけど…これで完成でいいわよね?」
“技の1段”
ナナは、二本のキーウエポンを銃形態にすると炎の玉を飛ばす。
右側のキーウエポンはアイク側に、左側のキーウエポンはB.K側に。
二人は、それを簡単に防ぐ。
「加減してるのか?」
「ソの通りだ。」
土煙が晴れると、腕を振り下ろす寸前のベレアスがいた。
既に竜のような姿をしている。
「動け、インフィニティ!」
B.Kは、咄嗟にインフィニティを起動。
“技の1段 カグヅチ”
連続で放たれる火の玉で、B.Kは無理矢理ベレアスを自分たちとは逆の方に飛ばして行く。
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