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第四章 ケーキと優しさ、いただきます
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マコトのデバイスの画面に表示されている『二十六』という数字を見て、ゴンタは見開いた真ん丸の目をぱちくりさせた。
「……すみません。すごくおいしいケーキなのに、ボクたちではこれが精一杯でした」
がっくりと肩を落とすマコトの横で、ミサキもフグのように頬をふくらませている。
「そ、そんなに落ち込まないでください! 顔を上げて、ほっぺたもぷしゅってしてくださいっ!」と、二人を励ましてから「本当に二十六も予約が取れちゃったんですか? こんな短時間で? 私のケーキが?」と、ゴンタは念を押してくる。
「なんですか? 嘘だって疑ってるんですか?」
「いい意味でですよ!? すごいなって、びっくりしてるんですよっ!」
完全に拗ねているミサキの台詞に、ゴンタは慌てて首を振る。その表情は少しうれしそうにも見えたので、マコトはひとまずホッとした。
約束の時間を迎えても、目標の数には届かなかった。店に入ってきたマコトとミサキが、あからさまに落ち込んでいる様子を目にして、ゴンタはすぐに結果を察したようだった。嘲笑うことも責めることもせず、それどころか優しい笑顔と温かいコーヒーで迎えてくれた。それを思い出して、マコトはますます申し訳なくなってしまう。
「試食用のケーキまで用意していただいたのに、本当にすみませ――」
「ゴンタ」
マコトの言葉を、タイシの呼びかけが叩き潰す。ユウやエリヤとともに遅れて店に入って来た彼は、眼鏡が曇っていることも気にせずに続けた。
「お前は俺たちが『ケーキの予約を五十個取ってくる』という目標を達成できなかったと、そう思っているのか?」
「えっ? ……ええっと、はい。単純に数字だけで見れば、そういうことになるとは思うんですけど……?」
どういうことだろう、と。ゴンタは不思議に思っているに違いない。当然の疑問だ。一緒に行動していたはずのマコトでさえ、タイシが次に何を言い出すのか予測できないのだから。
「――だが」びしっと、強い語調で切りつけるようにタイシは続ける。
「……すみません。すごくおいしいケーキなのに、ボクたちではこれが精一杯でした」
がっくりと肩を落とすマコトの横で、ミサキもフグのように頬をふくらませている。
「そ、そんなに落ち込まないでください! 顔を上げて、ほっぺたもぷしゅってしてくださいっ!」と、二人を励ましてから「本当に二十六も予約が取れちゃったんですか? こんな短時間で? 私のケーキが?」と、ゴンタは念を押してくる。
「なんですか? 嘘だって疑ってるんですか?」
「いい意味でですよ!? すごいなって、びっくりしてるんですよっ!」
完全に拗ねているミサキの台詞に、ゴンタは慌てて首を振る。その表情は少しうれしそうにも見えたので、マコトはひとまずホッとした。
約束の時間を迎えても、目標の数には届かなかった。店に入ってきたマコトとミサキが、あからさまに落ち込んでいる様子を目にして、ゴンタはすぐに結果を察したようだった。嘲笑うことも責めることもせず、それどころか優しい笑顔と温かいコーヒーで迎えてくれた。それを思い出して、マコトはますます申し訳なくなってしまう。
「試食用のケーキまで用意していただいたのに、本当にすみませ――」
「ゴンタ」
マコトの言葉を、タイシの呼びかけが叩き潰す。ユウやエリヤとともに遅れて店に入って来た彼は、眼鏡が曇っていることも気にせずに続けた。
「お前は俺たちが『ケーキの予約を五十個取ってくる』という目標を達成できなかったと、そう思っているのか?」
「えっ? ……ええっと、はい。単純に数字だけで見れば、そういうことになるとは思うんですけど……?」
どういうことだろう、と。ゴンタは不思議に思っているに違いない。当然の疑問だ。一緒に行動していたはずのマコトでさえ、タイシが次に何を言い出すのか予測できないのだから。
「――だが」びしっと、強い語調で切りつけるようにタイシは続ける。
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