Nora First Edition

鷹美

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第十二話

第12話 11

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「…おい、ぼさっとしている場合じゃないゾ。」



サイの声が聞こえたと思ったら、緑色の雷と共に光のドームを破るようにブルーマに突進していく。

姿は、カナやブルーマ達とは違い完全に獣人になっている。
ただ、普通の獣人とは違って従来の獣のように爪や鋭い牙が発達しており何よりイヌ科ではなくネコ科だった。

二足歩行ができるチーターのような風貌の獣人。
それが、サイの獣人化した姿のようだ。


サイの爪がブルーマに向かって伸びていく。
ブルーマは、それをとっさにキーウェポンで受け止めると凄い勢いで押されていった。



「悪いな。
俺は、体を使ってないんだ。」



“体の10段”


ブルーマがベルのキーウェポンから放たれた雷を纏い肉体を強化する。


すると、ブルーマの足元が大きく割れてピタッと二人は停止した。




「ベルの時は殺さないように加減をしたが…お前も獣の端くれなんだロ?

殺す気でお前を止めてやル!」


サイは、そう言うとブルーマの持っているキーウェポンを両手で握り思い切り天井に向けて投げ飛ばした。
サイは、直ぐに壁を蹴って移動してブルーマを追撃する。



「覚悟しとけヨ。
俺は、お前達と違って空中戦が得意なんダ。」



ヒットアンドアウェイ。
サイは、壁を蹴って移動しながら空中にいるブルーマを攻撃している。

全く動けない訳ではないが、動きが空中で制限されてしまっているために防戦一方だった。


そして、サイは地面に叩きつけるようにブルーマに思い切りかかと落としをする。
ブルーマは、それも上手く受け止めはしたがそのまま地面に叩きつけられた。



「…ってぇナ。
だけど、キーウェポンを持っていない今のお前はホープを使えなイ。
そんな状態で俺を…。」

「ダからどうした?
ソのための俺達だ?」


ブルーマがそう言おうとすると、エグザスが頬に紋章を浮かべてキーウェポンを振りかぶっていた。



ブルーマは、咄嗟に転移してエグザスの攻撃を避ける。



「ソれだ。
何故、さっきも転移を使わなかった?

転移をしていたら、簡単にハゲの攻撃を避けれただろうに。」


「悪いが、残留思念があるのか体の自由が効かないときがあってねェ。
まぁ、ハンデだよハンデ。」



ブルーマは、そういうとエグザスは嬉しそうに微笑む。
ブルーマは、それの意味が分からないようで首を傾げて呆れたような声をあげる。



「なんだよ、いきなり笑っテ。
そんな小さな隙があるのが嬉しいのカ?」

「…アぁ、嬉しいさ。
残留思念だかなんだか知らんが、ベルも戦っている事が分かったからな。」


ブルーマは、めんどくそうに頭を掻いて辺りを見る。
気がつくと、ノラのメンバーが周りを囲んでいた。



厄介厄介。
それだけを呟くと、ブルーマは転移をしてこの場を去って行く。


ブルーマの気配が完全に無くなると、全員は構えをといた。
そして、サイも光に包まれて元の姿に戻る。

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